武井咲とTAKAHIROが「戦力外捜査官」で醸し出すベストカップルの雰囲気が作品に与えたもの

武井咲とTAKAHIROが「戦力外捜査官」で醸し出すベストカップルの雰囲気が作品に与えたもの

放送から数年後、一定期間の時を経てから見ると、放送当時とはまた違った"受け止め"ができる作品がある。例えば、今ではめったに見られない大掛かりで豪快な演出が施された作品、今ではレジェンド級となった名優の初々しい姿が映った作品、放送時に社会を席巻し時代の潮流のきっかけとなった作品などだ。そしてまた、結婚した俳優同士の出会いとなった共演作品もそうで、その中の一つがドラマ「戦力外捜査官」(2014年、日本テレビ系)だ。

同作品は、似鳥鶏による推理小説シリーズをドラマ化したもので、配属されてすぐに戦力外通告を受けた推理オタクの美少女刑事と、武闘派イケメン刑事の珍コンビが、ベテラン刑事たちに叱られ、お荷物にされながらも、なぜか難事件を解決してしまうという、それまでになかった新感覚のコメディ刑事ドラマ。主演の武井咲が主人公の海月千波を演じ、同作が俳優デビュー作となったTAKAHIROが千波の相棒で世話役の設楽恭介に扮(ふん)し、来年結婚10周年を迎える2人の出会いの場となった、めでたい作品でもある。

260723_senryokugai_02.jpg

ストーリーは、国家公務員試験I種を合格して警察庁に入庁した将来の幹部候補生、いわゆる"キャリア組"の千波が警視庁の刑事部捜査一課第十八係に出向してくるところから始まる。キャリアが現場に来るのは刑事たちにとって大迷惑なため、川萩警部(八嶋智人)は巡査の設楽に「海月警部を何としても絶対に捜査に参加させるな」と厳命し、千波の世話役としてバディに任命する。事件が発生し、同僚の刑事たちがせわしなくなる中、「頭でっかちのキャリアになりたくない」という信念を持つ千波が捜査に加わろうとするのを、設楽がなんとか止めようとするのだが、階級が上であることを盾にされたり、こっそり抜け出されたりと、思うように止められず奮闘する。そして、千波の単独行動が捜査のチームワークを乱すものと問題視され、設楽もろとも"戦力外"と通告されてしまう。しかし、"戦力外"として独自捜査に乗り出した2人は、千波の着眼点の鋭さと運の良さも相まって、事件を解決していくという1話完結もの。

260723_senryokugai_03.jpg

■コメディ要素を支える2人のキャラクター作り

捜査一課が舞台であるため、毎話殺人事件を解決していくわけだが、2人の演じるポップなキャラクターが"コメディ要素"の大黒柱となっている。というのも、武井演じる千波は、キャリアながら"クールさ"や"強くカッコいい"というような人物ではなく、まっすぐでピュアで、ほんわかしているキャラクターで、方向音痴という抜けている部分もあって、なんとも愛らしい。いくら怒られてもこたえず、少し空気が読めないところがあるという、刑事とはかけ離れた役どころなのだが、武井は、わがままを通したり、言うことを聞かないというような、ともすれば視聴者に不快感を与えてしまうような面も、思わず許してしまうようなかわいらしいキャラクターとして演じ上げている。

一方、TAKAHIROも"俳優デビュー"が嘘のような名演技を披露。真面目で実直であるが故に、千波に振り回されてしまう設楽をコミカルに熱演。川萩と千波の板挟みに遭いながら、どちら側にも寄り添うことができず困惑するのだが、次第に事件解決に邁進する千波に協力するようになる心情の変化も細やかに表現している。

260723_senryokugai_04.jpg

■作品の世界観を支える2人が醸し出すベストカップルの雰囲気

また、本筋は殺人事件の捜査であるため、"コメディ要素"は登場人物たちのキャラクター性だけでなく関係性で表現されているのだが、2人が作り上げたキャラクターに加えて、2人が醸し出す雰囲気が素晴らしい。"振り回す側"と"振り回される側"という構図では、どうしても相手に嫌気が差したり、距離感が生まれてしまったり、男女のバディだと「いがみ合っていた2人が互いに意識し始める」といった恋愛要素が加味されていくパターンもあるのだが、同作では最初から最後まで2人の間に居心地の良い空気が流れており、その雰囲気が何とも言えない穏やかな世界観を構築する屋台骨となって作品の"コメディ要素"を支えている。「馬が合っている」というか「リズムが合っている」というか、2人でのシーンがとても自然で、掛け合いもほっこりと見ていられるのだ。この「ほっこり」が、殺人事件の凄惨さを抑制して、純粋にコメディとして楽しませてくれる一翼を担っている。

この作品の共演がきっかけでゴールインしたという事実を知った上で改めて見ると、2人の雰囲気は格別。掛け合いを見ているだけで幸せな気分になり、思わずくすりとさせられてしまうこと請け合いだ。

文/原田健

放送日時:2026年7月25日 21:30~

チャンネル:ファミリー劇場HD

国内ドラマ

※放送スケジュールは変更になる場合がございます