狂気からコメディまで!原菜乃華の演技の振り幅を堪能できる作品3選
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2026.10.17
現在放送中の「もうパパ!」(ABCテレビ・テレビ朝日系 毎週日曜よる10:15~放送)でGP帯のドラマ初主演を務めるほか、10月22日(木)から放送の「アナログナース〜デジタルってなんなんだよ!?〜」(テレビ朝日系 毎週木曜よる9:00~放送)では初の看護師役にも挑戦。さらに11月20日(金)には作間龍斗とダブル主演作の映画『ないものねだりの君に光の花束を』の公開も控えている原菜乃華。
原といえば、2009年より芸能活動を開始しており、映画『Lieland』(2016年)で10代(※撮影時は7歳)で映画初主演を務めるなど、その実力は折り紙つきで、近年ではアニメーション映画『すずめの戸締まり』(2022年)やドラマ「【推しの子】」(2024年、Amazon Prime Video)、大河ドラマ「どうする家康」(2023年、NHK総合ほか)、連続テレビ小説「あんぱん」(2025年、NHK総合ほか)といった数々の話題作に主要キャストとして出演している注目の若手実力派俳優の一人だ。
そんな原の底知れぬ演技のポテンシャルが堪能できる3作品をピックアップして紹介したい。

「波よ聞いてくれ」(C)沙村広明/講談社/テレビ朝日・MMJ
■小芝風花演じる主人公と対照的な役を好演
1作目はドラマ「波よ聞いてくれ」(2023年、テレビ朝日系)。同ドラマは、小芝風花演じる主人公・鼓田ミナレが、ひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューし、奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。原は破天荒なミナレに振り回されるラジオ局のAD・南波瑞穂を好演。
滑舌の良さとマシンガントーク、頭の回転の速さと独特のユーモアセンスを持ち、周りの人間をガンガン巻き込んでいくミナレを演じ切る小芝の演技力が圧倒的で、圧倒的過ぎるが故に周りのキャラクターたちは影が薄くなりがちなのだが、原はミナレとは対照的な"普通の女性"をしっかりと演じて存在感を示している。ミナレの才能に衝撃を受け、振り回されながらも自身の夢を見つけていく瑞穂の成長を繊細に描き、最も視聴者に近いキャラクターとしての役割も兼務。瑞穂が普通であればあるほどミナレの破天荒ぶりが際立ち、対立関係でないにも関わらず小芝の演技を輝かせることにも貢献している。
中でも、瑞穂がラジオ局に入社した経緯が語られる第4話では、憧れの放送作家・久連木克三(小市慢太郎)との出会いや久連木への淡い恋心、ラジオに対する思いに向き合い夢を見つけるさまなど、20代の女性を等身大で表現している。

「泥濘の食卓」(C)テレビ朝日
■クレイジーな愛情が暴走する女子高校生を怪演
2作目はドラマ「泥濘の食卓」(2023年、テレビ朝日系)。同ドラマは、齊藤京子演じる毒親からの虐待のトラウマを抱える主人公・捻木深愛が、愛する不倫相手の家庭へと徐々に寄生していき、やがて"ぬかるみ"へと引きずり込んでいく「パラサイト不倫」を描いたもので、原は深愛の不倫相手・那須川夏生(吉沢悠)の息子・ハルキ(櫻井海音)に異常な愛情を抱いている幼なじみのクラスメート・尾崎ちふゆを怪演。
この作品の特徴は、主人公を含めた全ての登場人物の"クセが強い"ところで、"個性の百鬼夜行"と言えるほど。深愛は自己肯定感が異常に低く、常軌を逸した純粋さで、人の役に立つことが何よりもうれしいキャラクター。深愛が働くスーパーの店長・那須川は、女性アルバイトが辞めないように不倫関係になることがしばしばあり、深愛の純粋さに安らぎを感じながらも、精神的に病んでいる妻・ふみこ(戸田菜穂)を大切に思っており、どちらも選べず途方に暮れている。ふみこは、心に病を抱えて引きこもり状態。ハルキは、ちふゆが広めた噂が原因でクラスから孤立し、不登校になってしまった中、偶然出会った深愛に惹かれていく。そして、ちふゆはハルキを手に入れるために手段を選ばず猛進するストーカーで、これらの"狂った"登場人物たちが、それぞれの思惑を巡らせながら関係性を築いていく、という見れば見るほど"ぬかるみ"にハマっていく、ドロドロな展開が醍醐味。どのキャラクターにも感情移入はしづらいのだが、それぞれの目線で楽しむことができ、何度見ても楽しめる新感覚のドラマだ。
そんな中で原は、ちふゆの狂気を鮮明に表現。愛情が独占欲に変わり、独占欲から支配欲へ、そして思い通りにならないと、ハルキの周りだけでなくハルキに対しても攻撃的になっていく"ザ・ストーカー"として作品を彩っている。かわいらしく気さくな面を見せたかと思えば、狂気にとらわれた恐ろしい面を見せるなど、愛情が歪な思いに変わっていく様子を演じて、作品の"恐怖のアイコン"としての役どころを完遂。彼女が見せる若手の域を超えた演技は、息をするのも忘れてしまうほど引き込まれてしまう。

「恋わずらいのエリー」(C)2024「恋わずらいのエリー」製作委員会 (C)藤もも/講談社
■王道ラブコメで稀代のコメディエンヌに肩を並べる快演
3作目は、宮世琉弥とダブル主演を務めた映画『恋わずらいのエリー』(2024年)。同作品は、"妄想大好き女子"と"ウラオモテ王子"によるノンストップラブストーリー。学校一の爽やか王子・オミくん(宮世)を眺めつつ、彼との妄想を「恋わずらいのエリー」名義でSNS上でつぶやくのが日課の冴えない妄想大好き女子・エリー(原)が、ひょんなことでオミくんの本性を知ってしまったことからドタバタな恋愛劇が展開されていく。原はオミくんの一挙手一投足に振り回され、一喜一憂しながら妄想も繰り広げていくという王道ラブコメのヒロインという役どころで、稀代のコメディエンヌたちと肩を並べる快演を披露。
映画『ヒロイン失格』(2015年)の桐谷美玲や、映画『オオカミ少女と黒王子』(2016年)の二階堂ふみ、映画『センセイ君主』(2018年)の浜辺美波など、王道の青春ラブコメのヒロインを務めてきたそうそうたる俳優陣は、漏れなく"三枚目"を演じ上げ、役者としての新しい一面を見せて1つ上のステージへの片道切符を手にしているが、原も歴々のメンバーに肩を並べるほどのコメディエンヌっぷりを見せている。
冴えない目立たない女子高校生ながら、妄想にどっぷり漬かって千変万化の変顔を披露していたり、オミくんとの関係性の変化によって見せる表情など、"陰キャ"でありながらも悲壮感のない役作りでエリーを熱演。原のコミカルな演技が宮世のクールな演技と科学反応を起こして、なんとも言えない"おかしさ"を生み出している。
しかも、あくまでエリーをコミカルに演じながらも、エリーの人間的な成長も描き出しているところがにくい。"笑い"だけでなく、"笑って泣ける"をしっかりと体現している表現力に思わずうなってしまう。
それぞれの作品で全く違うキャラクターを演じ、「本当に同じ役者か?」と疑ってしまうほどの演技力が堪能できる3作品を見て、原の底知れないポテンシャルに触れてみてほしい。
文/原田健



