早稲田ラグビー主将・清水健伸が語る関東対抗戦、そして「荒ぶる」への覚悟 

早稲田ラグビー主将・清水健伸が語る関東対抗戦、そして「荒ぶる」への覚悟 


清水健伸 早稲田大学 ラグビー蹴球部(4年)
学スポPRESS〜若き挑戦者たち〜Vol.13

仲間とともに成長し、大学ラストシーズンで今季こそ「荒ぶる」をつかむ!

2季連続、大学選手権準優勝で悔し涙を流した早稲田大学ラグビー蹴球部。今季、約150人の部員を率いるのが、HO清水健伸主将だ。高校時代やU23日本代表でもキャプテンを経験してきた一方、大学では選手一人ひとりとの向き合い方を模索しながら、秋、冬に向けてチーム作りを進めている。日本一になった時のみ歌うことが許される第二部歌「荒ぶる」への思い、仲間や同級生との関係、そしてW杯への思いなどを聞いた。

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 ――改めて、キャプテンになった経緯を教えてください。

「同期で話し合った後に投票を行い、大田尾竜彦監督との面談を経て決まりました。昨季から主将を務める覚悟はありました。監督からは『どんなチームを作りたいのか』と聞かれ『強い気持ちを持ち、相手を圧倒するラグビーを目指したい』と答えました。今はその目標に向かって、日々の練習に取り組んでいます」

――約150人の部員を率いる難しさを感じますか?

「選手が多い中で、コミュニケーションを取れているのか、取れていないのかがわからなくなることがあります。できるだけ多くの部員とコミュニケーションを取れるように努力していますが、副将のNO8松沼寛治選手とWTB池本晴人選手(ともに4年)とはよく話していて、僕を含めた3人でしっかりメンバーとコミュニケーションを取りながらやっていこうと話しています。2人とも僕を支えてくれています」

 ――キャプテンになって半年が経ちます。やりがいを感じていますか?

「やはり大変ですが、やりがいがあると感じています。勝つにしても負けるにしても、最終的には僕の責任という部分は結構、重いと思っています。負けた時にどうなるのかはまだわかりませんが、勝ったときは本当にうれしいと思います。その瞬間を思い描きながら取り組んでいると、やりがいを感じますね」

 ――昨年は日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCに指名されて、U23日本代表でもキャプテンを務めました。

「エディーさんに、かなり細かくリーダーシップのことを言われました。U23日本代表にはトップレベルの選手がいて、みんな能力が高く、自分で判断して行動できます。そういうメンバーたちを率いる場合のリーダーシップについて学び、経験を積むことができました。ただ、限られた人数、限られた期間で活動するU23日本代表と、約150人の部員がいる早稲田大では、必要なリーダーシップの資質が違います。早稲田大では、選手によって接し方も変えていますし、必要なアプローチも異なります。本当に考えることが多いと感じています」
 
――今季のスローガン「RISE OVER」には、どのような意味が込められていますか。

「限界を作らず、成長し続けなければいけないという意味が込められています。一人ひとりが成長し続けることによって、チームの成長にもつながっていくという思いがあります」

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――春季交流大会Aグループでは初めて優勝しました。9月に開幕した「関東大学ラグビー対抗戦」への意気込みをお願いします。 

「春に初優勝できたことは良かったですが、練習試合で帝京大に負けています。セットプレー、特にスクラムは、まだまだ伸びしろはあると思いますし、夏合宿はチーム力を醸成して、試合の残り20分をどう戦うかを見つめ直しました。対抗戦では明治大との『早明戦』だけでなく、どの試合も負けたくありません。先を見ずに一試合一試合戦っていきたいです」 

――清水キャプテンが考える「早稲田大らしさ」とは何でしょうか。

「気持ちやプライド、泥臭さは早稲田の強みだと思っています。今は戦術やスキルが発達して、どの大学もすごくハイレベルになっています。ただ、気持ちやマインドの部分は、コーチたちだけでどうにかできるものではありません。選手自身がプライドを持つことで、スキルや戦術をより強く前に出せるのだと思います」 

――清水選手自身も、泥臭いプレーを大切にしていますか?

「僕のプレースタイルは、泥臭さがウリだと思っています。誰が見ても『泥臭い』とわかるようなプレーをしていきたいです」 

――2季連続で大学選手権準優勝に終わっています。大学日本一になった時のみ歌うことが許される、第二部歌「荒ぶる」への思いを聞かせてください。

「優勝が見えそうで、届きそうで届かなかった2年間でした。その2年間を通して、『荒ぶる』への気持ちは、より強くなったと思います」 

――最終学年として、最後のシーズンにどのように臨みたいですか?

