声優・上坂すみれインタビュー#1「『まさか自分が声優になれるなんて』子役モデルから憧れるままに選んだ声優への道」

声優・上坂すみれインタビュー#1「『まさか自分が声優になれるなんて』子役モデルから憧れるままに選んだ声優への道」

「うる星やつら」のラム役をはじめ、「スター☆トゥインクルプリキュア」のキュアコスモ役、「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」のアリサ・ミハイロヴナ・九条(アーリャ)役など、数々の人気作品に出演。清楚なお嬢様から色気のあるお姉さん、おてんば娘まで幅広く演じ分けるその表現力で、キャラクターの魅力をググッと引き上げています。このインタビューでは全3回にわたって、上坂さんのこれまでの歩みや声優として大切にしていることを、出演作品のエピソードとともにお届けします。

■子役モデルから社内オーディションを経て声優の道へ

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――子役モデルとして活動されていた上坂さん。どんないきさつで声優になったのでしょうか?

「元々スカウトしていただいて子役モデルをやることになったんですが、自分を売り出すのがあまり得意な方ではなくて。どちらかと言えば、アニメを見たり、小説を読んだりするのが好きな内向的なタイプだったので、むしろ『声優になる』なんて憧れに近いというか、自分がまさかなれるなんて思っていませんでした。高校生の頃は事務所に所属しながらも、声優にすごく興味があって自分で養成所の資料とかを取り寄せたりはしていたんです。でも、養成所に通ったとしてもかならず声優になれるという保証はないし、途方もない遠い夢みたいな感覚。そんなあるとき、偶然、所属していた事務所の子役部門で『電撃文庫さんのWebラジオのアシスタントとして、アニメやラノベに詳しい子を探している』というお話があって、ちょうど私が当てはまるということで、そのお仕事をやらせていただいたんです」

――「うぇぶらじ@電撃文庫」でしたよね。

「そうです。その番組のレギュラー陣が、ラノベ作家のおかゆまさき先生、当時の事務所の先輩だった上村千佳さん、そして現役声優である明坂聡美さんだったんです。このお三方のラジオ番組を、高校生の身分で生で拝見したのは、すごく大きな経験でした。私自身の役割はそこまで多くなかったんですが、レギュラーの方々の聞き取りやすい原稿の読み方とか、わかりやすい伝え方とか、そういう技術を間近で見て、『なんてすごいんだろう!』と感動しっぱなし......。その後、18歳になるときに事務所の子役部門を卒業するにあたって、自分の進路を決めなきゃいけないタイミングがありまして。女優やモデルという道もあるなかで、私はやっぱり声優になりたいと思って、社内オーディションを経て、声優の道へと進みました」

――そうだったんですね。声優としての初めてのお仕事になったのは?

「本当の最初だと、ゲームの『トイ・ウォーズ』なんですが、アニメでいえば『プリティーリズム・オーロラドリーム』という作品が初めてでした。最初のお仕事は、『声の仕事ができて嬉しい』というよりも『声優部門に進んだものの、私全然、声優の仕事の勉強できてないけど大丈夫かな......』という気持ちのほうが大きくて、それはそれはドキドキでした」

――初めてアフレコにのぞんだときの気持ちは、いまでも覚えていますか?

「そうですね、とくにゲームの収録は一人だったのでまだ大丈夫だったんですけど、アニメの現場は、クレジットでしか見たことのない声優さんたちがずらっとスタジオにいらっしゃって、本当にびっくりしました。台本を見るのも初めてに近いので、そのときに知ったことも多くて。たとえば、息遣いにアドリブが必要な箇所には『細かな息遣い(AD)』みたいな書き方がしてあるんですが、細かくはどうやるか書いていないんですよ。そういうのを見るのも初めてなので、そこで『アニメの中には、こんなにたくさんのアドリブがあるんだ』って初めて知ったり。あとは、テストで入ったマイクの位置を覚えて、本番ではテストと同じマイクに入る。そして自分の出番が終わったらすぐ退く、とか。そういった細かなアフレコのルールを、何も知らずに現場に行ってしまったので、ちゃんと覚えなきゃいけないなっていうのはすごく感じました」

――ちょっと萎縮しちゃう感じだったんでしょうか?

