覇者への道を進むキャラクターたちの"歩み"を見よ! 任侠ものが苦手な人も楽しめる作品の魅力を解説
映画 TV初
2025.03.12
「CONNECT 覇者への道」7~9が、3月15日(土)に映画・チャンネルNECOで放送される。
同作品はNBCユニバーサルが最強俳優陣で放つ、新たな任侠シリーズの最新エピソードだ。恩田勝久(國本鍾建)率いる「虎西会」の本格始動を中心に、宗像清蔵(高岡蒼佑)ら「烈士会」を巻き込んだ一大騒動を描く。
東京最大の組織「八王会」の四代目会長を黒須明人(本宮泰風)が襲名、横浜の「東洋会」に属する「宗像組」が増強されるなど、関東の勢力図が塗り替えられようとしていた。一方、大阪を拠点とする日本最大の組織「真道組」若頭・恩田は、広島の「呉道会」、兵庫の「神戸三田組」、京都の「京都嵐山一家」、福岡の「博多連合会」、愛知の「名和会」が加わった一大連合「虎西会」を本格的に始動させ、自らの地盤を固める。「虎西会」をまとめる恩田と「真道組」の組長の対立が激化し、宗像率いる「宗像組」の沢村竜一(山本裕典)と相馬邦人(北代高士)は、日本を揺るがす一大抗争に巻き込まれていく。
任侠ものが苦手な人にこそお薦め! ジャンルを超えたエンタメ作品
「CONNECT 覇者への道 8」 ⒸNBCユニバーサル・エンターテイメント
今回のエピソードは「CONNECT 覇者への道」の4~6で描かれたエピソードと同じく、極道たちそれぞれの思惑が絡み合い一つの事件へと向かっていく"任侠もの"の醍醐味が満載。それぞれの立場や他の組との関係、面子(メンツ)、プライド、仁義、野望、利権、愛など、さまざまな要素がうずまく中で"誰が勝ち残るのか"というエンタメ作品の魅力の核心を突いた、かゆい所に手が届くファンの期待を裏切らないものに仕上がっている。
そんな中で、同シリーズは「任侠ものが苦手」という人にぜひチャレンジしてほしい作品だ。"任侠もの"とジャンルを分けると、一部のコアなファンに寄せた作品のように思われがちだが、同シリーズのストロングポイントは、令和の時代にアジャストし、エンタメ要素をふんだんに取り入れたアップグレード作品となっているところにある。
シリーズを通して「宗像組」が大きくなっていく『成長・拡大』、沢村と相馬がさまざまな人との出会いによって変化する『人間的な成長』、東洋会の暗殺組織「烈士会」の活動での宗像による『アクション』、組長たちによる『心理戦』、先の展開が読めない『考察しがいのあるストーリー』なども満載。欠けているのは『甘酸っぱい胸キュン』くらいで、エンタメ作品としてのクオリティーが高く、任侠ものが苦手な人が視聴すれば食わず嫌いだったことに気づくはずだ。
「CONNECT 覇者への道 9」 ⒸNBCユニバーサル・エンターテイメント
実は珍しい試みも施された初心者にも優しい作りに注目
これは制作陣の狙いでもあるはずで、その証拠に任侠もの初心者に優しい試みが多数施されている。例えば「役職と名前の表示」だ。任侠ものの特徴の一つに登場人物の多さが挙げられるが、トップから末端までかなりの人数が登場するだけでなく、それが複数組あるとかなりの人数で、名前からそれぞれの立場まですぐには覚えられないというウイークポイントが存在する。しかし同シリーズではキャラクターの登場時にしっかりと役職・名前を字幕で表示し、見やすさと分かりやすさを担保。絵画(えづら)や雰囲気が損なわれることを恐れてせりふで済ませるパターンが多いのだが、主要キャラだけでなく割と細部のキャラクターに対してもこの表示が施されており、シリーズ途中から参戦する視聴者や前エピソードから期間が開いて視聴する人もすんなりと作品世界に入ることができる。
また、ちょっとした笑いの要素が入っているところもポイント。「絶対殺すなよ」と言っていた者が真っ先に殺してしまい仲間に突っ込まれるシーンや、(宗像組はラーメン店を経営しているのだが)遠征先でラーメンについて熱く講釈を垂れるシーンなど、強面(こわもて)でドスの効いた声で威嚇し合うだけでなく、思わずクスリとさせられてしまう場面が散りばめられており、自然と入っていた力をいい塩梅(あんばい)で抜いてくれる。
日本制覇に向けて歩みを進める組織を中心に展開される魅力あふれるストーリーと共に、令和時代にアジャストされたエンタメ性とその裏に施された制作陣の優しい作りに体を預けて"任侠もの"デビューしてみてはいかがだろうか。
文/原田 健