「先を見すぎて足元をすくわれてもいけないので、一戦一戦に集中して、やり切りたいと思っています。大学最後のシーズンなので、悔いが残らないようにしたいです」 

――関東大学対抗戦の最終戦(12月6日)は、東京・MUFG国立(国立競技場)で明治大との「早明戦」も控えています。

「僕自身、負けず嫌いなので、『早明戦だから特別に負けたくない』ということはありません。どの試合も絶対に負けたくないですし、勝ちたいという気持ちがあります。ただ、(関東対抗戦の)最終戦は明治大なので、勝たなければ優勝はないと思っています」 

――あらためて、早稲田大に進学した理由を教えてください。

「プレースタイルが自分に合っているということや、ラグビー経験者だった父親が早稲田大でのプレーを望んでいたこともありますが、僕自身も早稲田大のラグビーを見て、毎回、すごいと感じていました。早稲田大でプレーできれば自分も成長できると思いましたし、プレーしたいという気持ちがあって入学することができました」

 ――改めて、ラグビーを始めたきっかけは?

「ラグビー経験者だった父親の勧めです。体が大きかったので小学校5年生から、地元の東京・江東ラグビースクールで始めました。最初はPRで、高校1年生の夏頃にHOへ転向しました。HOの先輩がケガをして空きが出たので、監督から『やってみろ』といわれたのがきっかけです。」

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――HOというポジションの魅力は?

「セットプレーに多く関わるので、全体を俯瞰して見る能力や、メンタルの強さが求められます。そういうところに、HOならではの楽しさや魅力を感じています」 

――早稲田大で仲の良い選手は誰ですか。

「副将の(松沼)寛治とは結構一緒にいます。他大学では、高校日本代表などで一緒だった、明治大学のLO物部耀大朗や亀井秋穂(ともに4年)とも仲が良いですね。また慶應義塾大学のWTB松田怜大(4年)とは、小学校からの幼なじみです」

――高校時代の同級生には、海外でプレーするサッカー日本代表の塩貝健人選手(ドイツ・ヴォルフスブルク)もいますね。

「高校時代、同じクラスでした。教室や廊下でラグビー部の僕たちにフィジカル勝負を仕掛けてくるような奴でした(笑)。プレーを見ていると、そういう高校時代のことを思い出します。(サッカー)W杯に出ていた姿を見て先を越されたな、という感じですごく刺激を受けました」

――日本代表でプレーする同年代の選手からも刺激を受けていますか?

「ラグビーのW杯に出たいですし、まだ(来年への出場は)まったく諦めていません。SO伊藤龍之介(明治大4年)やPR大塚壮二郎(関西学院大4年)もすごく頑張っているので、良い刺激をもらっています」

――大学卒業後もラグビーを続ける予定ですか?

「はい。リーグワンに進んで、トッププレーヤーになりたいと思っています」

――来春から、リーグワンに進むと、早稲田大の2学年先輩の日本代表HO佐藤健次選手(埼玉ワイルドナイツ)とも対戦する機会がありそうですね。

「健次さんが(早稲田大4年の時)日本代表でプレーする姿を見て、いつか追い越したいと思いながら、HOの正ポジションを狙っていましたが、結局その座を取ることはできませんでした...。リーグワンで対戦するチャンスがあれば、ぜひ倒したいです。健次さんと僕では、(HOとしての)強みが全く違うと思っています。将来的には、『清水の方が良いのでは?』と思われるくらいの、健次さんを超える選手になりたいです 」

――座右の銘を教えてください。

「『雪に耐えて梅花麗し』という言葉です。中学時代、ラグビー以外に柔道部にも所属していたのですが、顧問の先生に教えてもらいました。困難に耐えた先に、最後にはきれいな花が咲くという意味です。それを自分も実現したいと思っています」

――改めて、今季の個人とチームの目標をお願いします。

「個人としては、スクラム、ラインアウトといったセットプレーの精度を上げて、そして80分間走り切り、リーダーシップを取り続けられる選手になることです。チームとしては、『荒ぶる』を(優勝して)歌うことです。何をすれば優勝できるのかは、正直まだわかりません。僕たちは準優勝しか経験していないので、自分たちができる限りのことをして、僕自身もできる限りのリーダーシップを取っていきたいです」 

――最後に、早稲田大のファン、ラグビーファンへのメッセージをお願いします。

「今季の早稲田大はディフェンスで、かなり粘り強く我慢できています。ディフェンスの面白さに注目してほしいです。2季連続準優勝で、『今季こそ「荒ぶる」を聞きたい!』と思っているファンの方も多いと思います。日本一奪還を待っていてください! 」

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 PERSONAL INFO
はじめは野球をやっていましたが、ラグビー経験者だった父親の勧めで、体が大きかったこともあり小学5年でラグビーを始めました。当初はPRで、高校1年生の夏頃にHOへ転向。趣味はサーフィン、好物は母親が作るオムライスです。卒業論文では、自身のデータを使って、「ラインアウトのスローイング」について研究する予定です。サイドを刈り上げたこのヘアスタイルは、「THE BARBA TOKYO」で理容師をやっているワセダクラブ時代の同級生(小川天宝/東福岡出身)に毎回カットしてもらっています。

PROFILE
'04年12月27日生まれ。東京都出身。178cm/96kg。江東ラグビースクール→ワセダクラブ→國學院久我山高→早稲田大。ポジションはHO。高校日本代表、U20日本代表、U23日本代表。

取材・文/斉藤健仁 撮影/宮崎雄亮・齋藤健仁

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