「いや、萎縮というよりも『これからこういうことを勉強していけばいいんだ』という気持ちが半分、あとはこうやってアニメの世界に参加できるっていうのが自分にとっては夢みたいなことだったので、舞い上がる気持ちが半分という感じで、すごくポジティブでした(笑)。でも、とても前向きな気持ちでのぞめたのは、ベテランの先輩たちがすごく優しくしてくださったのもあると思います。『ここはアドリブだから、自分の思うように表現していいんだよ』と言葉をかけていただいたり、『別録りっていうのは...』とわからないことを教えていただいたり」

――先輩にかけてもらう言葉が大きかったんですね。

「そうですね。とはいえ、その初めての作品はモブゲスト的な出演で、1回だけの出番なので、先輩方にいろいろ教えていただいたという意味では、初レギュラーになった『パパの言うことを聞きなさい!』の現場が大きかったですね。キャストのみなさんには本当にお世話になって、たくさんのことを学ばせていただきました。3姉妹と、その姉妹を育てる男の子の物語なんですが、長女が私、次女が喜多村英梨さん、三女が五十嵐裕美さん、そして育ての親である瀬川祐太役が羽多野渉さん、ヒロインには同じレーベルの先輩だった堀江由衣さんも。右も左も分からない状態だった私に、本当に初歩の初歩から、現場のことを教えてくださって、本当にありがたかったです」

■キュアコスモが自分を成長させてくれた

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――ご自身として、転機になった作品を挙げるとしたら、どちらになるでしょうか?

「出演した作品は、どれも自分に変化をもたらしてるとは思うんですけど、いろいろあるなかで、しいて挙げるとすれば『スター☆トゥインクルプリキュア』かなぁ。2019年に放映されたプリキュアシリーズなんですが、それまでどうにか精一杯やっていた声優業が、そのオーディションに受かったことで少し、自信が持てるようになったんですよね」

――やっぱり長く愛されるシリーズのアニメということも大きかったんでしょうか?

「そうですね。もちろん大人気シリーズということも大きいですけど、プリキュア自体が4クールレギュラーの作品で、それもすごく大きかったかなと思います。私が務めるキュアコスモは追加戦士ということで、2クール目からの参戦なので、実質3クール分ではあるんですけど、それだけ長く一つの作品に携わるという経験は、それまでなかったんです。1クールのレギュラーの場合、そのキャラと『仲良くなってきたかな』と思ったくらいのときには、もう終わってしまうことがほとんど。でも、4クールとなると、もはや"暮らしの一部"みたいになってくるんです。毎週金曜日にスタジオに行き、みんなとプリキュアを録るっていう、そういう生活サイクルとともに、キュアコスモが私の一部になるというか。それは初めての感覚でした」

――実際にキュアコスモを演じるなかで、少しずキャラクターと心が通う感覚があるんでしょうか?

「そうですね、演じているとどんどんキュアコスモの新しい一面が見えてきてそれに共感することは多かったと思います。コスモ自身が、作品の中でどんどん変化していく部分があるんです。最初は宇宙怪盗ブルーキャットとして、敵か味方かもわからない立ち位置で登場して、時間をかけてゆっくり心を開いていく。同じように、現実では私自身も人見知りなので、元々のプリキュアチームの仲が良い4人に、打ち解けていくのに、時間がかかってました(笑)。実際に作品の中で仲間になるまでは、アフレコ現場でもなかなか4人のメンバーには、私から話しかけられなかったり。そういう意味で、私とコスモは結構シンクロしてたと思います」

――現実と作品がリンクする部分もあったんですね...!

