齊藤京子が日向坂46卒業直後に映画『恋愛裁判』で見せたリアリティー
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2026.01.24
1月23日より公開中の映画 「恋愛裁判」は、深田晃司監督が企画・脚本(共同)・監督を手掛けたオリジナル作品で、アイドル文化と個人の恋愛の自由というテーマを真正面から描いた社会派の物語だ。主人公は、人気アイドルグループ 「ハッピー☆ファンファーレ」 のセンターを務める山岡真衣(齊藤京子)。偶然再会した中学の同級生・間山敬(倉悠貴)と恋に落ちた真衣は、活動規約の「恋愛禁止ルール」に抵触しために所属事務所から契約違反として裁判にかけられてしまう。「アイドルの恋愛禁止」という禁断のテーマを深く掘り下げ、個人の自由と社会のルールに切り込んだ意欲作だ。主演を務める齊藤京子にインタビューを敢行し、作品への思いを語ってもらった。

■齊藤京子のイメージをあえて払拭して、アイドルを演じたかった
――まずは、本作「恋愛裁判」に対して、どのような意気込みを持って臨みましたか?
「日向坂46を卒業後、2カ月でこの作品に出合い、これまで触れてこなかった内容に衝撃を受けました。役者としてリスタートするタイミングでの新たな挑戦になるので、絶好の機会だと感じて、この役を演じたいという気持ちがとても強かったです。アイドルの恋愛禁止という、ある種のタブーに挑んでいる点もすごいのですが、第三者としての視点で捉えると、物語として本当に面白いストーリーだなと思いました。私が演じることで、リアリティーというか説得力が出せればいいと思いましたし、脚本を読んで改めて、この面白い物語を映画化するのに貢献したいという気持ちがありました。ライブでイヤモニを装着するタイミングだとか、細かい点について私の経験を監督にお話しして、実際に映画に反映していただいたこともあります」
――演じている山岡真衣の人物像について、どのように捉えましたか?
「真衣はひたむきにアイドル活動に向き合う、とても真面目な人であるということが第一。そして自身の考えを曲げることなく、自分らしさを追求するところが良さであり、作品自体がそんな彼女の成長物語にもなっています。何があってもブレないところがカッコいいし、特に終盤で彼女が大きな選択をする場面に象徴されていると思います」

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会
――演じる上で、特に意識したことは何でしょう?
「真衣のキャラクターについては、深田監督と何度も話し合いましたし、特に意識したことは、"アイドルの齊藤京子"を連想させないことでした。見た目もなるべくアイドル時代の私に見えないように髪を染めたり、髪型もアイドル時代にしたことのないものにしたりして...。元アイドルの私がアイドルの役を演じるので、私自身のイメージと被ってはいけないから。とにかく、アイドル齊藤京子のイメージを完全に払拭したかったんです。私をよく知るファンの方にも、"山岡真衣"として見てもらえるように意識しました」
■深田監督のアドバイスは、今後の活動においての財産になった

――深田晃司監督の印象や演出について、感じたことはありますか?
「深田監督は、撮影前の本読みやリハーサルを入念にする方です。ライブ場面の振り入れやレコーディングなど、練習期間をしっかり積んでから撮影に入りました。深田監督の演出には、独自のアドバイスがとても多くて、本当に唯一無二の監督さんだなと感じました。監督からは、いい意味で"小さくお芝居をするように"と言われました。画面の向こうの人に届けようとは思わずに、2人で会話する場面なら、そこだけで成立すればいいので、声量もなるべく落とす。それがリアルになるから、というのが監督の考えなんです。だから、この映画は、まるでドキュメンタリーフィルムのように見える映像になっています。それが深田監督流の演出なのかなと思いました」

――撮影で苦労したことは、ありましたか?
「やはり、裁判のシーンはとても緊張しました。アイドルの場面を撮り終えてから、裁判シーンの撮影に入ったのですが、別の映画かと思うほどに現場の雰囲気も一変しました。でも、その分私も気持ちを切り替えやすかったです。ただ、被告人席に立つと、その場にいる全員の視線が自分に集中して、本当に怖かったです。訴えられている側だけど、自分の軸になっている大切な思いを伝えたい...。それでもその場にいる人たちは自分と逆の立場で見ているので、演技とはいえ、すごく辛かった...。すごく疲れました。法廷シーンではメイクもスッピンに近い感じでしたし、実際に相当な疲労感を持って演じていたことで、あのダークな雰囲気が作りあげられたように思います」
■アイドルグループを演じた5人は、仲良しで最高のチームになれた

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会
――では、逆に楽しかったことは?
「アイドルのシーンが楽しかったです。アイドル活動を再びしているような感覚でしたね。劇中のハッピー☆ファンファーレを演じた5人は、すごく仲良くなり、撮影の合間にもみんなでゲームしたり、わいわいお喋りしたりして...。撮影のない日もグループLINEで交流するなど、5人全員が仲良くなれました。私と梨紗を演じた小川未祐さん以外の3人が先にクランクアップを迎えた時には、彼女たちが卒業してしまうような感情が芽生えて、ショックで大泣きしてしまいました(笑)。東京国際映画祭で久々に再会した時も、撮影中とまったく変わらなくて、すごくいいチームだなと思いました」

――本作に参加して得られたこと、今後の糧になったことはありますか?
「深田監督のような演出をする方は本当に初めてだったので、この作品で監督からいただいたアドバイスは、これからの俳優活動において忘れがたい財産になりました。特に、リアリティーを追求する作品に出演する時は、絶対に生かせると思います。とにかく、たくさんのことを学ばせていただき、勉強になることばかりでした。また、本作でカンヌ国際映画祭のレッドカーペットアライバルにも参加できたことは、今思い返しても幻のように感じるほど素晴らしい体験で、一生忘れられません。本当に無上の喜びでした」
――では最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
「アイドルの恋愛禁止という、誰もが気になるようなテーマを描いた意欲的な映画です。最後までシンプルに楽しめるストーリーだと思いますし、映画館のスクリーンで観ていただくことで、よりリアリティーを感じられる作品です。ぜひ映画館に足を運んでほしいです。アイドル活動のディテールをリアルに描いた場面も見どころの一つですし、一方で後半の裁判のシーンは劇中の世界が一変します。そのコントラストこそがこの作品の醍醐味だと思うので、最後まで楽しんでいただけたらうれしいです」

取材・文/渡辺敏樹 撮影/下田直樹
ヘアメイク/木戸出 香 スタイリスト/藤井エヴィ




