本島純政が明かす、初時代劇で柳葉敏郎から学んだ遊び心と、猛準備の裏側

本島純政が明かす、初時代劇で柳葉敏郎から学んだ遊び心と、猛準備の裏側

時代劇専門チャンネルとKDDIが共同制作した柳葉敏郎主演の本格時代劇ショートドラマ『まめで四角でやわらかで』が、時代劇専門チャンネルにて9月26日夜7時から全話一挙にテレビ初放送される。

本作は、ウルバノヴィチ香苗の同名コミックを映像化したもの。江戸を生きた市井の人々のささやかで豊かな暮らしぶりに癒やされ、当時の豆知識を楽しみながら学べる作品だ。

このドラマで浪人の萩ノ輔を演じたのが、「仮面ライダーガッチャード」(テレビ朝日系)で主演を務めた人気若手俳優の本島純政。時代劇に出演するのは、本作が初めてとなる。そんな本島に、初めての時代劇出演にあたって事前に準備したことや、役作りで苦労したポイント、俳優の大先輩である柳葉との共演で得た気付きなどを教えてもらった。

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■初の時代劇に向けて猛準備。動画で学んだ武士の所作

――本島さんは本作が時代劇初挑戦となりますが、オファーを受けたときはどんな心境でしたか?

「今まで挑戦したことのないジャンルだったので、最初はやはり不安が大きかったですが、それと同時に新しいことに挑戦できるワクワクもあって。撮影までに自分にできることをやろうと思って、いろいろな動画を観て時代劇の研究をしました」

――時代劇を演じる上で参考になる動画があるんですね! 具体的にはどのような内容なんですか?

「武士の歩き方や所作、刀への手の添え方などを、動画を見ながら研究しました。現場に入ってからは本当に多くの方に支えていただいて。主演の柳葉敏郎さんやスタッフの皆さんからもたくさんアドバイスをいただきました」

――これまで時代劇にはどんな印象をお持ちでしたか?

「お恥ずかしながら、祖父の家へ遊びに行ったときにチラッと一緒に観るくらいで、これまでほとんど観たことがなかったので、クランクイン前にスタッフの方から教えていただいた『三屋清左衛門残日録』を観ました。初めて観たときは時代背景も知らなかったし、言葉遣いが現代劇とはまったく違うので、正直すぐに理解できなかった部分もあります。自分が演じるときも、言葉遣いにはすごく苦労して......。『~でござる』などは普段使うことがないので、慣れるまでには少し時間がかかりました」

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――撮影は京都の撮影所で行われたそうですね。普段の撮影とはまたガラリと雰囲気が変わりそうですが、いかがでしたか?

「京都の撮影所には、勝手に厳しいイメージを持っていたのですが、実際はそんなことなくて、とてもアットホームな現場でした。猫が登場するシーンがあったんですが、空き時間にはみんなで猫を抱っこしてかわいがっていたりして(笑)。本当に温かい雰囲気で、毎日現場へ行くのが楽しみでした」

――衣装も普段とは全然違いますね。初めて着物やかつらを身に着けたときは、どんなお気持ちでしたか?

「楽しみつつも大変でした(笑)。何枚も重ね着をするので重いですし、着崩れたら直す必要もありますし、これを毎日着て生活していた江戸時代の人たちは本当に大変だっただろうなと思いました。以前『仮面ライダーガッチャード』(テレビ朝日系)の修学旅行を描いた回で和装をしたことはあったのですが、今回はかつらも含めたフル装備だったので、また全然違う雰囲気でとても新鮮でした」

――衣装も髪型もとてもお似合いだなと思いましたが、鏡に映るご自身の姿をご覧になって、手応えはありましたか?

「正直、『大丈夫かな......』という気持ちのほうが大きかったですが(笑)、作品が公開された後に、ご覧になった皆さんから『髷姿似合ってるよ』と言っていただけて。公開されるまでは少し不安だったので、その言葉を聞けて安心しましたし、素直にうれしかったですね」

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■「おにぎり一口」の感動を本物に。バックグラウンドを意識した役作り

――原作や脚本を読んだときの第一印象と、本島さんの推しポイントを教えてください。

「江戸の人たちの暮らしが、とても丁寧に描かれている作品だなと思いました。僕が心に残ったのは、人と人とのつながりの温かさです。みんながお互いを思いやりながら暮らしていて、その空気感がすごく心地よかったです。一つ一つのエピソードが短いので、一日の終わりにほっと一息つきながら気軽に楽しめるのもいいですよね。時代劇を知らない方でも入りやすいですし、各話の最後に江戸時代の豆知識が紹介されるので、そこも楽しみながら観ていただけるポイントだと思います」

――全20話の中で印象に残っているエピソードや場面はありますか?

