声優・鬼頭明里インタビュー番外編

声優・鬼頭明里インタビュー番外編

「鬼滅の刃」の竈門禰豆子役、「アオのハコ」の蝶野雛役、「地縛少年花子くん」の八尋寧々役など、数々の人気作品で印象的なキャラクターを演じている声優・鬼頭明里さん。天真爛漫な少女のハイトーンから冷静で理知的な大人の女性のロウトーンまで、幅広い声域と繊細な表現力で、さまざまなキャラクターに命を吹き込みます。

■きっかけはアニメ愛を語る声優のラジオ

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――声優を意識し始めたのはいつ頃でしたか?

「中学生の頃、とあるアニメのラジオがやっていることを知って聴いてみたんですよね。そしたら、声優さんたちがアニメの話を楽しそうにしていて、『声優って楽しそうだな......』と思ったのが最初のきっかけでした。

じつは、そのラジオのアニメ作品自体は観ていなかったんですけどね(笑)。だから、なんの作品のラジオだったのかも覚えていないくらい。たしか、作品にちなんだコーナーとかもあったとは思うんですけど......」

――でも、それが楽しそうだなと思ったわけですね。どんなところが「楽しそう」だったんでしょうか?

「アニメが好きな人たち同士の会話というか、それがふつうの人たちの会話とは全然違う感じがしたんですよね。『私が好きなアニメの世界を、こんなに楽しそうに、熱く話す人たちがいるんだ』と思って、それがすごく羨ましかった。

それと私、昔からすごく良いアニメを見たときに『このキャラになりたい』という願望や憧れがけっこう強かったんです。とくに音楽や歌が好きだったので『マクロスF』とか『坂道のアポロン』とか。音楽に関係するアニメを観たときに、『このアニメの中で歌うキャラになりたい!!』という思いがすごく強かった。

そんな状態のときにラジオを聴いて『声優になる』という選択肢が生まれたので、『声優になればこのキャラにもなれるし、歌えるかも!』と思い始めて」

――それは「歌手になりたい」という気持ちとは、やっぱり違うものなんでしょうか?

「そうですね、うまくは言い表せないんですけど、別に自分自身が出て自分の歌を歌うっていうことには、元々はあんまり興味がなくて。カラオケに行っても『自分流の歌い方を身に付けよう』ではなく、その曲の歌手をそれぞれマネして歌っているタイプでした。

『自分の中に表現したいものがある』というよりも『その役になりたい。その歌に合う歌い方をしたい』という思いのほうが強いというか。だから、いまのお仕事でもキャラソンを歌わせていただいているのは、すごく自分に合っているなと思います」

■うちなーぐちでのアフレコもツラすぎた!|『沖ツラ』喜屋武飛夏

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――現在のクールでは「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」(以下『沖ツラ』)の喜屋武飛夏(きゃん ひな)役を演じられています。飛夏を演じる上では、どんなことを意識されていたんでしょうか?

「すごく明るくて元気な子で、つねにみんなの中心にいるような子なので、太陽みたいな存在でいようとはずっと意識していました。てーるー(中村照秋)の恋心にも全然無頓着なので、そういう天真爛漫な感じも声で表現できたらいいなと思っていました」

――とはいえ、ほかのアニメとはまた違った苦労が多そうですよね(笑)。

「そうなんですよ!『沖ツラ』の収録は本当に大変で、準備はいつもの3倍ぐらいかかりましたね。一応、方言監修の方がすべてセリフをVTRに入れてくれていて、それをすべて覚える、みたいな感じでした。

ただ、アニメの収録って流れでとらなきゃいけないので、一言ずつ監修の方の音源を聞き返したりはできない......!全部覚えて、台本にはここで上がる、下がる、がわかるように『上・上・下・下』と矢印をゲームコマンドみたいに書き込んで、流れでやっていました(笑)」

――イントネーションを覚えていくんですか...!?それは、すごい。

「それでもやっているうちに、だんだん沖縄弁のクセがわかってきて、少しずつ慣れてはくるんですけど、何より苦労したのはそのお芝居。方言監修の方のイントネーションはもちろん方言としては正しいんですが、それがお芝居ではないので、感情を乗せるとイントネーションが変わったりもするんです。その音の変わり方がいいときもあれば、間違ってしまうときもある。覚えてそのまま喋るだけだと、棒読みに聞こえてしまうので、その調整はすごく難しかったです。でも、慣れてくるとちょっとずつ楽しくなっていく感覚もあって」

――作品の雰囲気も明るいですもんね。

「そうそう。どんどん沖縄弁が自然に喋れるようになるし、作品自体が沖縄に詳しくなれる情報が多かったので、沖縄に行ったこともないくせに、もう第二の故郷くらいに思ったりしていました(笑)」

――沖縄、行ったことなかったんですか!?

「そう、じつは行ったことなかったんです。この前初めてイベントで行かせてもらいました(笑)。でも、私のアーティストとしての活動の、宣伝を担当してくれている方が沖縄出身で、見てくれて『すごい自然でした』って。実際に、沖縄出身の方からそんなふうに言ってもらえたのはすごく嬉しかったです」

――"うちなーぐち"が喋れるいま、沖縄に行きたい気持ちも大きそうですね。

「それはもう!前回はイベントで訪れて、なかなか観光できなかったし、しかも天気が悪かったので、沖縄なのにきれいな海がぜんぜん見れなかったんですよ......。なので、今度行くときはできるだけゆっくりと滞在して、きれいな海、晴れた日の青い海を見たり、いろいろな名所にも訪れてみたいですね」


取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃

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