安田章大(SUPER EIGHT)×のんが紡ぐ兄妹の物語 映画『平行と垂直』インタビュー
映画 インタビュー
2026.07.20
映画『平行と垂直』が8月28日(金)より公開される。本作は、ASD(自閉スペクトラム症)の兄・大貴とその妹・希(のぞみ)の人生を通して、人と人とのつながりを描くヒューマンドラマ。企画と主演の大貴役を務めた安田章大と希を演じたのんに、作品への思いについて聞いた。
――映画「平行と垂直」はどのように生まれたのでしょうか?
安田「原案・脚本の山野海さんと即興劇のバラエティ番組で出会い、その時に人と人とのコミュニケーションや言葉について語り合ったんです。僕は普段から言葉だけが人の本音を伝えるものではないと思っていて、瞳の奥や表情、空気感のようなものにこそ、その人が表れると感じていました。そうした話をしていたら、海さんが『温めている構想がある』と話してくださって、『ぜひ、やりましょう』と伝えたのが始まりです」
のん「脚本を読んだ時、すごく心が温かくなる物語だなと思いました。兄妹の関係性もそうですし、登場人物たちがそれぞれの立場で誰かを理解しようとしているところに惹かれました。さらに安田さんと山野さんが大切に育ててきた作品だと聞いて、参加できることが本当にうれしかったです」
――役づくりにあたって実際に取材もされたそうですね。
安田「ASDの方々と交流する機会をいただきました。皆さん一人ひとり本当に違うんです。ユーモアのある方もいれば、とてもシャイな方もいる。そこで僕がたどり着いたのは、『大貴は大貴でいい』ということでした。ASDだからこう演じる、ということではなく、大貴という一人の人間として彼の過去や現在、そして未来を想像しながら台本をそしゃくしたら、自然と大貴という人物が立ち上がってきました」

のん「私は希と似た立場のカウンセラーの方にお話を伺いました。実際の体験をもとに『この場面はリアルですよ』『こういう感情になります』といったことを教えていただいたんです。希のような兄弟姉妹の立場についてはそれまで深く考えたことがなかったので、とても勉強になりました」

――作中では言葉を交わさなくても通じ合う兄妹の関係性が印象的でした。演じるうえでどのようなことを意識されましたか?
安田「ASDと一言で言っても、一人ひとり違うんです。取材でも、感情まで理解できるという方もいれば、そうではないという方もいる。ご家族の受け止め方もさまざまでした。だから僕は『大貴はどう感じるだろう』と考えて、彼の感情を理解して演じました。姿勢や手の置き方、体の緊張感、空気のまとい方まで含めて、全体で大貴を表現したいと考えていました」

(C)2026「平行と垂直」製作委員会
のん「希が感情をぶつける場面では、怒りややりきれなさをしっかり伝えつつ、関西弁がきつくなり過ぎないように気を付けました」
安田「のんさんが演じる希の怒りには、心配や寄り添う気持ちが感じられました。それが軸になっていたから自然な兄妹の関係性が描けたと思います」
――作品を通して、家族に対する考え方に変化はありましたか?
安田「僕自身、大きな病気の経験から、家族には感謝や愛情をきちんと伝えようと思って生きてきました。病気をしてからは"死を思う"ことが以前より身近になって、家族とも普通に話します。この作品でさらに伝えたいことをしっかり話し合う機会が増えましたね」
のん「私は家族への感謝を改めて感じました。自分が大人になるにつれて、両親がどれだけ大変な思いをしながら育ててくれたのかも分かってきました。この作品を通して、そうした思いを改めて見つめ直しました」

(C)2026「平行と垂直」製作委員会
――最後に、この映画を通して届けたい思いを教えてください。
安田「人はみんな横並びでつながっている存在だと思っています。この作品が、ASDを知るきっかけになったり、理解する入り口になったらうれしいですね」
のん「家族も他人も、不器用でも歩み寄ろうとすることはできると思います。この映画を見た方が、人と人とのつながりに希望を感じてくださったらうれしいです」

(C)2026「平行と垂直」製作委員会
取材・文/水本晶子 写真/中川容邦
スタイリスト/袴田能生(juice)(安田章大) 町野泉美(のん) ヘアメイク/山﨑陽子(安田章大) 菅野史絵(のん)




