声優・悠木碧『薬屋のひとりごと』第2期スタート！反響が大きかった、猫猫 怒りのシーンとは？

『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどか役や、『幼女戦記』のターニャ・デグレチャフ役、『ヒーリングっど♥プリキュア』の花寺のどか／キュアグレース役、『薬屋のひとりごと』の猫猫役など、数々の人気作で主役を演じてきた声優・悠木碧さんが登場です。

――『薬屋のひとりごと』第2期が開始しますが、第1期を振り返ってアフレコのときの思い出や、印象深かった出来事などあれば教えていただけますか？

(C)日向夏・イマジカインフォス／「薬屋のひとりごと」製作委員会

「作品と同じようにアフレコ現場でも、やり手婆（声：斉藤 貴美子）や水蓮（声：土井美加）にかわいがられ、羅門（ルォメン、声：家中宏）に餌付けされ......共演者の方々からは役の名前どおり、猫のようにかわいがってもらっていたと思います。

さっきも言ったように、力が入った作品なので『責任重大だぞ......！』というプレッシャーはあったけど、みなさんがやさしくしてくださるので、ほっと肩の力を抜いてアフレコにも望めていたような気がします」

――すごく雰囲気が良さそうな現場ですね。壬氏役の大塚剛央さんとのコンビネーションも見事ですよね。

「そうそう、大塚くんにはすごく助けられた部分があって。というのも、私は、壬氏の大塚くんの声によって、アニメの『薬屋のひとりごと』は一本筋がすっと通ったような気がしているんです。

私自身、ドラマCDでずっと猫猫を演じてきて、それなりにキャリアも積んでいる分、出せそうな引き出しもいくつかあって。アニメの猫猫を『どんなふうに演じようかな』というのは少し悩みどころでもあったんです。

そんなときに大塚くんの壬氏の声を聞いて『大塚くんがこう演じるなら、猫猫はこういう感じがいいな！』って思って」

――確かに。お二人の声からだけでも、二人の関係性や距離感が伺えてくるような気がします。第1期を振り返って、印象的だったシーンを教えていただけますか？

「放映後、いちばんいろいろな人から連絡をいただいたのが、第4話で水晶宮の侍女に恫喝するシーン、猫猫がブチ切れる回でした（笑）。

(C)日向夏・イマジカインフォス／「薬屋のひとりごと」製作委員会

あのシーンは、結構観ていただいている方にもインパクトがあったみたいで、それまでダウナーだった猫猫が腹から声を出して怒るんですよね。小さな猫だと思ってたのが『意外と迫力があるぞ？』みたいな（笑）

私自身も演じていて、猫猫の正義感、彼女が大事にしているものの軸が見えるシーンだったので、演じていても気持ちがこめやすかったです。あとは自分以外だと、第10話で壬氏さまがハチミツを手に猫猫に迫ってくるシーンが、キモくて好きです（笑）」

――キモくて（笑）。

「なんか行き過ぎちゃうんですよね〜、彼は。

あんなになんでもできる人なのに、ことそういうことに関しての距離感の取り方がわからないのが、人間らしい部分でかわいいなって思います（笑）」

(C)日向夏・イマジカインフォス／「薬屋のひとりごと」製作委員会

――そういう不器用な部分がなかったら、イヤなやつになってしまうかもしれないですもんね（笑）。先ほど、「猫猫が怒るシーンが印象的だった」というお話しがありましたが、悠木さんご自身は怒ったりすることもあるんですか？

「それで言うと、昔、早見ちゃんと美菜子ちゃんと3人で話をしているときに、美菜子ちゃんが、読んでいるエッセイの話をしてくれたことがあって。それが「どんな人も『喜怒哀楽と、快』の5文字のうち、2つの文字を強く持っている」っていう話だったんです。

で、それぞれ『私たちは何の文字かな』っていう話をして、というところまでは実はエッセイ本にも書いた話なんですが......」

――確かに、エッセイを拝見しましたが、悠木さんが何の文字なのかは書かれていなくて「言わないんかい！」って思った記憶があります（笑）。

「そう、本の中では『なんだったのかは内緒』ということで言ってないんですよね（笑）。

......私のだけ、ここでお伝えすると『怒と楽』だなっていう話になったんですよね」

――意外ですが、「怒」が入ってくるんですね......！

「じつは、自分で基本的には怒りをエネルギーに変えて進むタイプだと思っていて。

燃費自体はよくないんだけど、『とにかく前に進む！』と思ったら、怒りってじつは原動力としては優秀なんですよ。

だけど、それをずっと続けていると自分の身が持たなかったり、身を滅ぼすこともわかっているから、そのバランスを取るために、もう一文字の『楽』があるんだろうなと思って。そこで相殺し合っているんだと思うんです」

――その怒りの源というのは、周囲や世間に対して感じているものなんですか？

「いや、そこは自分に対するものが大きいと思います。

『ここ、もっとこうできたよね』『あの時、なんでこの判断ができなかったんだろう』とか。早見ちゃんと美菜子ちゃんにも『あおちゃんって、いつも自分に怒ってるよね』って言われて、案外自分に厳しいタイプなのかもって、そこで初めて気づいたんです」

取材・文／郡司 しう　撮影／小川 伸晃