仲野太賀、大河ドラマ『豊臣兄弟!』主演で語る小栗旬・信長役の迫力

仲野太賀、大河ドラマ『豊臣兄弟!』主演で語る小栗旬・信長役の迫力

2026年1月4日(日)よりNHK総合で放送されている大河ドラマ「豊臣兄弟!」。大河ドラマとして第65作となる本作は、戦国乱世を舞台に、主人公・豊臣秀長(小一郎)の目線で戦国時代を描くサクセスストーリーだ。のちに天下人となる兄・豊臣秀吉(藤吉郎)の参謀役を務め、「もし秀長が長生きしていれば、豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた彼の人生は、これまで焦点を当てられなかっただけに興味深い。今回、主演として撮影に臨む、秀長役の仲野太賀にインタビューを敢行した。

■大河ドラマ主演という夢は、頭の片隅に追いやってきた

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――「豊臣兄弟!」の主人公である豊臣秀長役のオファーを受けて、どうお感じになりましたか?

「大河ドラマにはこれまで5回出演していますが、その都度真ん中に立つ先輩方の姿を見て、カッコいいなと憧れていました。俳優を始めた時から、自分もいつか大河の主演をやってみたいという夢も抱いていました。しかし現実として、その夢があまりに遠いことを思い知り、いつしか頭の片隅に追いやっていたんです。だから、こうして『豊臣兄弟!』の主演のオファーをいただいた時は、自分が片隅に置いていた大きな夢がいきなり目の前に現れたという感覚で。驚きと同時に、これまでお世話になってきた方々の顔が浮かんできて、今まで積み上げてきた仕事がすべて繋がっていることを実感しました。戦国時代の物語なので、演じる上でも現代劇とは大きく違って、生死の境が常に身近にある。そんな演技の振り幅は俳優としても、演じ甲斐が大いにあると感じます」

――座長という立場ですが、現場の雰囲気作りについて意識していることは?

「主役だからと言っても、自分がすぐに"座長然"とできるわけもなく、僕は僕でしかないので、もう自分らしくやるしかないと思って撮影に入りました。とにかく明るく楽しい現場になったらいいなと思っていて、そうなるように日々努めています。大河ドラマには非常に大勢のスタッフさんがいて、長期にわたる撮影です。数多くの俳優さんが出入りし、独特の緊張感がある。新人の俳優さんもいますから、少しでも現場の空気を和らげて、皆さんがリラックスして撮影に臨めるような雰囲気づくりを心がけています。藤吉郎役の池松壮亮さんは非常に明るくて、現場の空気を作ってくれています。(織田信長役の)小栗旬さんもそうだし、皆で現場の空気を作っていて、そこに甘えてしまっている部分はあるのですが、おかげで僕も自然に"小一郎ムーブ"になれている感じですね」

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――歴史上の豊臣秀長は、兄の秀吉を支えた名参謀と言われていますが、人物像をどう解釈していますか?

「秀長は、相当な熱量を持って天下統一に邁進する兄・秀吉の傍らにいるけど、おそらく天下人である秀吉がだけが見えていた景色があったはず。その一方で秀長だからこそ、見えていた景色もあったと思うんですよね。織田信長や徳川家康にしても、百人に一人のカリスマだけど、秀長は99人側にいたはずです。そんな人だからこそ、感じとれる景色がきっとあると思います。普通の武士たちや市井の人々の生活や声に耳を傾けるからこそ、兄と家臣や市井の人たちとの間に立って、秀吉を支えることができたと思う。そんな"秀長だからこそ見えていた景色"を意識して、大切にして演じたいです。先日、秀長に縁のある奈良の壷阪寺を訪れたのですが、そこには秀長の公像がまつられているんです。これが造られたのは大坂夏の陣の後といわれているそうで、もう徳川の天下だったので、公像が造られたこと自体、不思議な話らしいんです。時代が変わっても遺したいと思った人がいたわけですから、そう思わせた秀長の人徳に思いを馳せることができました」

■受け身の人物ではなく、小一郎の"生きるエネルギー"を表現したい

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――小一郎と呼ばれた青年期については、史料があまり残されていませんが、どのように演じていますか?

「秀長には、兄より一歩下がって支えた参謀役というイメージがあると思うのですが、小一郎としての人生を生きる時には、"この役はこうだろう"と決めつけるのはやめようと思いました。"こういうことはしないだろう"と、制限してしまうと、役が小さくなってしまう。史料が少ない秀長の青年期に関しては、脚本上の設定を大切にしながら、能動的に生命力のある人間として演じたいという思いがあります。何か問題にぶち当たった時でも、自発的に解決する意思を感じさせたいと思っています。農民という出自ゆえの生命力が彼にはあり、戦国時代に生きる農民の苦しさや、幸福を求める強い気持ちも持っていると思うんです。そんな小一郎の"生きるエネルギー"を表現できればいいなと。もしかしたら、史実の秀長のイメージとは違うという印象を持つ方もいるかもしれないけど、ただの受け身の人物にはしたくないと思っています」

