女子アルペンスキー界期待の新星・渡邉愛蓮が語る今シーズンへの意気込みと大きな夢

ワールドカップにも参戦し、今後の飛躍が期待される女子アルペンスキーの渡邉愛蓮。2024年1月にワールドカップ初出場を果たし、2025年世界選手権では、女子スラロームで25位、全日本スキー選手権大会のスラロームでも初優勝。2024~25シーズンのファーイーストカップでは、総合とスラロームでタイトルを獲得した。ワールドカップ出場資格をつかんだ日本のアルペンスキー選手を表彰する「J:COM賞」も2年連続で受賞。そんな渡邉選手に今季にかける意気込みを聞いた。

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――まずは、渡邉選手のスキーヤーとしての特徴と強み、それをどう自己分析しているのかを教えて下さい。

「私の一番の強みは、素早さ。そしてタフネスだと思っています。私は他の選手に比べると小柄なのですが、体格差を跳ね返す爆発的なパワーを秘めていることが、自分の最大の武器ですね。よく、『男子選手のような滑り方だね』と言われるのですが、具体的には、普通の女子選手には耐えられないような姿勢でも立ち直ることができる、咄嗟のリカバリー力があり、瞬間的にパワーを発揮できるところが強みだと思います。フィジカルの強さには自信を持っていて、メンタル面も緊張して動けなくなることはありません。むしろ、意気込み過ぎて力んでしまって結果が出ないことがあります。気持ちが前に出るタイプなので、本番でこそ実力を発揮する選手だと自負しています」

――それは頼もしいですね。では、現状での課題点についてはどうでしょう。

「まだ、練習と試合での滑りのクオリティに差があることですね。特にワールドカップのような大きな大会でその傾向が強いです。練習で途中棄権するような滑りになることは滅多にない。それが特に前シーズンは、練習では絶対にやらないミスが出てしまい、途中棄権が多くなってしまったので...。それをなくすために、練習を試合と同様に臨めるようなさまざまなアプローチをしていきたいと考えています」

――アルペンスキーの各種目の中でも、最も得意な種目は何ですか。

「やはり、自分の武器であるスピードを生かせるスラローム(回転)が一番得意ですね。ただ、ダウンヒル(滑降)には挑戦したことがありません。国内に練習できる環境がないことも大きいのですが、一度はチャレンジしてみたいと思っています」

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――天野エンザイムの所属となり、社会人選手になりました。環境や意識など学生時代と特に変わったのは、どんなことでしょう?

「学生時代も自分でスポンサーを探していたこともあり、支援して下さる方に対する責任や重圧は感じていました。ただ、今はアルペンスキーというスポーツが本当に『仕事』になったという意識が芽生えています。学生の頃は、自分の夢や目標のために競技をしている感じでしたが、今はプレッシャーの違いを感じます。『もっと自分にやれることはないか』と、以前よりも考えるようになりました。天野エンザイムさんは、スポーツへの理解が深い企業で、日々のトレーニングに没頭させていただいています。学生時代とは違い、スキーに専念できる環境を与えてくださり、本当に感謝していますね」

――昨シーズンを振り返り、ご自身の糧になったことがあれば教えてください。

「昨シーズンは、オリンピック出場を目指し、ワールドカップ30位以内に入って出場資格を得ることを目標にしていましたが、それが叶わずに悔しいシーズンでした。やはり、失敗から学んだ教訓のほうが大きいですね。韓国でのファーイーストカップの時は、過去に経験したことのないほどのアイスバーン(氷の斜面)ができて、いつもは自分で行っていたチューンナップを急遽、サービスマンの方に依頼したのですが、普段とは全く異なるチューンナップのために全然滑れませんでした。本番直前にチューンナップを変えるのはリスクが大きいし、自分がやってきたことを信じられなかったために起こった失敗だと思います。たとえ想定を超える事態になっても、自分を信じて挑戦することが大事だと痛感しました」

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――J:COMのU16強化支援プロジェクトは、渡邉選手にとってどのようなメリットをもたらしたのでしょうか?また、今回のJ:COM賞が贈呈されたことへの感想も教えてください。

「企業さんがこのようなスポンサードをしてくださるケースは、通常はある程度の成績を残した選手でないと受けられないと思うんです。その点で、ユース世代の選手の将来性に注目して支援して下さるJ:COMさんのプロジェクトは、若い選手たちにとって本当に励みになるものです。成長の過程で支えてもらえるということはとてもありがたいことですから。私が16歳の時にこのプロジェクトが始まって、年齢の上限で支援を受けることができましたが、当時はこのプロジェクトがどれだけ貴重なのかをあまり実感できていませんでした。まだ成績を残していない中学生世代の選手を支援することは、極めて稀なことだと思います。昨年に続き、二度目のJ:COM賞をいただきました。ワールドカップに出場したという、成長段階での過程をこうして評価していただけるので、本当に励みになりますし、心からありがたいと感じています」

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――では、あらためて今シーズンへの意気込みを聞かせてください。

「昨シーズンは、ファーイーストカップで優勝できず、個人枠でのワールドカップ出場権を獲得できませんでした。今季は、ファーイーストカップやヨーロッパカップで好成績を残し、自分の実力をしっかりアピールしたい。ワールドカップに継続して出場して、30位以内という大きな目標に向かって頑張っていきます。昨シーズンの結果を糧にして、挑戦を続けます!」

――最後に、選手としての将来的な夢と目標をお願いします。

「私の競技人生における目標は、ワールドカップで表彰台に上ること。そして、オリンピックでも表彰台。つまりメダル獲得が最大の目標です。将来的には、日本での女子ワールドカップを再び開催するという夢も描いています。昔は日本でも行われていたのですが、長らく女子の大会は開催されていません(※1997年八方尾根大会以来途絶えている)。それを実現するには、日本人の女子選手がワールドカップで活躍することが第一。さらに、日本の方にもっとアルペンスキーに関心を持って応援してもらうためにも、私たちが注目されるように頑張りたいと思っています」

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■プロフィール
2003年4月18日生まれ。長野県出身。小学生から競技スキーを開始。インターハイでは女子回転で3連覇を達成し、東海大学に進んで全日本学生スキー選手権で優勝。2025年ハルビン冬季アジア大会回転で銅メダルを獲得し、ワールドカップにも参戦。

文/渡辺敏樹 撮影/中川容邦