唐沢寿明、豊川悦司らが熱演!「20世紀少年」が描いた令和にも刺さるテーマとは

唐沢寿明、豊川悦司らが熱演!「20世紀少年」が描いた令和にも刺さるテーマとは

浦沢直樹の人気コミックを三部作で映画化した「20世紀少年」シリーズ(2008年~2009年)は昭和レトロブームが注目を集める令和の今だからこそ、注目したい作品だ。総製作費60億円、約300名を超えるオールスターキャスト、1年間にも及ぶ長期の撮影期間など、日本映画史上屈指の巨大プロジェクトとして話題を集めた。出演者には、唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、平愛梨、藤木直人、石塚英彦、佐々木蔵之介、黒木瞳ら豪華キャストが集結。そして、原作者浦沢直樹が脚本に参加。ロックが重要なテーマでもある本作は、ロックにも造詣が深く、作品に絶妙なリズムを持つ堤幸彦が監督を務めた。

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「20世紀少年<第2章>最後の希望」
(C)1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 (C)2009 映画「20世紀少年」製作委員会

人類滅亡を企てる"ともだち"の正体とは?

物語の始まりは1969年。人類が初めて月面に降り立ち、翌年に大阪万博を控えるなど、日本中が輝く未来に希望を膨らませていた時代。小学生のケンヂは、同級生の仲間たちと一緒に空き地の秘密基地で「よげんの書」作りという秘密の遊びを始めた。そこには彼らが空想で創り出した悪の組織、世界征服、人類滅亡計画、そしてそれを阻止する正義の味方など、空想の数々が描かれ、彼らをワクワクさせた。時は過ぎて1997年、ちまたでは"ともだち"と呼ばれる教祖と、彼が率いる謎の教団が出現。大人になったケンヂの周りで不可解な事件が次々と起きるが、それはケンヂたちが子どもの頃に作った「よげんの書」のシナリオに沿ったものだった。そして2000年12月31日、「よげんの書」に書かれた人類滅亡の日が訪れる。"ともだち"の正体はケンヂの仲間の中の誰かなのか、それとも......。滅亡の一途をたどる地球を救うためにケンヂたちは立ち上がる。

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「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」
(C)1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 (C)2009 映画「20世紀少年」製作委員会

子どもたちをワクワクさせた科学冒険作品の系譜に連なる

本作が提唱するのは"本格科学冒険映画"。インターネットの利便性を享受しつつも、どこか閉塞感が漂う現代と違い、高度経済成長を背景に明るい未来を思い浮かべることができた昭和時代は、未知なるものへの無邪気な憧れがあった。アジア初の国際博覧会となった大阪万博では、岡本太郎の「太陽の塔」を筆頭に世界各国の新技術や文化が一堂に会し、希望に満ちた未来を予感させた。また、「ウルトラQ」や「ウルトラマン」のことを"空想特撮シリーズ"と呼んでいたのも、ヒーローや冒険物語に夢を抱いていた時代の象徴だった。その一方、「ノストラダムスの大予言」「東西冷戦」「核戦争」といった漠然とした不安や恐怖心なども、人々の心にしっかりと根付いていた。

劇中には昭和的なガジェットや映画、マンガ、テレビ番組などが、おもちゃ箱をひっくり返したかのように次々と登場し、昭和という時代を追体験することができる。まさにケンヂたちが作った「よげんの書」も、そうした時代背景に沿ったものであり、「原子力巨大ロボット」「細菌兵器」「レーザー光線」といったキーワードが、ケンヂたちのような当時の子どもたちの根っこにあったことは間違いない。また、空き地に秘密基地を作って遊んでいた仲間たちと一緒に、悪に立ち向かうという普遍的な友情を描き出したストーリーも、昭和のノスタルジーをくすぐる。

三部作を改めて見返すことで、昭和がどんな時代だったのか、そしてそこから見据えた未来がどのように変化したのかを振り返ることができる。令和の今だからこそ新たな視点で見ることができそうだ。

文/壬生智裕

放送日時:2025年2月16日 18:50~

チャンネル:映画・チャンネルNECO-HD

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放送日時:2025年2月16日 21:20~

チャンネル:映画・チャンネルNECO-HD

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