MLB開幕に合わせて見たい!とんねるず・石橋貴明も大活躍の映画『メジャーリーグ』シリーズで味わう野球の醍醐味
2025.03.13
今シーズン、大谷翔平選手、山本由伸選手に加え、佐々木朗希選手が新たに入団し、注目を集めているMLB(メジャーリーグベースボール)の人気球団、ロサンゼルス・ドジャース。3月18日、19日には、東京ドームで開幕戦が開催される。対戦相手は、鈴木誠也選手、今永昇太選手が所属するシカゴ・カブス。日本のスター選手がそろう豪華な顔ぶれの対戦カードとあって、大きな話題を呼んでいる。そんなMLBの世界を描き、大ヒットを記録したのが、1989年公開の映画『メジャーリーグ』だ。
落ちこぼれ選手ばかりの弱小チームの逆襲!
本作には、1986年公開の映画『プラトーン』で注目を集めたトム・ベレンジャー、チャーリー・シーンが出演。製作総指揮には、『追憶』『トッツィー』『愛と哀しみの果て』などで知られるシドニー・ポラック。さらに、『スティング』でアカデミー賞脚本賞を受賞したデヴィッド・S・ウォードが監督を務めている。物語は、MLBの伝統あるチーム、クリーブランド・インディアンスに女性の新オーナーが誕生したことから始まる。彼女は、本拠地をマイアミへ移すため、チームの人気を意図的に低下させようと、あえて落ちこぼれ選手ばかりを集めたチーム編成を行う。
集められたのは、刑務所上がりの制球力のないピッチャー、キューバからやって来たブードゥー教信者、見た目ばかり気にして怠慢プレーを繰り返す男、足の速さだけが取り柄のお調子者など、クセ者ぞろい。オーナーの思惑通り、彼らは三振やエラーを量産し、連戦連敗。チームはどん底に沈んでしまう。しかし、ある試合で待望の1勝を挙げて歓喜に沸く彼らに、新オーナーは悪態をつき始める。そこで彼女の悪だくみを知ることになった監督、選手たちは一致団結。ここからインディアンスの逆襲が始まる。
インディアンスが起こした奇跡と映画の舞台裏
本作に登場するのは、MLBの実在球団、クリーブランド・インディアンス(現:クリーブランド・ガーディアンズ)。アメリカンリーグ創設時からの歴史を持つ伝統あるチームだが、映画が公開された1989年当時は、1954年のリーグ優勝を最後に長い低迷期にあった。本作の企画を立ち上げたのは、故郷クリーブランドの球団インディアンスを愛するウォード監督。「長い低迷を続けるチームの優勝シーンをスクリーンで見たい」「インディアンスに奮起してほしい」という思いから、本作の構想を温め続けてきた。当初は、MLBの実在球団を題材にした映画は実現不可能と言われたが、ウォード監督の情熱はクリーブランド市民やインディアンス関係者の心を動かし、ついに製作が実現。彼の熱い思いが込められた作品となった。
クライマックスのヤンキース戦では、約7万5000人ものエキストラが参加。長年優勝から遠ざかっていたチームの歓喜の瞬間を疑似体験できるとあって、クリーブランドの住民たちは熱狂。その応援ぶりは、まさに狂喜乱舞といえるほどだった。また、本作には根っからの野球少年であるチャーリー・シーンも出演。カンザスの大学から特待生のスカウトを受けた経験を持つ彼が登場し、入場曲であるアメリカのロックバンドXの楽曲「ワイルド・シング」が流れると、会場は総立ちに。観客の声援を受けながら披露したダイナミックな投球フォームは、まさに迫力満点だ。そして、本作が生んだ奇跡は、スクリーンの中だけにとどまらなかった。映画公開から5年後の1995年、インディアンスはついに悲願のリーグ優勝を果たす。
チームを救う外国人選手を石橋貴明が熱演!
それから5年後となる1994年には続編となる『メジャーリーグ2』が公開。アメリカンドリームを体現したはずの彼らだが、優勝の美酒に酔いしれ過ぎてすっかり精彩を欠いてしまう。そんな怠惰なプレーの数々に観客動員数も減少。どん底にあった彼らに喝を入れるべく入団したのが、とんねるず・石橋貴明が演じる助っ人外国人選手のタカ・タナカだ。"カミカゼ"の異名を持つ彼は、外野フライのたびにフェンスに激突したり、空振りしたバットを頭で折ったりと、ハイテンションかつ熱のこもったプレーでチームメートを鼓舞し続け、彼らのやる気を取り戻していく。
帝京高校野球部出身の石橋にとって、本作は待望の野球映画出演であり、ハリウッドデビュー作となった。アメリカでもタカ・タナカの知名度は抜群で、彼がMLBの取材に出向いた時などは、選手たちが「タカ・タナカだ!」とうれしそうにしているのが印象的だ。また、タカ・タナカは大リーグの下部組織であるマイナーリーグのサウスキャロライナ・バズ(通称:ブンブンズ)を題材とした番外編的作品となる1998年公開の『メジャーリーグ3』にも出演。前作同様にペドロ・セラノ(デニス・ヘイスバート)との名コンビぶりは健在。シリーズの中でも、ひときわ強烈なキャラクターとして存在感を発揮している。
MLB開幕に合わせて見たい、映画『メジャーリーグ』シリーズ。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる熱いプレーは、何度見ても胸が躍る。野球の魅力や、チーム一丸となって勝利をつかむ姿を描いた本作を通じて、MLBの世界をより身近に感じられるはずだ。
文/壬生智裕