「本を書き写す場面ですね。一文字ずつ手で書き写していく作業を通して、自然と「もの」を大切にする感覚が身に付きました。現代みたいに物があふれていて、便利な世の中ではないからこそ、物を一つ一つとても大切に扱って、工夫しながら生活している。その生き方や価値観がすてきだなと思います」

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――萩ノ輔という人物についてはどのように解釈し、役作りを進めていったのでしょうか。

「萩ノ輔は、故郷を離れて江戸に出てきた人物だという背景から、最初は心に傷を負った少し暗い人なのかなという印象を持ちましたが、原作や台本を読むうちに、実際はとても前向きで温かい人物なのではと感じたんです。その萩ノ輔の明るさはどこから来ているんだろうと考えたときに、江戸の人たちの優しさに触れて萩ノ輔自身も少しずつ変わっていったからなんじゃないかなと思ったので、作品全体に流れる"温かさ"を大切に演じようと意識していました」

――撮影で監督からは、どのようなディレクションを受けましたか?

「基本はやはり姿勢や所作です。僕は、遠くのものを取るときについ勢いよく手を伸ばしてしまうんです。今回、監督に『指をそろえて取ったほうがきれいに見えるよ』とご指摘いただいて、指先まで神経を行き届かせながら演じるようにしました」

――ご自身の中でこだわったポイントはありますか?

「こだわったのは、萩ノ輔のお兄ちゃんらしさや包容力ですね。劇中で子どもたちとの手習いのシーンがあるのですが、そういう場面では萩ノ輔の優しさが自然に伝わればいいなと思って演じていました」

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――たしかに、萩ノ輔は「頼れるお兄ちゃん」というイメージがあります。ご自身と似ている部分はありますか?

「いえ、全然似ていないです(笑)。頑張って『ちゃんとお兄ちゃん感を出さないと』と思っていました」

――初の時代劇ですが、これまでの経験が生きた場面はありましたか?

「僕はいつも役と向き合うときに、その人物のバックグラウンドを考えることを大切にしているんです。どんな人生を歩んできたのか、どんな経験を積んできたのか。そういう背景を自分の中で組み立てるという作業は、今回の役作りにも生かされていると思います」

――萩ノ輔については、どんな背景を考えながら役作りを?

「萩ノ輔が江戸にやって来るまでの経緯については作品の中では詳しく描かれていないので、『故郷を離れた理由は何だったんだろう』『江戸にたどり着くまで、どんな思いで歩いてきたんだろう』と、自分なりに想像を膨らませながら、いつも撮影現場に向かっていました。劇中で柳葉さんが演じる喜兵衛さんからおにぎりをもらう場面があるんですが、一口食べたときの感動がうそにならないように、そこにたどり着くまでの時間や苦悩を、自分の中でしっかり積み重ねることを意識しました」

――そうした役の背景は、監督とも相談されたのでしょうか。

「はい。監督にも相談させていただきました。自分が考えてきたことをお話しすると、『それでいいと思うよ』と言ってくださることも多くて、そのように受け止めていただけたのがとてもうれしかったです」

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――所作も意識しながら役を演じるというのは、すごく大変だったんじゃないかと思いますが、そのあたりはいかがでしたか?

「大変でした。撮影中は意識して背筋を伸ばすようにしていたのですが、そこにばかり集中しすぎないように、私生活から正しい姿勢や美しい所作を意識して過ごしていました」

――今回の経験はどのような形で今後の俳優人生に生かされると思われますか?

「今回は初めての時代劇だったので、歩き方から刀の納め方まで、本当に何もかもがゼロからのスタートでした。それを今回たくさん学ばせていただいたので、今後また時代劇に挑戦するときに役立てることができると思いますし、自信にもつながると思っています。撮影の後に出演した舞台で、『姿勢がいいね』と褒めていただいたんです。今回学んだことが自然と身に付いていることを実感して、うれしかったです」

■柳葉敏郎から学んだ"キャラクターを魅力的に見せる芝居"

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――柳葉さん扮する喜兵衛は萩ノ輔の恩人で、劇中では2人が会話をしているシーンが多々描かれています。柳葉さんとのお芝居はいかがでしたか?

