ジャッキー・チェン×ラルフ・マッチオが夢の共演!『ベスト・キッド』最新作で交差する二つの物語

ジャッキー・チェン×ラルフ・マッチオが夢の共演!『ベスト・キッド』最新作で交差する二つの物語

1984年に全米公開された映画『ベスト・キッド』は、若者を中心に大きな話題を呼び、記録的なヒットを飛ばした。劇場には、『ロッキー』にも通じる"負け犬が立ち上がる物語"に胸を熱くする少年たちだけでなく、前年の映画『アウトサイダー』でYA(ヤングアダルト)スターの代表格となったラルフ・マッチオを目当てに、多くの少女たちも詰めかけた。観客の心を奮い立たせるドラマに、上映後の劇場は興奮に包まれ、本作をきっかけに空手教室へ通い始める子どもたちが続出。やがてその熱狂は世界中へ広がり、空手ブームを巻き起こすほどの社会現象となった。

映画は大ヒットを受けてシリーズ化。空手の達人ミスター・ミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)の故郷・沖縄を舞台にした続編『ベスト・キッド2』、宿敵コブラ会の暗躍によって師弟コンビに別れの危機が訪れる『ベスト・キッド3 最後の挑戦』、そしてヒラリー・スワンク演じる"カラテ・ウーマン"とミヤギが新たな師弟関係を築く『ベスト・キッド4』へと物語はさらに広がっていった。さらに、オリジナル版で主人公のライバルだったジョニー・ロレンス(ウィリアム・ザブカ)を主役に据え、中年となった彼が人生の再起を図る姿を描いたスピンオフドラマシリーズ「コブラ会」も制作され、こちらも大きな人気を集めながらシリーズの幕を下ろした。

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「ベスト・キッド:レジェンズ」
(C)2025 Columbia Pictures Industries, Inc. and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved.

オリジナルとリメーク、二つの世界線が交差する

一方、2010年には舞台を中国へ移し、孤独な少年がカンフーを通じて成長していく姿を描いたジャッキー・チェン主演のリメーク版『ベスト・キッド』も誕生。こうして作品世界は映画やドラマへと広がりを見せ、いまや"ベスト・キッド・ユニバース"へと発展している。そんな中、ラルフ・マッチオ演じる主人公ダニエルを中心とした『ベスト・キッド』シリーズと、ジャッキー・チェン演じるミスター・ハンが登場するリメーク版『ベスト・キッド』――これまで決して交わることはないと思われていた二つの世界線が、まさかの邂逅(かいこう)を果たしたのがシリーズ最新作『ベスト・キッド:レジェンズ』である。

シリーズの基本的な物語は、「師匠から武術の教えを受けた少年が、自らを鍛え上げて強敵に立ち向かう」というもの。作品ごとに多少のアレンジは加えられているものの、師弟の絆を軸にしたストーリーラインは、この最新作でも変わらない。オリジナル版へのリスペクトを随所に感じさせる本作では、『ベスト・キッド2』で描かれたミヤギのルーツにも踏み込み、かつてミヤギとハンの間に交流があったという設定を提示。これにより、これまで別々に存在していた二つの物語世界を、違和感なく一つに結びつけている。

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「ベスト・キッド:レジェンズ」
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実在の空手少年のエピソードから生まれた物語

ちなみに、オリジナル版のストーリー誕生のきっかけは、プロデューサーのジェリー・ワイントローブがテレビで偶然目にした、実在の空手チャンピオンのエピソードだったと言われている。体が小さく、いつもいじめられていた少年が、自分の身を守るため空手を始め、やがてチャンピオンにまで上り詰める――。そのインタビューで彼は「これでもう戦わなくて済む」と語ったといい、この言葉が物語の着想につながったという。そこに長年、沖縄空手を学んできた脚本家ロバート・マーク・ケイメンが、空手の神髄や精神性を織り込み、物語にさらなる深みを与えていった。なお、ジャッキー・チェンも『ベスト・キッド』が香港で公開された際、すぐに映画館へ足を運び、大きな感銘を受けた一人だったことを後に明かしている。

スピンオフドラマ「コブラ会」でも描かれていたように、大人になったダニエルは、ミヤギから受け継いだ空手道の精神を守り続け、今や立派な師匠となっていた。一方、「人生のすべてにカンフーがある」という哲学をドレ少年(ジェイデン・スミス)に伝えたハンもまた、武術の精神を体現する存在。そんな二人が最新作で手を組み、指導することになるのが、中国からニューヨークへやって来た17歳の高校生リー(ベン・ウォン)だ。彼はかつて、卑劣な相手に襲われた兄を助けることができなかった過去に強い後悔を抱き、その出来事をきっかけに戦うことから距離を置いていた。だが、大切な人を守るため、リーは再び自らの力と向き合い、戦う決意を固めていく。

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「ベスト・キッド:レジェンズ」
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"ワックスがけ"に象徴される特訓シーンの魅力

本シリーズの最大の見どころといえば、やはり特訓シーンだろう。思い返せば、オリジナルシリーズでも数々の印象的な修行シーンが描かれてきた。ミヤギから命じられるのは、車のワックスがけやペンキ塗り、床磨きといった、一見すると空手とはまったく関係のない作業ばかり。延々と続く雑用にダニエルは次第に苛立ちを募らせ、「空手を教えてくれる約束じゃないか!」と怒りをぶつけるが、ミヤギは「山ほど学んでいる」と意に介さない。ところが半信半疑のまま動いてみると、それらの動作こそが空手の型として生きてくる――そんな名シーンがあった。

『ベスト・キッド』シリーズ第1~3作でメガホンを取ったジョン・G・アヴィルドセン監督は、自他ともに認める"アンダードッグ(負け犬)の大いなるシンパ"。その出世作『ロッキー』でも、肉を殴るトレーニングや生卵を飲み干す場面など、見る者の記憶に残る特訓シーンが数多く登場した。弱者が努力を重ねて強くなっていく過程を描く――その王道のドラマがあるからこそ、本シリーズでも特訓シーンは胸を熱くする名場面として強い印象を残している。

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「ベスト・キッド:レジェンズ」
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一方、リメーク版でもこの特訓シーンの哲学はしっかりと受け継がれている。こちらでは、ジャケットを棒に掛けて、外して、着て、脱いで、床に落として拾い、また掛ける――そんな一見単純な動作の反復が、実はカンフーの基礎訓練となっていた。そして最新作でも、回転する丸太を使った修行や地下鉄の改札を利用したトレーニングなど、ユニークな特訓シーンが登場し、『ベスト・キッド』イズムは変わらず息づき、ダニエルの背後には常に師匠ミヤギの精神が宿っている。一方のハンも、リーやドレだけでなく多くの若者を導いてきた師匠だが、演じるジャッキー・チェン自身もまた、実際に結成した「JCスタントチーム」を通じて数多くの若手映画人を育ててきたレジェンドである。そんな二人の"師"がスクリーン上で出会う瞬間は、視聴者にとってはもちろん、映画史的に見ても大きなカタルシスを生む場面と言えるだろう。

文/壬生智裕

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