松坂桃李主演 文科省の官僚が高校の教師に!権力に犯された日本教育を壊す「考える力」をテーマにした社会派学園ドラマ「御上先生」【フルーツポンチ・村上健志】
国内ドラマ 連載コラム
2026.09.08
東大卒のエリート官僚の御上孝(みかみたかし・松坂桃李)は、日本の教育を変えてやろうという志を持って文科省官僚となった。そんな彼が突如、私立高校への出向を命じられる。そして、御上の出向と日を同じくして、国家公務員試験会場で殺人事件が起きる...。
官僚でありながら教師となった御上先生。生徒にとって彼は良き先生なのか?日本教育を変えることはできるのか?関係のないように思えた事件が...。
これまでにはなかった「考える力」をテーマにした社会派学園ドラマ。
■歴史的名ドラマ
まず、最高のドラマでした。そして、私は現在、45歳ですが、御上先生が私にとっても恩師と言える存在になりました。「官僚が教師に」「日本の教育を壊す」。そんな謳い文句に、私はキャラクターの濃い権力者を敵として、教師となった御上先生が生徒たちと触れ合い、人間性を取り戻し、感情を剥き出しにぶつかり、爽快に権力者たちを倒していく。そんなドラマを想像していました。権力者VS御上先生がドラマの軸だと思っていました。違いました、思いっきり学園ドラマでした。生徒と向き合う先生の話。しかし、この作品は、これまでの学園ドラマとは違いました。

(C)TBS
■これまでにない学園ドラマ
このドラマには、不良や引きこもりなどの問題児は出てきません。スーパー熱血教師が、他の大人たちが見捨ててきた生徒たちに本気でぶつかり、心を通わすといった学園ドラマではないのです。型破りな教師が、教師らしからぬ言動で、冷め切った生徒たちの人間らしさを取り戻すものでもありません。生徒たちの恋愛、職員室での先生の会話。どれも違います。
御上先生が赴任する学校は有名進学校。生徒たちは勉強に熱心で優秀、隠れたいじめも存在しません。新しく赴任した官僚の先生への反発はありましたが、裏工作で先生を陥れることもなく、ロジカルに先生と対話しようとします。では、不本意な出向によって担任となった御上先生の成長が、このドラマの軸なのかというとそうでもないのです。御上先生がやろうとしていること、それは生徒たちに「考える力」をつけることでした。そして「考える力」こそが、このドラマのテーマだと私は思います。

(C)TBS
■考える力
このドラマでは「考える力」が大事だと、熱弁の中にその言葉を埋め込むのではなく、クラスで起きた問題を考えさせる場を与えるのです。汗をかき、涙を流し、抱きしめて、答えを授けて問題を解決するのではなく、生徒たちの考えを聞き、「そうだね」と肯定する。そんな生徒たちが考える時間が、毎話このドラマの中心です。教育のあり方、社会の不条理、戦争、金融の本質、貧困、報道、テーマはかなり社会と密接したものです。しかし、難しい問題を生徒たちに無理やり議論させているのではありません。クラスで起きた問題を考えるとき、社会で起きている問題にも行き着くのです。考えること、考えを発表することを恥ずかしがらないクラスは実に美しく、そこには未来がありました。時に、「人間力」の前では、お上品でつまらないものだと蔑ろにされてしまう「知性」、「冷静な思考」が、このドラマでは素晴らしい力として描かれています。

(C)TBS
■こんな先生がいたら
学園ドラマを見ると、こんな先生がいたらと思うことがあります。あの熱血先生がいたら、型破りな先生がいたら、これまで自分を受け持ってくれた先生に特段不満はありませんが、そう憧れてしまうのはドラマに夢中になった証です。御上先生はどうか?45歳になった私は、もう学生生活には戻りたいという夢は抱かないのですが、そんな私も御上先生の授業を受けたいと思いました。そうすれば、もっと考えられる人になっていたかもしれない。議論を勝ち負けで評価せず、考えること自体に価値を見出し、考えている人を「頭がいい人だから」と自分とは関係のない人だと距離を取ろうとしなかったかもしれません。そう思うようになったのは、まさに御上先生の授業をドラマを通して受けられたからです。御上先生からの学びが私にも浸透していました。どこかで諦め、関係ないと逃げていた。けれど本当は欲していた「考える」という学びを、御上先生から教わることができたのです。
何か頭が良さそうなドラマと思うかもしれません。確かに知性に溢れたドラマです。けれど、とにかく毎話、見応えが十分で面白い。そして、この学校に隠された謎が明かされるという、大きな物語も同時に進行していて、続きが見たくなる超傑作だと私は思っています。
※本記事の内容は当メディアが作成したものであり、公式な見解を示すものではございません。
よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
よしもと
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