有村架純×南沙良が語る、映画『マジカル・シークレット・ツアー』への思い

有村架純×南沙良が語る、映画『マジカル・シークレット・ツアー』への思い

周りに流されて生きてきた3人の女性たちが、金の密輸という犯罪を通して絆を深め、それぞれが自分の人生を取り戻していく...。
2017年、中部国際空港で主婦たちが金の密輸で逮捕された事件に着想を得た映画『マジカル・シークレット・ツアー』。夫の横領による借金を返すため、2人の子を抱えながら金の密輸に手を染める主婦・和歌子を有村架純が演じる。そんな和歌子とシンガポールで出会い、共犯者となる2人を演じるのは黒木華と南沙良。今回のインタビューでは有村と、未婚の妊婦・麻由を演じる南に、シンガポールロケでの裏話も含めて本作の見どころなどを聞いた。

――本作は女性たちが金の密輸を行うことになる話ですが、最初に聞いた時はどう感じましたか?

有村「犯罪行為なので肯定はできませんが、女性たちが人生をやり直す手段として、密輸にのめり込んでいくという物語は興味深いと思いました。それに、実体験はできませんから、映画の中で体験できるというのはとても面白いと思い、出演しようと決めました」

「実をいうと、私は最近、犯罪を描いた作品や関わるキャラクターを演じることが多くて。今度は密輸を行うキャラクターで。これも何かの縁なのかなと(笑)」

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――お2人は初共演です。ご一緒された印象は?

有村「沙良ちゃんは読書家だと知られているので、語彙力や知識が豊富でしっかりされていて、底知れない人じゃないかなと思っていました。共演してみて、その印象は変わらないですね。むしろますますミステリアスな感じがして、本当はどんな人なのか知りたくなりました」

「いえいえ、有村さんのほうがもっとミステリアスだと思います。とても穏やかで優しい雰囲気を持ってらっしゃるけれど、すごく芯が強くて、凛としていて。お話をすればするほど、どんな方なんだろうと思いました」

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――もう1人の共犯者を演じた黒木さんにはどんな印象を?

有村「黒木さんはとてもさっぱりとした性格なのかなと思いました。現場でもスタッフの皆さんを巻き込み、気さくにお話しされている姿をよくお見かけしましたし。男前な方という感じがしました」

「そうですね。本当に思わず頼りたくなる方。お話をしていてもそうでしたし、お芝居をしていてもそう思いました」

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――シンガポールのロケも見どころです。撮影時のエピソードや裏話などがあれば教えてください。

有村「撮影は昨年の4月初めでしたが、シンガポールは湿度100%でむし暑くて。和歌子が走りに走って、ビールを飲むシーンがあるんですけど、和歌子の気持ちが本当によく分かりました(笑)。でも、撮影はとてもスムーズでした。現場には現地スタッフの方たちも多くいて、私たちの作品のために献身的に協力してくださって。とても助けられましたし、楽しかったですね」

「皆さんで屋台にも行きましたよね。シンガポールは食べ物がとてもおいしくて、名物のラクサも食べました」

有村「撮影の最終日には観光スポットで知られるバーに行きました。その店は床にピーナッツの殻をポイポイ捨てる風習が有名で、シンガポールスリングを飲みながらそれをやるのが楽しかったですね(笑)」

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――和気あいあいとしたムードだったんですね。その空気感が作品からも伝わってくるように感じます。天野千尋監督はどんな方でしたか?

有村「監督からは和歌子についての人物像のようなものが書いてあるお手紙をいただいて、監督と私が思う和歌子像をしっかりすり合わせました。夫の高志役の塩野瑛久さんとのリハーサルもさせていただいたおかげで、夫婦がどんな時間を積み重ねてきたのか、台本にない部分も共有することができ、役を深めることができました」

「私もお手紙をいただきました。とくに麻由は、家族といる時は普段とは温度差がある。そのことについては監督としっかり詰めました。お芝居をする上でとても役立ちました。監督も一緒に作品と並走していたような感じでしたね」

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――本作のタイトルはとてもポップですが、描かれていることは密輸という犯罪であり、和歌子や麻由は社会的弱者や生きづらさを抱えた人間たちです。そんな人々を通して描かれた本作をどのように捉えましたか?

有村「彼女たちにとって密輸は、生きるためにそういう選択を取らざるを得なかったという状況でした。でも、密輸をしている時が一番、自分らしくいられたのだと思います。だから和歌子たちが金の密輸をして、楽しそうにしている姿を映し出せればいいなと思いながら演じていました」

「私は普段の生活の中でも、人が与えられた環境はすごく不平等で、理不尽だなと思っています。そして彼女たちのように、正しいことと、自分ができることとの間で揺れたり、悩んだりすることがすごく多いので、この物語には共感しやすかったし、麻由を演じていても感情移入しやすかったですね」

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――作品の冒頭に「2017年、あの旅が私を変えた」という和歌子のセリフがありました。ご自分にとって人生の転機になったような出来事や出会いの経験はありますか?

有村「私にとってはこのお仕事を始めたことがそもそもそうですが、21歳のとき、『ストロボ・エッジ』という作品で廣木隆一監督に出会ったことが大きかったですね。何テイクも重ねるような撮影で。監督から『余計なことをしなくていいから、気持ちで演じなさい』と言われました。当時はよく分からなかったけれど、お芝居の根本にあるのは心なんだということを教えてくれた監督で、その言葉が今の自分を作ってくれた気がしています」

「私はまだ出会っていない気がします。いろんなことに影響を受けたり、刺激を受けたりしていますが、私はいつも何かに悩んだり、辛いなと思ったりしている。きっとこれから、出会うのかもしれませんね」

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――最後に本作をご覧になる方へメッセージをお願いします。

有村「この作品は人生の再起をかけた青春物語だと思っています。誰もが『こんなはずじゃなかった』と思う状況は、きっとあると思います。その時に何を選択すべきか。ここに登場する女性3人にご自身を重ねて、笑って見てくださったらうれしいです」

「滑稽だし、シュールなところもある物語ですが、人生を取り戻すために思いっきり走っているところを笑って楽しんで見てください」

取材・文/前田かおり

衣装/ジャケット IRENISA、ニット・コードハーネス共に AOIWANAKA、ネックレス・ブレスレット・イヤーカフ・リング共に JUSTINE CLENQUET(以上、南沙良) 写真/中川容邦 スタイリスト/瀬川結美子(有村架純) 藤井希恵 (THYMON Inc.)(南沙良) ヘアメイク/新山いずみ(有村架純) 坂本志穂(南沙良)

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