「1クールの作品だと、あまりそういうのを感じたことはなくて、敵だろうとラスボスだろうと、『みんなで仲良くやろう』という現場が多い気がするんですが、プリキュアのときはちょっと違った気はします。あと個人的にですけど、語尾に『にゃん』がつくキャラクターだったので、現実で独り言をいうときに、つい『にゃん』がついてしまったり(笑)。自分の生活にキュアコスモが浸透してきてるなって思いました」

――キュアコスモを演じたり、4クールレギュラーをやり通した経験は、やっぱりその後の上坂さんの声優業にも影響を与えていますか?

「それはもちろんです。とくにお芝居に関しても、キュアコスモを演じたことで学んだこともたくさんありました。例えば、プリキュアってキャラクターデザインがとてもかわいいので、つい最初の頃はかわいい音色の声を出したくなっていたんですけど、いざキュアコスモと触れ合ってみると、勇ましい部分があったり、クールな一面があったり、必ずしも記号的に可愛い声を出す必要はないんだなということがわかってきて。それまではキャラクターデザインに引っ張られて声色をあえて作っていくことも多かったんですけど、お芝居だからといって、無理にキャラっぽく仕立てあげることに一生懸命にならなくていいんだと思えるようになりました。いわゆる"萌え声"みたいなものから離れて、きちんとキャラクターに向き合えるようになったのは、キュアコスモのおかげかなと思っています」

■「怒られたらやめよう」と思ってのぞんだ|「無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~」リリア

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――2025年秋クールのアニメ「無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~」では、ギルド「ドラゴンファング」の再興のために人材確保に奔走する少女、リリアを演じられています。まずは、上坂さんがとらえているリリアの人物像について教えてください。

「リリアは、ビジュアルこそかわいいんですが、しっかりとゲスい感じの印象がある子なんです(笑)。『ギルドを再興したい』という気持ちはすごく正しいし、まっすぐなんですけど、『そのためなら何でもやってやる』みたいなガッツがある。だから、『美少女感』というのは一旦忘れていいのかも、と思って演じていました。それにアレル、ライナ、とほかのメインキャラが結構クールな印象じゃないですか。とくにアレルは何をやっても動じないので、リリアが大暴れするほど彼女の面白さやキャラが際立ってくるだろうなと思いました。なので、声色は固定せず、なんならときには絵も気にしないでのびのびとお芝居を......(笑)。そのほうが、彼女自身ものびのびできるだろう、と思っています」

――その演技プランは最初からですか?

「台本を見た段階から、リリアはかなり物語を引っ掻き回すキャラだなという印象ではあったんですよ。どうしようかな、とは思っていたんですけど、アレル役の小野賢章さんとライナ役の早見沙織さんの様子を見ていて、お二人がすごく安定感のある感じで受け止めてくれそうなので、『これなら、アクセル全開でやっちゃって大丈夫だな。怒られたらやめよ』くらいの気持ちでのぞむことにしました(笑)。そしたら、とくに怒られることもなく収録がツルッと終わりまして......。しかも、収録が1時間30分という短さで。ふつう、アフレコって最大5時間ぐらいの時間をかけて、30分アニメの1話を収録していくんですよ......?」

――そんなに早く終わることあるんですか...!

「こんなに早いのは、ほとんどないです。スタッフのみなさんが信頼してくれているからか、ディレクションもそこまで多くなくて、結構任せてくれる部分が大きいんです。だから、リリアの雰囲気は最初にやってみた感じが、そのまま続いてるんです。収録の合間に、小野さんや早見さんにも『リリアが癒しだよ〜』と言っていただいたので、『よし!これで行こう!』と思って、怒られるまではガンガン盛ろうと決めて、おかげさまで楽しくお芝居させていただきました(笑)」

――結構セリフ量も多いし、声色がたくさん出てくるので大変なのかと思っていたんですが、あれは上坂さんがのびのびやった結果だったんですね(笑)。

「じつは、そうなんです(笑)。たしかに、セリフは多いんですけど、トーンを自由に変えてOKだったので、そこまで『セリフ多くて大変だなぁ』みたいな感覚もなかったですし」

――現場での、小野さん、早見さんとの雰囲気とかはどうでしたか?

