井上テテが施した魔法が絶妙!AKB48・小栗有以らが紡ぐ微妙な距離感のリアリティーに注目
2024.12.05
AKB48の小栗有以、山内瑞葵、倉野尾成美、山崎空(※崎は立つ崎)が出演する映画『ガールズドライブ』(2023年)が、12月12日(木)にチャンネルNECOにてテレビ初放送される。
同作品は、青春の悩みを抱える女子高校生の4人が夏休みに車で東京を目指す旅を通して成長する姿を描いた青春ロードムービー。
(C)2023 映画「ガールズドライブ」製作委員会
静岡の小さな町に暮らす高校3年生の小春(小栗)は、スプリンターとして注目されている中、最後の大会で失格となってしまう。陸上に全てを懸けてきた時間が台無しになったことにショックを受けた小春は引きこもってしまう。その後、心の傷を癒すため、現在の状況をラジオ番組に投稿し、運よく取り上げられるも、パーソナリティーに大笑いされてしまい、立ち直ることができないまま夏休みに突入する。そんな中、同様に青春の悩みを抱える同級生の由佳(山内)、玲奈(倉野尾)、歩美(山崎)と意気投合し、免許を取ったばかりという歩美の運転で東京に向かうことに。
(C)2023 映画「ガールズドライブ」製作委員会
Z世代が抱える悩みを等身大で表現
ネタバレになるため詳細は書けないが、4人はそれぞれが現代の若者に共感性の高い悩みを抱えており、それぞれの向き合い方がストーリーを彩っている。純粋な思いを馬鹿にされて傷付いた心や、学校という小さい社会の中で意識せざるを得ない自分の位置、Z世代ならではの夢、若さゆえの衝動など、4者4様の事情があり心の揺れ動きがある。それらを、同世代の4人はみずみずしく表現。それぞれが役と真っすぐに向き合うことで、自然とキャラクターの違いが出ており、女子高校生らしいワチャワチャ感も生まれている。
(C)2023 映画「ガールズドライブ」製作委員会
4人が生み出した絶妙な距離感
そんな中で、特筆すべきは彼女たちの絶妙な関係性だ。"顔は知っているが仲が良いわけではない"という微妙な距離感が見事に表現されている。掛け合いの場面でも、そこまで感情をぶつけられるほどの関係性が構築されていない中での遠慮がちなやり取りはリアリティーがあり、そんな関係性が旅を続けていくうちに変化していくところも見る者を楽しませてくれるポイントになっている。普段は先輩と後輩という関係性で活動するメンバーの距離感が、絶妙なスパイスになると同時に、克明に描き出されてもいるのだ。
脚本を手掛けた井上テテが施した"4人の絶妙な関係性"という魔法と、グループの先輩と後輩が集まったことによる、演技経験が一律ではない4人だからこそ表現できた微妙な距離感から生み出されるリアリティーを感じてみてほしい。
(C)2023 映画「ガールズドライブ」製作委員会
文/原田健