#普通のグルメドラマではない 「#居酒屋新幹線2」【小虎・りょう】

よしもとドラマ部

よしもとドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は宮地ケンスケ・福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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#普通のグルメドラマではない 「#居酒屋新幹線2」【小虎・りょう】

<プロフィール>
りょう(小虎)
1995年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。NSC東京校24期生。2019年に福井祐樹とともに小虎を結成。学生時代からのドラマ好きが高じて、「よしもとドラマ部」の一員としても活躍中。


このドラマとの出会いは偶然でした。

このドラマのOP曲「プラズマクラシックミュージック」を歌っている"(夜と)SAMPO"というバンドが好きな僕は、色々な情報を脳内に入れてる時に「#居酒屋新幹線」というドラマの存在を知りました。そこからは情報の逆輸入でseason1を見させてもらったご縁で、このたび、このドラマを紹介させていただくことになりました。

今回はseason2の紹介です。

損保会社の内部監査室で働いているサラリーマン・高宮進(眞島秀和)の密かな楽しみは、出張帰りに新幹線の車内で堪能するご当地グルメ。新幹線の座席テーブルの上に、出張先で見つけた選りすぐりの食べ物やお酒をセッティングする進。その土地ならではの酒と肴、駅弁、さらにはスイーツまで、組み合わせは無限に広がる。

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このドラマを見ると... 【             】

【             】に入る言葉がたくさんあるなと感じた。

"このドラマを見ると... お腹が空く"

"このドラマを見ると... 旅をしたくなる"

メインはこの2つだと思う。

出張先(season2では北陸新幹線と上越新幹線沿線)で見つける観光スポットやグルメスポットの紹介。車内のお供、郷土料理を使った駅弁、地酒、名物菓子、おつまみ。

好奇心のままに工場見学をする姿、お店やその街の人間との自然な会話など、一人旅としての魅力もある。

新幹線の車内という、本来なら閉鎖された景色で艶やか(つややか)に描く料理と地酒の画は見たらもう動き出さずにはいられないほどお腹が空く。グルメの要素と旅の要素がちょうど良い...。ここだけで、"普通のグルメドラマ"って成立してると思う。しかし#居酒屋新幹線は違う。"普通のグルメドラマ"ではない。

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"このドラマを見ると... 心が楽になる"

"このドラマを見ると... 憧れる"

僕はその要素をとても強く感じた。

主人公の高宮進の仕事は、損保会社の内部監査室。ドラマの中で自らを語る際、"嫌われ役"と名乗っている。そんな"心を疲弊させる仕事"をしている人間のささやかな楽しみが#居酒屋新幹線なのだ。

人間には"心の拠り所"と"心の楽しみ"が必要だ。それがないと壊れてしまうから。

このドラマが"普通のグルメドラマ"ではないと感じる最大の部分は進の人柄がきちんと描かれているのだ。ただ食べ物とお酒と観光スポットにリアクションを取り、感想を述べているのではない。その食べ物に対する思い。その時の自分の生活との結びつきで、なぜそこの観光スポットに行ったのか?という進の人柄がきちんと描かれている。脚本家の方々や眞島さんは高宮進のそういった部分を作り込んだように思えた。

余裕があるから出来る楽しみ

このドラマの魅力の1つにSNSでのフォロワーとのやり取りもある。進は#居酒屋新幹線を開店するとSNSにその日のお品書きを更新するのだが、そこに反応してくれるお馴染みのフォロワーがいる。彼らの顔は出てこなくても"進の心の友人"である事はドラマを見ればよく分かる。この交流も余裕があるから出来る事だと思う。

そして何より進には家族がいる。妻と娘2人。家族にも自分にもすこぶる甘い進を見ているとなんだか憧れが強まる。

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第2話で、台湾から仕事の為に単身赴任で来日している志偉という眼鏡職人と知り合う回があるだが、彼との友情がとてもあたたかい気持ちになるのでぜひ見て欲しい。5話でもう一度再会するのだが、次回予告の時点で僕の心が喜んでいた。

志偉が、家に帰れば家族に会える進をうらやむ描写がある。そこで当たり前の事が当たり前ではない事に気付く進。疲れた仕事終わりに愛する家族が家で待っている。これは最大の心の余裕につながると思う。

だから僕のような一人暮らしで心にもお金にも常に余裕がない若手芸人は、進を憧れとして見る。絶対に売れて"これ"をしたい!"こう"なりたい!そんな事を考えている。

まとめ

このドラマはその街を紹介するドラマ。新幹線の中で美味しいものを食べるドラマ。これだけで楽しめるのですが、もう少し深い所をのぞき込んでみると、こんなに心に寄り添うドラマなのかと思いました。

簡単に言えば、大人の"超超最高級"のVlogを見ている気分になります。もしかしたら僕が感じた"心の〜"みたいな話はこのドラマの"グルメな部分""旅を楽しむ部分"を楽しみたい本来の層にはノイズになってしまうかもしれません。

でも僕は"余裕のある"『#居酒屋新幹線』に"大人で心が豊かな"高宮進に強い憧れを感じました。

『season3』をやる際には、高宮"ススム"のフォロワーになりたいです。

今宵も居酒屋新幹線、開店です。

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