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「この3人が揃うって、私としては結構めずらしいと思っていたんですけど、それはそれは、本当に穏やかな現場だったと思います。いつも3人で並んで座って、雑談して......。あるときは、読み方が難しいスキル名をなんて読むかをかけて、『負けたほうがコーヒーをおごる』という勝負をしたこともありました」

――結果は、どうだったんですか?

「小野さんが一人勝ちして、その翌週に私と早見さんが、小野さんにコーヒーを買っていくことに」

――なんだかほんわかしますね。

「そうですね、全体的に温かい空気感だったと思います(笑)」

――上坂さんから見て、リリアの印象的なシーンはどこですか?

「リリアってもともと"なんでもやっちゃう子"ではあるんですけど、街中で平然と『靴を舐めますから』って言い放つシーンがあって、そのときに『本当に何でもするんだ...!』って妙にしみじみと感じちゃいましたね。しかも、そのときの絵もしっかり頭(こうべ)を垂れて伏している姿で、あそこまで潔いのは、めずらしいなと......。

あとは、アレルにセクシーな誘惑をするシーン。なんというか、彼女の場合、目的が『ギルドのため』とはっきりしているので、いやらしいことを言ったりしても、わりとカラッとした下品さに見えるんですよね(笑)」

――たしかに、そういう部分ありますね。

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「アレルへの好意自体が、アレルの強さ目的ですからね。いい意味で気持ちが乗りすぎない......というと、不思議な言い方ですけど(笑)。重くなりすぎないから、遠慮なく大きく動き回れる。そこがリリアの魅力の一つで、楽しい部分かもしれません」

■"異世界もの"と時代劇の共通点|「無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~」リリア

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――上坂さんから見ていまの「異世界転生」ジャンルの人気は、どんなところに理由があると思いますか?

「以前、読んだ記事の中に『いまの時代の"異世界もの"が果たしている役割は、昔でいう時代劇が担っていたものと近い』という捉え方を書いているものがあったんです。たしかに、言われてみると時代劇と異世界ものって共通点が多くて、どちらもある程度"型"みたいなものがある。たとえば、『この職業、立ち位置はこういうキャラ』とか、『かならず絶対悪がいる』とか。もしかしたら、そういうキャラ設定やストーリー展開って、じつは多くの人が求めている形なのかも、と思うんです。それって、視聴者からすると『自分が観たい』と思っているとおりの展開が観られるということですよね。それが、働いたり勉強したりした後に観るものとしては、すごくご褒美感があるのかもしれないなって」

――たしかに...!働いた後に「絶対結末で裏切られる」的なストーリーだと、ちょっとカロリー高いというか、観るのにもエネルギー要るかも。

「そうそう。ほかにも、たとえば異世界転生したのに、すごく苦労して苦労して、ようやく敵を倒して......という苦労続きの作品があったとして、それを仕事後に観れるかというと、ちょっと違うかも、というか。時代劇もそうですけど、異世界転生の『主人公が最強』みたいな設定って、ある種の爽快感、気持ちよさみたいなものもあるじゃないですか」

――まさしくそう思います。

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「多分、『必殺仕事人』が強くなかったら、みんな観たくない(笑)。『無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~』も同じで、ちゃんと努力して誰よりも強くなったアレルが真ん中にいる。そしてかわいいライナー、ゲスいリリアがいて、その3人のメインキャラクターの立ち位置が、変に揺らいだりしないんですよね。そんな期待通りの世界を観ていると、『よし、明日も頑張ろう!』って思えるのかもしれません。

だから異世界転生ものって、物語自体が多くの人の生活に寄り添ってくれるつくりになっているんだと思うんです。観ると明日への活力が確実にもらえるから、多くの人がその世界に惹かれるんじゃないでしょうか」

――本当ですね。時代劇と共通してるとは、目からウロコでした。

「そうやって考えると、かつては時代劇がたくさん放映されていたので、異世界ものもこれだけたくさん作品があっても、別におかしくはない。たぶん『異世界ものしか観ない』と決めている人もいると思います」

――すごく納得感がありました。ちなみに、上坂さん自身は、もし異世界転生するとしたらどんな職業や人物に転生したいですか?