――八津弘幸さんが書かれている、今回の脚本を読んでの感想を教えてください。

「読んでいて、とてもワクワクします。キャラクターがみずみずしく、とても生き生きと描かれているし、この兄弟がこれから何を成し遂げ、どんな人生を送り、どんな景色を見るのかという...夢が膨らむ物語になっています。時代劇に抵抗のある人もいるかもしれませんが、八津さんが描くこの『豊臣兄弟!』は、誰が見ても楽しめる軽やかなストーリーになっていると思います。それでいて、戦国時代らしい生死を巡る強烈な駆け引きがある。楽しみの幅がとても広い脚本だと感じます。演じる上でも、感情が高ぶっていくし、胸が熱くなるような物語になると感じています」

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――脚本に描かれている本作での秀長という人物について、魅力的だと感じることはありますか?

「小一郎自身は、農民時代に村を襲われていたり、大切な人を失ったりという悲しい体験をしています。その痛みを知っているがゆえに、侍になってからも彼は無駄な争いは極力避けたいと考えるんです。争わずに、皆が笑って暮らせる世の中を作りたいと願っている。そんな小一郎が僕はとても素敵だなと思います。今の世界を見渡しても、争いが絶えない。だから、現代に小一郎のようなリーダーがいてくれたら、もっと平和な世の中になるんじゃないかなぁなんて想像してしまいますね」

■小栗旬の強烈なすごみが、信長役の説得力を生み出している

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――兄・藤吉郎(秀吉)役である池松壮亮さんとのエピソードをお聞かせください。

「池松さんとは、いろいろな意見を交わしています。現代の人に戦国時代の物語を伝えるには何をすべきなのか、豊臣兄弟だからこそ表現できる事は何なのか、共に頭を巡らせながら話す事で、見えてくる事がたくさんあります。秀吉が中心の話はこれまでたくさんありましたが、ナンバー2である秀長が主役であることで、おそらく共感性が高くなると思うんです。大勢の方に共感してもらえる兄弟の話であり、エンタメとして熱のこもった作品にしたい。撮影をしていると、さまざまな困難もあるし、課題が出てくる。そんな目の前にある課題に対して、一緒に取り組んでよりよいものができるように、まさに兄弟で挑んでいます。『どうすれば、皆が楽しく、笑って撮影ができるだろうか』とか、『兄弟の体温が伝わるような物語にしたいよね』などと、いつも2人で話しています」

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――母親のなかを演じる坂井真紀さん、姉・とも役の宮澤エマさん、妹・あさひ役の倉沢杏菜さんなど、女性キャストの印象はいかがでしょうか?

「母や姉妹たちは、小一郎にとって最大の理解者だと思います。小一郎にとって、貧しい中で苦楽を共にしてきた家族の存在はとっても大きい。坂井さん、宮澤さん、倉沢さんが豊臣ファミリーの絆を育んでくれて、皆さんには本当に感謝しています。現場でもいかにしてよりよい表現をするか、追求してアイデアを出し合っていて、なんて献身的でプロフェッショナルなんだと、日々感動しています。そんなチームプレーで作りあげる現場が、僕も本当に大好きです。小一郎が戦の世界に入っていく中で、白石聖さん演じる幼馴染の直の存在もとても大きい。侍としての小一郎を成長させてくれる女性でもあるんですね。白石さんはすごい集中力で撮影に臨んでいて、誠実に役に向き合っていることが強く伝わってきました。何度も心を動かされて、白石さんが相手でしか出せないような僕の表情もたくさん引き出してくれたと思います。直という女性を最高に魅力的に演じてくれて、本当に感謝しています」

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――織田信長を演じる小栗旬さんについては、どんな印象ですか?

「小栗さんとは出会って十数年経ちますけど、作品でご一緒するのは初めてなんです。我々世代の俳優で小栗さんに影響を受けなかった人はいないと思います。それほど偉大な存在なのに、僕たちに親身に寄り添ってくれる方なんです。一緒に撮影していて感じるのは、小栗さん自身が決して挑戦をやめない方で、いっさい手を抜かないということ。どんな条件下であっても、自分自身に誰よりも厳しいんです。そんなストイックさを常に感じるし、心から尊敬します。信長役を引き受けてくれた時点で、相当な覚悟を持って撮影に臨み、僕らに期待してくれていることも感じますし、豊臣兄弟にとって精神的な支柱でもあります。トップランナーとして走り続けてきた凄み、俳優としての在り方というものを感じさせてもらっています。そして、小栗さんの発するそんな凄みが、まさに織田信長そのものなんです。こんなに説得力のある信長を演じられる人は、他にいないんじゃないかと思っていますし、この作品の大きな柱になっているし、もう語り尽くせないほど感謝しています」

取材・文/渡辺敏樹

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