小栗旬×蒼井優のSFサスペンスを越えた人間ドラマ「ガス人間」【夫婦のじかん・大貫さん】

小栗旬×蒼井優のSFサスペンスを越えた人間ドラマ「ガス人間」【夫婦のじかん・大貫さん】

■SFサスペンスの顔をした、重厚な人間ドラマ

「人間がガスになる」「目に見えない存在が人を襲う」そんな設定を聞けば、まずはSFサスペンスや、VFXを駆使したエンターテインメントを思い浮かべる人も多いはずです。ところが、Netflixシリーズ「ガス人間」は、いい意味でその予想を裏切ってくれます。

もちろん、謎の事件を追うサスペンスとしての面白さは抜群です。毎話のように「え、そうなるの?」という展開が待ち受け、次々と明らかになる事実に引っ張られて、気がつけば最後まで一気見してしまいました。

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■至高のヨン・サンホ脚本

本作は1960年の東宝特撮映画『ガス人間第一号』を原作としながら、現代日本を舞台にした完全オリジナルストーリーとしてリブートされた作品です。Netflixと東宝の初タッグに、韓国のWOW POINTが共同企画・制作で参加し、脚本を『新感染 ファイナル・エクスプレス』『地獄が呼んでいる』などで知られるヨン・サンホが手がけています。

日本の作品だと思って見ていると、どこか違う。その独特の感覚は、韓国と日本、両方の制作陣が関わっているからなのかもしれません。

特に素晴らしいのが、登場人物の描き方です。ついつい物語を作用させるだけのために描いてしまいがちな脇役も輝いており、事件のためだけに存在する人物が、ほとんどいません。それぞれに過去があり、事情があり、そこに至るまでの人生があります。ほんの短い登場でも、「この人はこれまでどんな人生を歩んできたのだろう」と想像させられます。キャラクターの背景が、しっかりと見えるのです。

私はNHKの「WDRプロジェクト」という海外ドラマのメソッドを研究した脚本開発チームで脚本の勉強をさせていただいていたのですが、そのときに、まさにその点についてかなり勉強していました。ひとりひとりの背景が見えるからこそ、物語の中で誰かが傷ついたとき、その痛みが単なる「事件の一部」で終わらないのです。

せりふ回しにも、かなりこだわりを感じました。何気ない会話の中に、その人物の価値観や人間関係がにじんでいます。説明せりふでキャラクターを理解させるのではなく、言葉の選び方や、あえて言わなかったことまで含めて、人物を立ち上げています。その細やかさが、作品全体に重厚感を与えているのではと感じました。

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■小栗旬×蒼井優は素通りできない!

そして、やはり小栗旬さんと蒼井優さんです。この二人が出演しているというだけで、もう見ないわけにはいきません。二人が演じる人物の距離感が、とても丁寧に描かれており、事件を追う中で交わされる言葉や視線、そのひとつひとつが素晴らし過ぎて、ビールが進みました。終盤になって振り返ると、「ああ、ここまでの二人の積み重ねがあったから、この場面がこんなにも響くのか」と気づかされます。ラストにかけて二人の関係性が効いてくるのは、この作品の大きな魅力です。

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■林遣都×広瀬すず 最高だった兄妹コンビ

そして、動画配信をする兄妹を演じる林遣都さんと広瀬すずさんもとても印象的でした。この作品の中で一番好きな登場人物だったかもしれません。この二人の存在によって、重くなりがちな物語に別のリズムが生まれています。それでいて、彼らもまた「事件に巻き込まれた人」だけでは終わらない。彼らには彼らの事情があり、彼らなりの選択があります。この作品を見ていて面白いのは、そうした「脇にいる人」の人生まで想像させられるところです。

見終わって一番残るのは「ガス人間とは何なのか」という謎ではありません。むしろ、「この人は、なぜこんなことをしたのか」という問いです。派手な設定に惹かれて見始めたはずなのに、最後に見届けていたのは、そこに生きる人たちの人生でした。

この「予想していた作品と、見終わったときに心に残る作品が違う」という感覚こそ、「ガス人間」の一番面白いところなのかもしれません。


<プロフィール>
大貫さん(夫婦のじかん)
NSC東京11期生。タカダ・コーポレーションを経て
2016年に旦那の山西 章博と「夫婦のじかん」というお笑いコンビを結成。
普段は芸人として活動しているが、漫画家やイラストレーターとしても活躍中。
コミックエッセイ「母ハハハ!」発売中。第35回フジテレビヤングシナリオ大賞最終。
NHK脚本開発チーム「WDRプロジェクト」2期メンバー。

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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