ドラフト注目捕手、渡部海が語る捕手論。智弁和歌山と青学大で学んだ勝者の哲学
スポーツ インタビュー連載コラム
2026.09.20
3年連続でドラフト1位選手を2人輩出している青山学院大学。今年も1位指名が確実視されているのが、捕手の渡部海選手だ。高校と大学で通算5度の日本一を経験した大学No.1捕手に話を聞いた。
――野球を始めたきっかけは?
「父が大学まで野球をやっていて、それで自分にもやらせたかったようです。物心つく頃には既に野球をやっていました」
――キャッチャーになったのはいつからですか?
「小学校で少年野球チームに入ってからずっとキャッチャーです。自分でやりたいと言ったのか、やれと言われたのかは覚えていませんが肩が強かったから、というのはあったかもしれません」
――高校は、智辯和歌山を選んだ理由は?
「大阪出身で元々智辯和歌山が好きだったというのもありますが、同じキャッチャーだった中谷仁監督の存在が大きいです。自分が中学2年の時に中谷監督が就任され、キャッチャーとしてプロに行くために監督に教わりたいという気持ちから決めました」

――中谷監督の指導で、何か印象に残っていることはありますか?
「『打たれたらキャッチャーの責任』ということはずっと言われていて、その点は凄く厳しかったです。試合が終わった後も、キャッチャーとしてもっとできることがあったのではないかと常に考えるように言われていました。中谷監督はよく『配球で100点はとれないけれど、リードでは100点はとれる』とおっしゃっていたことを今でも覚えています。配球は単純な球種とコースの選択ですが、リードはサインの出し方や構え方、ジェスチャー、目線など色んな要素が含まれていて、短い時間の中で自分の意図をしっかりピッチャーに伝えるということが大事だと思ってやっています」
――甲子園では2年夏に優勝。3年夏は初戦で敗退でしたが、甲子園で印象に残っていることを教えてください。
「中学時代にタイガースカップという大会で、甲子園でプレーしたことはありましたが、その時とはやはり違いました。最初の打席に立った時はかなりフワフワしていたというか、地に足が着いていなかったと思います。2年の時はコロナ禍で無観客での開催の中で優勝しましたが、観客が入った中でもう一度やりたいという気持ちは強かったです。ただ3年生の時は出場校として49番目の一番遅い登場ということもあって試合までの調整が難しく、チームも自分も力を出し切ることができず、悔しい思いが強く残りました」
――青山学院大学を選んだ理由は?
「2年生の秋の大会が終わった時に中谷監督と進路について面談をしました。高校からプロを目指すという気持ちもありましたが、監督自身が高校からドラフト1位でプロに入られて、かなり苦労されたということもお聞きし、大学でしっかりプロで勝負できるだけの力をつけてから目指した方が良いのではないかと言われて、進学することに決めました。
青山学院大学については安藤(寧則)監督が直接高校のグラウンドまで来てくれて、本当に熱意を持って話してくださったのが大きかったです。あとは1学年上の中西(聖輝)さんも青山学院大学に進学していたことや、智辯和歌山と同じで比較的少人数のチームだというのも自分にとって合っていると思いました」
――青山学院大学が所属している「東都大学野球」は日本一レベルが高いと言われていますが、実際にプレーしてみてどうでしたか?
「それは強く感じました。青山学院大学にも他のチームにも凄い選手が多くて、特にピッチャーのレベルがとても高いです。最初の頃はとにかく、キャッチャーとして捕球する方で足を引っ張らないことだけを考えてやっていました」
――そんな中で1年春からリーグ戦6連覇を達成しましたが、その要因はどこにあったと思いますか?
「チームとしての徹底力だったと思います。安藤監督、中野(真博)コーチなどが本当にやるべきことを徹底してやるという姿勢で指導されますし、それがチームに浸透していると思います。部員数が多くないこともあって、全員が日本一という目標に向かって同じ目線で取り組めているのも強みだと思います」
――今年春は入学してからの連覇が6で止まりましたが、昨年までと違った部分はありましたか?
「序盤は幸先良く4連勝できましたが、3カード目で勝ち点を落としてしまい、そこから歯車が狂いました。経験の浅いチームだったので、途中から立て直すことができなかったのが反省点です」

――キャプテンという立場で重圧もありましたか?
「これまで大変だと感じたことはありません。逆に遠慮していたわけではないのですが、経験の少ない下級生に対して少し任せすぎてしまったなと感じるところはあります。もっと言うべきところは言った方が良かったと反省し、リーグ戦の後からはその点に気をつけるようにしています」
――7月の国際大会、WCBCでは見事に優勝を果たしましたが、なにか得たものはありましたか?
「台風の影響で日程が変わったこともあり難しい戦いでしたが、日本代表チームは投手も野手も全員力を発揮できたのが良かったです。自分は昨年から代表に選んでいただいているので、監督やコーチ陣とも密にコミュニケーションをとって、短期間の中で目指す野球をチームに浸透させることを意識していました」
――自身の持ち味、評価されているところはどこだと思いますか?
「チームを勝ちに導ける、勝てる捕手というのは評価していただけているので、そこが一番の強みだと思います。守備では投手に合わせた組み立てができるところ。打撃では、ここぞというチャンスで打てるところや状況に応じたバッティングができる点かなと思います」
――秋のシーズン、そしてドラフトに向けての意気込みをお願いします。
「チームとしては10連覇を目標にしているので、秋はその1回目を自分たちが作るつもりで、優勝を目指しています。ドラフトは強く意識していませんが、この先、プロに入ったら長くプレーできる選手になりたいと思っています」

PERSONAL INFO
大学の先輩の中西聖輝さん(中日)や小田康一郎さん(DeNA)にもよくプロでの話を聞いたりしています。高校時代はイチローさんが練習に来てくださり、バッティングについて話を聞きました。そこから交流はありませんが、「ずっと見ている」と言ってくださったので、僕の活躍がイチローさんの耳にも届くようにこれからも頑張りたいです。
プロフィール
'04年8月20日生まれ。大阪府出身。智辯和歌山では2年夏に甲子園優勝。青山学院大学では1年春からリーグ戦6連覇を達成。今年の大学日本代表では主将も務めた。
取材・文/西尾典文 撮影/宮崎雄亮




