松本清張の代表作から読み解く!傑作ドラマと呼ばれるには理由があった

松本清張の代表作から読み解く!傑作ドラマと呼ばれるには理由があった

12月21日は文豪・松本清張の116回目の誕生日だ。

清張といえば、「顔」(1956年)、「ゼロの焦点」(1959年)、「砂の器」(1961年)、「わるいやつら」(1961年)、「けものみち」(1964年)、「黒革の手帖」(1980年)など映像化された作品は枚挙にいとまがなく、作品を読んだことはなくてもドラマや映画で見たという人も多く、映像との親和性の高い作品を生み出す作家の一人だ。

その"映像との親和性"の礎にあるものは、短編作品が多く映像化に当たって(放送時間の)尺的にもフィットしやすいこともあるが、やはり"作品の社会性"と"人間と社会の普遍的なテーマの追求"だろう。

特に、昭和期の社会問題を丹念に調査し、権力構造や社会悪を追求した戦後の日本社会の暗部やタブーに迫る作品は、当時の市井の半歩先を行くテーマを描き「社会派ミステリー」というジャンルを確立。フィクションでありながらノンフィクションのようなリアルな背景が読者の心を掴んだ。

同時に、巧みな構成力により、リアルでありながら怒涛の展開とトリックで読者を魅了。最近、"伏線回収"や"考察"がブームだが、松本清張作品こそ"伏線回収"や"考察"の先駆け的存在といえるだろう。

一方で、"一級品"の「社会的テーマ」や「ミステリー要素」にあぐらをかくことなく、動機の描写に力を入れることで人間描写を深めているところも特長。登場人物の背景やキャラクター性が際立っていることで、映像化しても映えるし、それらの人間味あふれる登場人物たちが感情豊かに"貧困"や"差別""名声""財産"といった時代を超えて共感を呼ぶ普遍的なテーマに触れることで、読者の心を少なからず揺さぶるのだ。

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作品の特徴をぶつ切りでひも解いてみたが、実はこれらはしっかりとつながっており、読み終えると一つの軸を中心に描かれていたことに気付いて何ともいえない気持ちいい読了感で満たされるところも清張作品の魅力だ。登場人物たち、"人"を深く描くことで、事件の発端となる"普遍的なテーマ"から始まり、それらが収束し大きなうねりとなって"社会的テーマ"へと発展していく...。つまりは作家の描く"人"が、とめどなく"人"であり、とめどなく愛らしく、憎らしいのだ。だからこそ、映像化して多くの人に見てもらいたいというムーブが生まれるし、時代を超えても面白さは色あせない。同じ作品が何度も映像化されていることが、その確たる証拠ではなかろうか。

チャンネル銀河では、松本清張の誕生日を記念し、12月21日に「特集:松本清張サスペンス」と題して、計6作品を一挙放送する。大病院を舞台に医師たちの欲望が事件を引き起こす豊川悦司主演の「わるいやつら」(2001年)や、中村雅俊が扮(ふん)するエリート官僚の火遊びがとんでもない問題へと発展していく「たづたづし」(2002年)など、珠玉のサスペンスを味わいながら、名優たちが紡ぐ清張が描いた"人"を堪能してほしい。

文/原田健

放送日時:2025年12月21日 10:15~

チャンネル:チャンネル銀河

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