「そうですね......私は、ビジュアル的にお姉さん形のキャラが好きなので、そういうビジュアルのキャラクターかな。うーん......あ!サキュバスとか、いいかもしれないです(笑)」

■性癖やフェチをクリエイティブに捉えている|「笑顔のたえない職場です。」早池峰 和

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――こちらも2025年秋クール、「笑顔のたえない職場です。」で上坂さんは早池峰 和(はやちね なごみ)を演じていらっしゃいます。上坂さんから見た、彼女の人物像を教えてください。

「和ちゃんは、主人公・双見のアシスタント時代の仲間として登場するキャラクターで、強い信念を持ったエロ漫画家。心の内にはエロ漫画に対しては並々ならぬ愛と情熱を持っているんですけど、振る舞いはとても物腰柔らかです。その感じが、強者のオーラを放っているようにも見えるキャラクターなんです」

――和を演じる上では、どんなふうに気持ちを作って行ったんでしょうか?

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「彼女は、自分の信念が強い子ではあるんですが、その信念の強さを見せようとして語気を強めてしまうと、ちょっと押し付け感が強くなってしまうかな、と。だから言葉の角を丸くするイメージで、『ここは絶対こうしたほうがいい』と意見を主張するときも、なるべく穏やかなトーンを心がけていました。

あとは、自分のフェチや性癖を『恥ずかしいもの』として捉えるのではなく、『ここはもっとこうしたほうが魅力的かも』みたいに、そういう部分をクリエイティブに捉えている。そんなふうにエロに対して、めちゃくちゃ真摯に向き合っている女の子というキャラクター性が私もすごく好きだったので、演じていてすごく楽しかったです」

――思い入れも強かったですか?

「そうですね。じつは和ちゃんは、原作者のくずしろ先生が描く、『少年少女18禁』という作品にも登場するキャラクターでもあるんです。作品内でのキャラの成り立ちは違うんですが、くずしろ先生の中ではとても思い入れが強いキャラクターだというお話も聞いていました。そんな先生自身も思い入れの強いキャラを任せていただけるので、それが嬉しくもありましたし、自然と私も思い入れは強くなったと思います」

――上坂さんが思う、この作品の魅力を教えていただけますか?

「まずは漫画家さんのお仕事作品ということで、フィクションとはいえ、自分とは違う職業の世界を覗けるのがすごく楽しい作品だと思います。であると同時に"お仕事"という部分ではどんな職業にも共通することがあるので、『こういうことがあると嬉しいよね』『こういうことがあると頑張ろうと思えるよね』と共感できる部分も、いろいろな人が感じられるんじゃないでしょうか。ワーキングコメディということで、そういうお仕事のあれこれを、シリアスな雰囲気ではなく、なるべく楽しく盛り込んでいるところもすごく素敵だなと思いますし。シリアスなお仕事のお話も好きではあるんですけど、『笑顔のたえない職場です。』はほのぼのしながら、かつ『お仕事っていい部分もあるよな』って思わせてくれるお話なので、癒し度はこっちのほうが高いかな、と思います。

――実際、登場キャラのみんな相当働いていると思いますけど、不幸そうな人が誰もいないですもんね。

「やつれたり、イライラしたり、大声出したり......といった殺伐とした空気とか、仕事のキツさが深刻に描かれているわけではなく、みんな幸せそうですよね(笑)。やってることは大変なはずだけど、そんな状況でもいろいろなことを乗り越えて、喜んで、楽しんでいる彼女たちを観ていると、きっとみなさん元気が出てくると思いますよ」

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取材・文/郡司 しう 撮影/梶 礼哉

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