脚本・野木亜紀子×主演・大泉洋。ほのぼのSFコメディだと思っていたら、本格SFヒーローもので、この上ない愛の物語でした 「ちょっとだけエスパー」【フルーツポンチ・村上健志】

脚本・野木亜紀子×主演・大泉洋。ほのぼのSFコメディだと思っていたら、本格SFヒーローもので、この上ない愛の物語でした 「ちょっとだけエスパー」【フルーツポンチ・村上健志】

人生が詰んだ男が、ちょっとだけエスパーとなり世界を救うかもしれない物語。ちょっとだけエスパー達と不思議な任務をこなし、見ず知らずの女性の夫として過ごすことに。そして彼には「人を愛してはならない」という不可解なルールが課されることに...。

■野木亜紀子作品

「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」「MIU404」「ラストマイル」など、数々の傑作を世に送り出してきた脚本家・野木亜紀子。まず、とにかく面白い。その上で野木作品は、人が、人と人が、生きていく上で無視できない社会の歪みや、自然となってしまっている不自然さを描きながらも、ポップで明るい会話で物語を紡いでくれている(社会に対するメッセージが中心なのではなく、日々の中に当たり前にある社会の問題を切り離して物語を進めていない)。登場人物たちはみんな魅力的で、その言葉は生活と地続きの地上から湧き上がったエネルギーを持ちながら、天から降ってきたようなギフト感をもまとっている。そんな野木亜紀子さんのオリジナル作品「ちょっとだけエスパー」。しかもSF。作品の性質上、注意を払いながらも内容に触れればネタバレを含む可能性がありますが、このドラマの設定についてもう少し記述しますのでご注意ください。

■不思議な物語

「ノナマーレ」という会社の面接を受ける文太(大泉洋)。文太は横領で前の会社をクビになり、家族も金も失い、ネットカフェを泊まり歩いていた。そんな彼に届いた「ノナマーレ」からの面接の案内。最終面接での社長の兆(岡田将生)からの課題は、一粒のカプセルを飲むこと。うろたえながらもカプセルを飲み込むと、会社に合格。兆に「あなたは今日からエスパーです」と告げられる。どんな能力があるのか?そもそもエスパーになっているのかも分からない。晴れて?会社に合格した文太の仕事は「世界を救うこと」だった。

会社に用意された社宅に向かうと、見知らぬ女性・四季(宮崎あおい)が出迎える。文太は四季と仮初(かりそめ)の夫婦として生活をしなければならないらしい。よく分からないまま、不思議な生活を始める文太。妻である四季もまた会社から指示を受けて妻役を演じていると思っていたが、四季はどうやら文太を本当の夫だと思っている。会社からスマホにミッションが送られてくる。特に細かい説明もなく送られてくる指示は、ある男に傘を持たせろ、ある男のスマホの充電をなくせ、などよく分からないものばかり。これが本当に世界を救うミッションなのだろうか?文太のエスパー能力はなんなのか?そして社長から、文太に告げられる「人を愛してはならない」というルール。

世界を救うとは?ノナマーレの社長・兆とは一体何者なのか?四季はなぜ文太を本当の夫と思い込んでいるのか?

■SFコメディでは終わらない

「人間は誰しも能力があって、それはまさに超能力と等しい」とかではなく、本当に文太はエスパーになります。文太の他にも何人かのエスパーが現れチームを組むことに。無敵とは程遠い、ちょっとだけのエスパー能力を使って、世界を救えるとは思えないミッションに挑む文太たち。ああ、この物語はなんともささやかな力を持ったエスパーたちの日々を描いた、ちょっと不思議な物語と思っていたら、大間違いでした。数話目からは、グググと本格SFへと進み、さまざまな謎が明らかになるとともに愛の物語へ。確かにあるのに、人類誕生から未だその全貌を明らかにできていない「愛」のひとひらを見せてくれたような、愛の物語もまたこのドラマの見どころです。

■愛さずにはいられない可愛すぎる宮﨑あおい

愛してはならないというルールを真っ先に破ったのは、文太ではなく私でした。四季を演じる宮﨑あおいさんが可愛すぎます。そもそも綺麗な方なので当たり前ですが、それはもう初めからピークに達していると思っていたら、ドラマの回を増すごとに加速していきます。カーテン越しの朝の陽ざしが実体化したような、その姿を愛さずにはいられませんでした。僕がもし椅子職人なら、宮﨑あおいさんにインスパイアされて、それはそれは美しいアーチの肘掛けを作れたんじゃないかと思います。そんな素敵な宮﨑あおいさんの仮の夫となる大泉洋さんが良い。大泉洋さんが良いのはもう分かっているはずなのに、なぜだか毎回その良さを忘れたかのように、新しい役をやるたびに、新鮮な気持ちで大泉洋っていいなと思わされます。その良さがこのドラマではなおさら良い。

超常的なワクワクだけではないSFが実に最高で傑作なドラマ。ちょっとだけエスパーになった男の作る未来をぜひご覧ください。

【プロフィール】
村上健志(フルーツポンチ)
1980年12月8日生まれ、茨城県牛久市出身。
2004年にNSC東京校10期として入学。在学中に、同期の亘健太郎とともにフルーツポンチを結成。特技の俳句で、MBS「プレバト!!」にて日常の風景を切り取る独自の才能を発揮し、永世名人の称号を獲得。2021年には「フルーツポンチ村上健志の俳句修行」と題し、句会での様子を書籍にして出版している。よしもとドラマ部に所属。ドラマ好きが高じて、多数ドラマ出演経験あり。

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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