ウーレイ(呉磊)が映画で新境地!ドラマとは違う表情と繊細な演技力で存在感を発揮
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2026.06.18
チャオ・ルースー(趙露思)とのW主演ドラマ「星漢燦爛<せいかんさんらん>」で精悍(せいかん)な将軍を演じ、一躍注目を浴びた中国の若きスター、ウー・レイ(呉磊)。3歳から芸能活動を始め、現在26歳の彼は、すでに20年以上のキャリアを誇る。近年は「ロマンスの降る街」など大人のラブロマンスでも人気を集める一方、映画では繊細な内面表現でも評価を高めている。ベテラン俳優陣と共演した『西湖畔(せいこはん)に生きる』(2023年)と『来し方 行く末』(2023年)から、映画俳優としての彼の存在感に迫る。

「西湖畔(せいこはん)に生きる」
(C) Hangzhou Enlightenment Films
杭州・西湖のほとりで繰り広げられる母と息子の物語
ウー・レイは子役時代から数々のドラマに出演し、中国の視聴者に長年親しまれてきた。一方で、10代最後の年にはチャン・イーモウ監督作『SHADOW/影武者』(2018年)に出演するなど、映画界でも着実にキャリアを重ねる。そんな彼にとって大きな転機となったのが、『西湖畔(せいこはん)に生きる』だ。第36回東京国際映画祭ではコンペティション部門に選出され、俳優としての新たな評価を獲得した。
本作は、釈迦の弟子・目連が地獄に堕ちた母を救う仏教故事「目連救母」に着想を得た現代劇だ。中国有数の茶葉の名産地として知られる杭州・西湖を舞台に、母タイホア(演:ジアン・チンチン)と息子ムーリエン(演:ウー・レイ)の過酷な運命を静かに映し出していく。10年前に父が失踪し、タイホアは女手一つでムーリエンを育ててきた。しかし、茶摘みの仕事を失ったことをきっかけに違法なマルチ商法へと傾倒。派手な装いと言動で別人のように変わっていく母を前に、ムーリエンは彼女を救おうとある決断を下す――。

「西湖畔(せいこはん)に生きる」
(C) Hangzhou Enlightenment Films
悪夢のような現実をしなやかに受け止める繊細な演技
「ウー・レイは若い世代の俳優の中で、"自然の子"のイメージにぴったり。彼は太陽のようにはつらつとした感じがあり、現代の文明社会に生きていながら、自然とつながる可能性を秘めている」と語るのは、メガホンを取ったグー・シャオガン監督だ。実際、ウー・レイ演じるムーリエンは、劇中を通して西湖の雄大な自然に静かに溶け込んでいく。
山の茂みに寝転び、「1本の木の時間はどんなだろう」と思いを巡らせるムーリエン。一方、家に戻れば母タイホアは「杭州で暮らすには仕事を見つけて結婚相手も探さないと。結納金も家も必要。お金がいるわ」と現実をまくし立てる。自然の中で自由に呼吸する息子と、生活に追われ続ける母――その対比は序盤から鮮烈に描かれる。
物語が進むにつれ、タイホアの精神は徐々に追い詰められ、やがて大きな悲劇によって限界を迎える。しかし、同じ過酷な現実を前にしても、ムーリエンは折れることなく、その痛みを静かに受け止めようとする。母を支え続けるムーリエンの深い愛情と包容力を、ウー・レイは20代とは思えないほど成熟した繊細な演技で表現し、見る者に強い余韻を残している。

「来し方 行く末」
(C) Beijing Benchmark Pictures Co.,Ltd
言葉より"たたずまい"で魅せるウー・レイの新境地
一方、『来し方 行く末』は"弔辞の代筆業"というユニークな題材を通して、人と人とのつながりを描くヒューマンドラマ。フー・ゴー(胡歌)とウー・レイにとっては、ドラマ「楊家将伝記 兄弟たちの乱世」、「琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~」に続く3度目の共演作となる。
主人公のウェン・シャン(演:フー・ゴー)は、脚本家として商業デビューという夢に敗れ、今は葬儀場で弔辞の代筆を請け負いながら生計を立てていた。遺族への丁寧な取材を重ねて書き上げる弔辞は評判を呼ぶ一方で、本人は「このままでいいのか」と自問自答を繰り返す。そんなウェンと同居しているのが、どこかつかみどころのない青年シャオイン(演:ウー・レイ)。弔辞を書くためにさまざまな依頼人たちの人生に触れていく中で、止まっていたウェンの時間もまた、少しずつ動き始める。

「来し方 行く末」
(C) Beijing Benchmark Pictures Co.,Ltd
"ただそこにいる"ことで際立つウー・レイの存在感
本作で描かれる会話の多くは、ウェンが弔辞を書くために行う"取材"だ。ウェンは依頼人たちの話に耳を傾け、故人の思い出を少しずつ引き出していく。最初は煩わしそうにしていた依頼人たちも、語り始めるうちに忘れていた記憶を呼び起こし、故人への思いを改めて見つめ直していく。
そして、取材を終えて帰宅したウェンの話を今度は静かに受け止めるのが、ウー・レイ演じるシャオインだ。依頼人たちの言葉がウェンの中でゆっくりと整理され、やがて弔辞として形になっていく過程を、彼はただそばで見守り続ける。多くを語らない役柄でありながら、視線やたたずまいだけで強い印象を残すウー・レイ。その"ただそこにいる"演技が、シャオインという不思議な存在に確かな説得力を与えている。
主演ドラマでは物語を力強くけん引することの多いウー・レイだが、『西湖畔(せいこはん)に生きる』と『来し方 行く末』のスクリーンでは、言葉以上に"存在そのもの"で感情を伝える俳優としての魅力が際立っている。26歳にしてキャリア23年――その積み重ねがあるからこそ生まれる静かな深みが、2作品を通して鮮やかに浮かび上がっている。
文/酒寄美智子




