劇場版続編にも期待!鈴木亮平らと共に進化する「TOKYO MER」が描く救命最前線

劇場版続編にも期待!鈴木亮平らと共に進化する「TOKYO MER」が描く救命最前線

2021年にTBS系日曜劇場で放送された「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」は、救命医療のプロ集団の活躍を描く本格医療ドラマだ。2023年に劇場版が公開され、それを記念したスペシャルドラマも放送された。さらに2025年には続編となる劇場版第2弾『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』も公開予定だ。

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劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
(C)2023 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

救命チームをけん引するチーフドクターを鈴木亮平が熱演!

本作は、東京都知事・赤塚(石田ゆり子)の肝いりで誕生した救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」(東京モバイル・エマージェンシー・ルーム)を主体とする救命医療を描く。最新の医療設備を備えた走る緊急救命室、ERカーに乗って災害・事故現場に急行し、人命を救うために現場で緊急オペを行う。都知事から託された「死者を一人も出さない」という使命を果たすため、チーフドクターの喜多見幸太(鈴木亮平)を中心に、医師、看護師、臨床工学技士、医系技官の精鋭が集結したMERのメンバーが全力で救命に打ち込む姿が感動的だ。

主人公の喜多見は、驚異的な技術を誇る超一流の救命救急医。「待っているだけじゃ、救えない命がある」という強い信念を持ち、周囲の制止も聞かずにどんなに危険な現場でも患者の元に飛び込む。その壮絶な覚悟と救命への執念には胸を打たれる。だが、そんな喜多見には過去に秘密があり、それが明らかになれば彼の医師としての人生が危うくなる...。徐々に明かされていく喜多見の「秘密」が物語の大きな見どころになっている。演じる鈴木亮平は、徹底した役作りと演技力に定評のある俳優だが、本作でも例外ではない。同じ日曜劇場「テセウスの船」では、若かりし過去と老いた現在を一人で見事に演じ切った。今回のスーパー救命救急医という役どころに対し、救命医療の緊迫感をリアルに再現すべく特訓を重ねたという。専門的で高度なオペシーンを自ら演じきり、メンバー達に指示を出す場面では、冷静かつ明瞭なセリフ回しが印象的だ。

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劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
(C)2023 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

豪華俳優陣が演じる個性豊かなメンバーが物語を彩る!

厚生労働省の若手エリート医系技官にして、MERのメンバーである音羽尚を演じる賀来賢人の演技も目を見張るものがある。厚生労働大臣・白金(渡辺真起子)からMER解体という密命を受け、仲間とも距離を置く。だが、次第に医療従事者としての良心から、官僚としての立場が揺らいでいく。そんな音羽の複雑な人間性を賀来が見事に表現。職務にひたむきな喜多見との対比も見ものだ。MERの同僚である研修医の弦巻(中条あやみ)、看護師の蔵前(菜々緒)とミン(フォンチー)、麻酔科医の冬木(小手伸也)、臨床工学技士の徳丸(佐野勇斗)といった面々もそれぞれ見せ場が用意され、群像劇としても見ごたえ十分。また、東京消防庁ハイパーレスキュー隊の即応対処部隊隊長・千住(要潤)も存在感がある。危険な救助現場に飛び込む喜多見を救助活動の妨げだとして、当初は疎ましく思っていたが、共に窮地を切り抜けることで信頼関係を強めていく。そんな2人の関係性もドラマの核になっている。

喜多見の別れた妻で心臓移植の名医・千晶(仲里依紗)や、喜多見の妹・涼香(佐藤栞里)も重要な登場人物としてサイドストーリーを彩る。兄と千晶の復縁を後押ししたいと考える涼香は、喜多見にとって大切な家族だが、赤塚都知事、千晶と共に喜多見の過去の秘密を知る人物であることもポイントとなっている。また、厚生労働省の医政局長・久我山(鶴見辰吾)の悪役ぶりも印象的だ。MERをつぶしたい大臣の懐刀であり、上司として音羽を操るのだが、音羽がMERに傾倒していると見抜いてわなを仕掛けるなど、実に憎らしいキャラクターを鶴見が好演している。

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劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
(C)2023 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

珠玉の医療ヒューマンドラマが壮大なスケールで描かれる!

脚本は、TBS系ドラマ「グランメゾン東京」や映画『キングダム』などを手がけたヒットメーカー・黒岩勉。ヒューマンドラマに定評のある彼が、複雑で多彩な登場人物の心象を巧みに紡ぐ。大型バスの多重事故やトンネル崩落など、毎回繰り広げられる壮大なスケールのエピソードも見逃せない。また、劇中に登場するMER専用車両のERカーは、8トン車を6カ月かけて改造したもの。架空の車両であるが、ドラマを監修する救命救急医たちの意見を取り入れて、救急医療の理想を体現したというこの特殊車両にも注目だ。ドラマの人気を受けて2023年に公開された劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』では、横浜のランドマークタワーを舞台に、厚労省直轄の救命救急チーム「YOKOHAMA MER」が新たに登場。両者のライバル関係も見どころな上、高層ビルが炎に包まれる衝撃的な映像は迫力満点。そして、続編となる2025年公開の劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』では、沖縄と鹿児島にまたがる広大な海を舞台に未曽有の事態が描かれる。新たに発足する「南海MER」や新車両などにも期待だ。

大事故や大災害の修羅場を迫力満点の超スケールで描き、命を巡る闘いに挑む熱いヒューマンドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」。進化を続けるMERメンバーたちの活躍から目が離せない。

文/渡辺敏樹