【LiLiCo傑作選も必見!】'25年のオスカー像は誰の手に⁉ 世界最大級の映画の祭典「アカデミー賞」
2025.02.21
年末から翌年の3月までは「アワードシーズン」と呼ばれ、映画界は熱気にあふれる。そのトリを飾るのが、アメリカのアカデミー賞。今年はどの作品が、そして誰がオスカー像(トロフィー)を手にするのか。この記事では、'25年アカデミー賞を楽しむために知っておきたい基礎知識やトリビアを紹介する。また、映画コメンテーター・LiLiCoさんが、3月に放送・配信する歴代アカデミー賞受賞作より、「絶対に見てほしい」作品をピックアップ!
知るともっと面白い!アカデミー賞にまつわるトリビア
■選考対象の条件は?
原則として前年の1年間に、ロサンゼルス郡内の映画館で、1日3回以上の上映回数で、少なくとも7日連続で有料上映された40分以上の作品であること。これらすべてをクリアした作品がノミネート審査の対象になり、約1万名に及ぶ審査員によって絞られた10作品程度がアカデミー賞の「ノミネート作品」になる。
■誰が決めるの?
著名な映画製作者によって組織される「映画芸術科学アカデミー」の会員による無記名投票で決定される。会員数は'24年現在で10,500名以上。30カ国以上の映画人が会員となっている。
クレジット:ロイター/アフロ
■目玉は開幕前のレッドカーペット
賞にノミネートされたスターたちがドレスアップをして、レッドカーペットに登場するシーンもアカデミー賞の楽しみの一つ。一流ファッション誌がこぞって特集を組むほど注目されている。
■「オスカー」はトロフィーの愛称
アカデミー賞で贈られるトロフィーの正式名称は「Academy Award of Merit」。授賞式のオープニングで司会者やプレゼンターが「オスカーと家に帰るのは誰なのでしょうか?」と決まり文句のように発言していることから、いつの間にか世界的にも定着するようになった。
■賞金はゼロ
アカデミー賞の受賞者には受賞名が刻印されたオスカー像が贈られるだけで、賞金や副賞は一切ない。なお、ノミネートされただけで賞を逃した人物には、日本の福袋のようなものが贈られ、年によって中身は異なるが、服飾品や旅行券など、総額は数万ドル相当にもなるといわれている。
LiLiCoさんSelection/アカデミー賞傑作選
撮影/菊竹規
3月は、アカデミー賞を受賞した作品が数多く放送・配信される、まさに「アカデミー賞月間」。中でも必見の作品を映画コメンテーターのLiLiCoさんがピックアップ!
©2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
ろう者の父が初めて娘の歌を「聴いた」シーンに号泣!
「コーダ あいのうた」
オリジナルのフランス映画「エール!」も素晴らしいけれど、ハリウッドでリメークした本作は、アレンジも楽曲も申し分なし!ろう者と聴者の世界をまたぐ体験の共有、その瞬間の描写だけでも泣けます。作品賞を受賞した中でもトップクラスの傑作。
※第94回('21)作品賞・脚色賞・助演男優賞
©2002 Miramax Film Corporation
ミュージカルに苦手意識がある方もきっと楽しめます!
「シカゴ」
ミュージカル経験のあるキャサリン・ゼタ=ジョーンズの歌と踊りはそれだけでも一見の価値大。主人公を演じたレニー・ゼルウィガーも初挑戦ながらまったく負けてない!女のマウントの取り合いはたまらなく面白く、そして美しい。元気がもらえる作品です。
※第75回('02)作品賞、助演女優賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、音響賞
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
モンスター映画界のカリスマ、CGに頼らない撮影も素晴らしい!
「シェイプ・オブ・ウォーター」
「シェイプ・オブ・ウォーター」で初の作品賞、監督賞に輝いたギレルモ・デル・トロ。半魚人のような不思議な生物と声の出ない人間の女性のラブストーリーで、ありえない世界観なのについ引き込まれてしまいます。私は監督を「モンスターお得意様」と呼んでいます。
※第90回('17)作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞
© Warner Bros. Entertainment Inc.
約90分間の宇宙体験⁉上映後も宇宙に行った感覚が戻らない!
「ゼロ・グラビティ」
監督賞(アルフォンソ・キュアロン)を受賞した「ゼロ・グラビティ」では、観客全員が宇宙に連れて行かれました。行ったことがある人しかわからない、無音の恐怖感や無重力の世界。「映画でそこまでの体験ができるの?」という素晴らしい描写に注目!
※第86回('13)監督賞、作曲賞、音響編集賞、音響賞、撮影賞、視覚効果賞、編集賞
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
魂が乗り移ったかのような演技!
「ボヘミアン・ラプソディ」
「ボヘミアン・ラプソディ」で故フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。実在の人物を演じる時にファンの目が厳しくなりがちですが、全世界を納得させた演技力はすごい!その後もさまざまな役に挑戦し、高い評価を得ています。
※第91回('18)主演男優賞、音響編集賞、音響賞
©Element Pictures/Room Productions Inc/Channel Four Television Corporation 2015
初ノミネートで主演女優賞を受賞!"普通"を演じるのが一番難しい!
「ルーム」
小さな部屋に7年間監禁された親子、その生き様を描いた「ルーム」。ブリー・ラーソンは、息子とともに生きようとする母の葛藤や苦悩を演じて初の主演女優賞を受賞。優しくてたくましい母を演じられるのは、彼女しかいないくらいの名演でした。
※第88回('00)主演女優賞
©2019 Forcus Features LLC/Promising Woman,LLC.All Rights Reserved.
今の時代だから描けるあのラスト...女性は万歳!男性はぞっとする作品⁉
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
「傑作というのはコレ!」と拡散したい、天才的な作品!医大生だったキャシーはある事件で中退し、カフェの店員として平凡な毎日を送っているのですが、夜は泥酔をしたフリをして、お持ち帰りオトコたちに制裁を下していた!あまりに面白くて「すげぇ!」と帰路の電車で大盛り上がり。男性の皆さんは、痛い目に遭う前に見ておくことをおすすめしたい人生勉強映画です!
※第93回('21)脚本賞
アカデミー賞受賞作を見るのは、映画を好きになるチャンス!
俳優や監督、技術者たちなど、映画製作に携わるトップクラスの会員に評価されて授与されるアカデミー賞。「どんな作品なんだろう」と興味を持ってみる機会にもなりますし、「こういうのもあるんだな」という気づきにもなります。J:COM STREAM(見放題)や、映画専門チャンネルなどでは、過去のアカデミー賞を受賞した作品が3月に数多く放送されるそうですので、ぜひ見てください。映画を好きになって、映画館にも足を運んでもらえる機会になれたらうれしいです!