「最初はとても緊張しましたが、柳葉さんが本当に温かく包み込んでくださって。畑を鍬(くわ)で耕すシーンでは、鍬の持ち方を教えてくださったり、他にも歩き方や刀の納め方、魚の焼き具合まで教えていただきました」

――魚の焼き具合!?それはどういう場面で......。

「劇中で魚を焼くシーンがあるんですが、僕があまり慣れていなくて魚を焦がしてしまって(笑)。柳葉さんが『焼き目はこのくらいがいいよ』とお手本を見せてくれたんです」

――そうだったんですね(笑)。お芝居の面では、柳葉さんからどのようなことを学びましたか?

「一番印象に残っているのは、キャラクターをより魅力的に見せるお芝居です。劇中に喜兵衛さんが屋根の上から登場して少し落ちそうになるシーンがあるのですが、あれは柳葉さんのアドリブだったと思います。そういうちょっとした遊び心を足すだけで、キャラクターの温かさや親しみやすさが自然と観ている人にも伝わるのだなと思いました。またいつかお仕事でご一緒させていただけるように頑張りたいです」

■「ファンをいい意味で裏切れる俳優に」 時代劇で得た自信を次へ

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――今回、時代劇に初挑戦されて、またやってみたいという気持ちはありますか。

「あります。今回も刀を使うシーンは少しだけあったのですが、次はもっと本格的な殺陣に挑戦してみたいですし、本作のように人の温かさを描いた作品にも、また出演できたらうれしいです」

――次に時代劇へ出演するとしたら、どの時代の役をやってみたいですか?

「もう一度、江戸時代の役を演じてみたいです。今回、本当にたくさんのことを学ばせていただいたので、その経験を生かしたいです」

――もし本当に江戸時代にタイムスリップできるとしたら、何をしてみたいですか。

「江戸時代の人たちと雪見酒をしながら、今と昔で価値観がどう違うのか、いろいろと話してみたいです。侍にもなってみたいですが、僕は生きて現代に帰れそうもないので、のんびり過ごします(笑)」

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――すでに本作をご覧になったファンの皆さんからは、どのような反響が届いていますか?

「毎週配信を楽しみにしてくださっている方が多くて、とてもうれしかったです。僕のファンの方は初めて時代劇を観る方が多かった印象なのですが、『とても分かりやすかった』と言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、新しい出会いのきっかけを作れて良かったなと思いました。『髷が似合うね』『新しい純政くんを観られた』といった感想も励みになりました」

――今回のテレビ放送で初めて作品をご覧になる方へのメッセージもお願いします。

「今回、テレビで初放送していただけることを、とてもうれしく思っています。初めてご覧になる方には、人と人とのつながりや江戸の温かい暮らしを感じながら楽しんでいただけたらうれしいです。また一度ご覧になった方も、大画面で観ると、美術やセットなど細かい部分まで丁寧に作り込まれていることに気付いていただけると思いますので、ぜひご覧ください!」

――最後に、俳優として今後目指していきたい姿を教えてください。

「いろいろなジャンルや役柄に挑戦して、いい意味で応援してくださる皆さんをどんどん裏切っていきたいと思っています。作品を観たときに、『こんな役もできるんだ』『純政くんだと分からなかった』と驚いていただけるような俳優になりたいですし、作品を追いかけること自体を楽しんでもらえるような存在になれたらうれしいです」

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PROFILE
2005年1月5日生まれ、東京都出身。2023年9月「仮面ライダーガッチャード」主人公の一ノ瀬宝太郎役にオーディションで抜擢。翌年2024年には1st写真集「純」を発売。その後、ドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」(読売テレビ)でW主演をつとめ話題に。主な出演作に「スクープのたまご」(TBS)、「君としたキスはいつまでも」(ABC朝日放送)、「UNREAL-不条理雑貨店-」(テレビ大阪)、「るなしい」(テレビ東京系)、映画「禍禍女」、舞台「光が死んだ夏」、舞台「オーファンズ」など。

取材・文/苫とり子 撮影/梁瀬玉実
スタイリスト/津野真吾(impiger) ヘアメーク/木内真奈美
衣装協力/ジャケット ¥17,050(Re:stock/New Style Japan 052-265-8399)