JO1・與那城奨、大平祥生、金城碧海が不良役で魅せる"役者"としてのキラリと光る一面

JO1・與那城奨、大平祥生、金城碧海が不良役で魅せる"役者"としてのキラリと光る一面

映画『OUT』(2023年)が、J:COM STREAMにて配信中。

同作品は、映画『ドロップ』(2009年)の品川ヒロシが監督・脚本を務め、自身の中学時代からの友人で「ドロップ」にも登場する井口達也の青年時代を描いた同名実録不良漫画を映画化したもの。

かつて「狛江の狂犬」と恐れられた伝説の不良・井口(倉悠貴)は少年院から出所し、地元から離れた西千葉の叔父夫婦が経営する焼き肉店で、住み込みで働きながら更生を目指すことに。保護観察中のため、けんかをしたら一発"アウト"の身ながら、暴走族「斬人」の副総長・安倍要(水上恒司)と出会ったことで、半グレ集団「爆羅漢」との壮絶な抗争に巻き込まれていく。

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品川ヒロシ監督の原作と友人に対するリスペクトと愛が満載

原作ものの作品は、どの監督も原作へのリスペクトを持って制作しているだろうが、同作における品川監督の原作へのリスペクトはより一層強く感じられる。というのも、随所に"漫画のコマと同じ画角のカットから原作漫画の同じシーンにフィードバックする"という演出を盛り込んでおり、あくまで原作漫画をそのまま実写化したというメッセージを前面に出しているからだ。それは何より、品川監督が原作に関わったクリエイターを尊敬・尊重し、彼らに対して感謝と愛情を持っているからに他ならない。

また、原作者で友人の井口氏への深い愛がこれでもかと詰め込まれているところが見どころ。"不良"という決して褒められることではないが、仲間のために危険を顧みず自らの身を呈して戦う姿や、口が悪くけんかっ早いがストレートで真っ直ぐな人柄、周りの人の愛情を受けて成長する姿、お茶目な一面など、"男の子"なら少なからず憧れを持ってしまう"カッコ良い男"として彼を描いている。それは、監督自身が井口氏に抱いた憧憬の念もあるだろうが、彼に対する「感謝」「友情」「尊敬」などが詰まった深い"愛"によるものであることが感じられる。

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ステージとはひと味違うJO1の"役者"としての魅力

また、倉や醍醐虎汰朗(だいご こたろう)、水上といったキャスト陣の演技に加え、同作が映画初出演となるJO1・與那城奨(よなしろ しょう)、大平祥生、金城碧海(きんじょう すかい)の芝居がすばらしい。與那城は「斬人」の特攻隊長・長嶋圭吾、大平は「斬人」の親衛隊長・目黒修也、金城は「斬人」の遊撃隊員・沢村良をそれぞれ演じているのだが、3人とも不良役が板についており、一目見ただけではJO1の3人だとは気づかないほど。

與那城は、長嶋と「爆羅漢」下原孝二(長田拓郎)との一騎打ちのクライマックスシーンで不利な状況に陥った時に、見る者をゾクリとさせる笑顔で長嶋の"バトルジャンキー"さを見事に表し、大平はけんかの前にサングラスを外すことでスイッチを入れる目黒なりの"切り替え"を、金城は不本意ながら仲間を裏切ることになってしまった"申し訳なさ"と贖罪のために最後のバトルに駆け付ける"男らしさ"を熱演し、普段のJO1のステージでは見ることのできない"役者"としての一面を魅せて物語に色を添えている。

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品川監督のリスペクトと愛を感じつつ、キャスト陣のすばらしい演技と共に、ステージでは見ることのできない"役者"としてのJO1メンバーの一面に注目していただきたい。

文/原田健

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