読売ジャイアンツ・岸田行倫 新キャプテン論 リーダー像と覚悟を語る
スポーツ インタビュー連載コラム
2026.07.20
~第十八回 プロ野球愛宣言!現役選手編~
好調な読売ジャイアンツのキーマンである岸田行倫選手。今季は新キャプテンとして、中心捕手の一人として、グラウンド内外でチームをけん引している。岸田選手に、伝統ある巨人を背負う覚悟と、野球にかける熱き想いを聞いた。
――今年からキャプテンに就任しました。"プロ野球の主将"とは、どんな役割ですか?
「プロは一人ひとりが自覚を持っているので、高校野球のように主将が何でも仕切る存在ではありません。これまで坂本勇人さんや岡本和真(現ブルージェイズ)といった歴代キャプテンの姿を間近に見てきて、リーダーシップの形は人それぞれだなと感じました。自分はどちらかというと発言できるタイプなので、どこかに困っている選手はいないか?そんなことに目配りをしたり、若手が萎縮せずプレーしやすいよう他愛もないことを積極的に話したり。あとは、チームの模範として周りから見られていることを意識する。そんな感じですかね」
――岸田選手は「円陣番長」の異名があるほどのムードメーカーです。チームのために、明るいキャラクターを演じているところもあるのでしょうか?
「そうですね。チームを盛り上げる役割は大事だと感じています。誰もができることではないですから。巨人に入団して最初の何年かは試合に出られませんでしたが、そんな時から自分がやれることをやっているという感じです」
――巨人の捕手陣は豪華な顔ぶれで、ずっと熾烈な競争が繰り広げられています。試合に出られず焦りや落ち込むことはなかったですか?
「入団時には不動の正捕手の小林誠司さんがいましたし、その後も大城卓三さんや炭谷銀仁朗さん(現西武)もいて。昨年には甲斐拓也さんも移籍してきました。『厳しい壁だな』と思いながら、若手の頃は2軍で頑張っていました。試合に出られなくても気持ちを切らさず、自分にできることをやっていこうと考えていました」

――当時の中心捕手たちと岸田選手では、ベンチから見ていて何が違ったのでしょうか?
「どんなに負けている展開でも、弱い姿を見せないところだったかなと思います。立ち姿からして、『この人が試合に出ていると安心』と思わせるものがある。ベンチから見ていて、『こういう人たちが試合に出るんだな』と思いましたし、少しでも近づけるように努力していました」
――徐々に出場機会を増やしていきましたが、何かきっかけはあったのでしょうか?
「結局は結果が大事だと感じます。捕手は特に、試合に勝ち切るのが一番大事ですから」
――試合に負けると、捕手が責任を背負い込むところもあると思います。
「はじめは試合でたくさん点を取られたり、負けたりするとネガティブになっていました。試合に出られるようになってからは、次の試合はすぐにありますし、気持ちを切り替えていくしかないと考え方を変えました」
――前日に悔しい負け方をしても、切り替えられるものですか?
「引きずってしまうこともありますが、球場に入る時には『できることをしっかりやろう』と思うようにしています。試合が始まるまでは不安も大きいんですけど、やられたことを取り返せるのは試合しかありません。周りもキャッチャーを見ていますから、強い気持ちを持って試合に臨むようにしています」
――近年の岸田選手は、打撃面が目覚ましく進化しています(昨季は打率.293、8本塁打をマーク)。何かきっかけがあったのでしょうか?
「コーチや選手など、いろんな人から聞いた話を自分なりに解釈して、自分のモノにしていきました。あとは試合に出られるようになり、打席内での余裕が持てるようになったことで、ボールの待ち方、配球の読みや駆け引きもよくなってきたと思います」

――同年齢の岡本選手からもアドバイスを受けたようですね。
「一番話しやすい選手ですから(笑)。打者としてのタイプは全然違いますけど、あれだけ結果を残している選手ですし、参考にしています」
――岡本選手の何が一番すごいと思いますか?
「四番打者はチームの勝敗を分ける大事な場面で打順が回ってきます。たとえ打てない日があって悔しい思いをしても、和真は弱い部分を一切見せません。巨人の四番打者という重圧の中で、最終的に結果で跳ね返していくところが、和真のすごいところだと思います」
――これから夏になり、暑い日が続きます。岸田捕手は昨季、夏場での打撃成績がよかったですね。
「寒いのが苦手なので、むしろ暖かいほうがいいですね(笑)。自分は少し冷え性なのか、暖かい時期のほうが身体は動くので、昔から夏のほうが好きです」
――現在、課題にしていることやテーマはありますか?
「試合に出続けるためには、勝利という結果が大事になってきます。プラス、打撃面でも結果を残さないといけない。すべての面で結果を残せるように、常に意識しています」
――岸田選手がここまで野球を続けてこられた、野球に対する想いなどをお聞かせいただけますか。
「他のスポーツでも同じかもしれませんが、成功した時の喜びがあるからですかね。確かに苦しい時、しんどい時はたくさんあります。それでも、キャッチャーとして成功した時の喜びは、今までの苦労をすべて消してくれます。その喜びがあるからこそ、苦しい思いにも耐えられ、ここまで続けてこられたのだと思います」
――最後に、岸田選手のどんなところを見てもらいたいですか?巨人ファン、野球ファンの方々にメッセージを。
「いい時って、誰でもうまくいくものです。でも、うまくいかない時こそ、真価が問われると思うんです。自分は悪い流れの時ほど、"どう振る舞うのか"ということを大事にしています。そんな姿を見ていただき、ファンの方々に伝わればいいですね」

<プロフィール>
岸田行倫
'96年10月10日生まれ、兵庫県出身。報徳学園高→大阪ガスを経て、'17年ドラフト2位で巨人に入団。'24年に盗塁阻止率.475(リーグ1位)を記録。昨年は87試合に出場して打率.293、8本塁打と打撃面でもチームに貢献。明るい性格でチームを盛り上げ、今季より主将を務める。
取材・文/菊地高弘 写真/中川容邦
プロ野球愛宣言!
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