大原優乃が『天文館探偵物語』撮影秘話を明かす 寺西拓人との共演エピソードも
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2025.12.02
鹿児島・天文館を舞台に、バーテンダーの顔を持つ探偵が騒動を解決する人情ミステリー、映画『天文館探偵物語』が鹿児島県先行公開中、12月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開される。
同作品は、バーで働きながら密かに探偵業も営む宇佐美蓮(寺西拓人)が、DV夫から逃げてきたと言うシングルマザーの凪(大原優乃)を助けたことから、天文館エリアの再開発を巡る巨大な陰謀に巻き込まれていくストーリーが展開される。
今回、主人公の蓮と深く関わっていく凪を演じた大原に、役柄や撮影秘話、地元・鹿児島に対する思いなどを語ってもらった。

■メークもそぎ落として挑んだ初の母親役
――本作は、実在する鹿児島の天文館を舞台に撮影が行われましたが、オファーを受けた時の率直な感想や、地元での撮影で印象に残っていることはありますか?
「鹿児島県出身なので、地元で撮影する目標がかなって嬉しかったです。撮影期間中は実家から通っていたので、抱えるものが大きい役柄ではありましたが、実家と現場を行き来する毎日で、感情を気持ちよく切り替えられたことが、地元での撮影ならではだなと思いました」

(C)2025「天文館探偵物語」製作委員会
――今回演じられた「秘密を抱えるシングルマザー」という役柄を、どのように感じながら演じられましたか?
「キャッチコピーに『守りたい人たちがいる、その想いが勇気になる』という言葉があって、それぞれの役柄に当てはまる人物がいるんですが、私の場合は息子の翔真だと思っていて、息子を守り抜きたいという思いで演じていました。凪という役は、たくさんのことを乗り越えて生きてきたんだなという印象があります」
――作品の重要な役どころを演じるにあたり、追求したことやこだわりがあれば教えてください。
「初めての母親役でしたが、『母親らしく演じよう』という気持ちを捨てるところから始めました。それから、最初は大人っぽいメークをヘアメークさんがしてくださったのですが、身寄りのないシングルマザーという役だったので、監督と相談し、なるべく素朴になるようにしました。ヘアメークも出来るだけそぎ落として、わざと髪の毛はうねりを残したりするようにこだわりました」

(C)2025「天文館探偵物語」製作委員会
――演じる上でどのようなことを大事にされましたか?
「息子役の上村駿介くんが初めての撮影でとても緊張していて、人見知りの子だったので、少しでも撮影を楽しんでくれたらいいなと思って、自分なりに気にかけていました。撮影の空き時間はなるべく手をつながせてもらって、『この手を離しちゃいけないな』って、小さな手の温かみを感じながら役作りをしていました。彼のお母さまに好きなお菓子やゲームをリサーチさせていただいて、空き時間はずっとゲームをしたりお菓子を一緒に食べたりしていました」
■主演・寺西拓人の優しさに感謝
――主演の寺西拓人さんとの共演はいかがでしたか?何か心掛けていたことや現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。
「初めて共演させていただいたんですが、どんなにシリアスなシーンが控えていてもフラットに現場にいらっしゃる方で、寺西さんの優しさが現場にも伝染していました。鹿児島の魅力などもお話させていただいたりしていました。ただ、役で初めて出会うシーンで、その時の状況がなぜかツボに入ってしまって笑いが止まらなくて、何回もNGを出してしまったのが申し訳なかったです」

――鹿児島の街の魅力やおすすめのスポットなどを教えてください。
「天文館は、人の温かさをすごく感じます。帰ると『おかえり』って言ってくれる言葉がうれしくて、帰るたびに少しでも大きくなっていたいなという気持ちが励みになっています。おすすめのスポットとしては、食べ物だったら『黒豚しゃぶしゃぶ』が好きで、自分へのご褒美として食べているので、皆さんも鹿児島に来た時はぜひ食べてみてください」
――作品のテーマとして「天文館の再開発」や「街の人々の思い」が描かれていますが、大原さんご自身が考える「守りたい大切な場所や人の繋がり」とはどのようなものですか?
「家族はもちろん、応援してくださっている方々ですね。皆さんの思いに応えられるように、良い意味で毎回裏切っていけるように挑戦し続けていきたいなと思います。そのためにも見せたい自分を追求するというよりは、相手とコミュニケーションを通して感じる嗅覚を大事にしていきたいです」

――デビュー16周年を迎えられましたが、どのようなことを感じていますか?
「15年目はこれまで支えてきてくれた皆さんに感謝を伝える1年にしたいという思いでやってきたので、ここからはしっかりと切り替えて一歩ずつ進んでいく1年にしたいなと思っています」
――これまでを振り返って、自身にとってのターニングポイントとなった作品を教えてください。
「ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』です。初めて連続ドラマに出演させていただいた作品なんですが、たくさんのキャリアを築いていらっしゃる同世代の方々とご一緒させていただく中で多くの刺激をいただいて、お芝居というものに対して憧れたままで現場に来ることをやめようという覚悟が決まりました」
――最後に、本作での経験を経て、今後俳優としてさらに挑戦してみたい役柄など、今後の抱負をお聞かせください。
「今回、故郷での撮影ではありましたが、鹿児島という街に逃げ込んでくるという設定だったので、故郷で方言を話せなかったことがもどかしかったです。そういうまた機会があったら、今度は鹿児島弁を話す役をやってみたいです」

取材・文/永田正雄 撮影/梁瀬玉実
ヘアメーク/鈴木海希子 スタイリスト/丸山晃














