北大路欣也×佐藤流司×山谷花純「三屋清左衛門残日録 永遠(とわ)の絆」スペシャルインタビュー
国内ドラマ インタビュー
2025.11.20
前藩主用人の職を退き、隠居した三屋清左衛門(北大路欣也)が、身の回りに起こるさまざまな出来事に向き合う姿を描く「三屋清左衛門残日録」。その第9作となる最新作は、佐藤流司と山谷花純が演じる結城友助と妻・はなえという若い夫婦に起こる悲劇と、町奉行を務める親友・佐伯熊太(伊東四朗)の旧友の突然の死の真相を見出していく。

――「三屋清左衛門残日録」シリーズは、友情や愛情、事件、陰謀などさまざまなテーマを描きます。その魅力はどんなところだと感じていますか。
北大路「原作の藤沢周平先生が書かれたように、私たち人間は、"生かされている"ということが伝わるところではないでしょうか。清左衛門は、生かされている中で、素晴らしい方々と出会い、皆さんの思いを素直に受け止めて、素直に自分の感情を返していく。良い、悪いなど結論を出すことが目的ではなく、感謝しながら一歩一歩、前進していくのです。私は、そんな清左衛門に非常に憧れています」
佐藤「私はこのシリーズに二度目の参加になります。今回は、友助のようにまっすぐで誠実な人間が直面する理不尽な場面、どうにもならない人生のうねり、悲しさを乗り越えようとするところが大きな魅力だと思います。私は普段、闇がある役や悪役が多く、友助のような好青年を演じる機会が多くなかったので、本当に素晴らしい役に出会えたと思っています」
山谷「シリーズのどの作品もそうですが、生活は現代のように便利ではなくても、友情や恋愛から生まれる心の不自由さはなく、人の優しさや心の広さがしっかりと描かれているからこそ、心を打たれるんだと思います」
北大路「幼い我が子を亡くすという哀しみを乗り越えようと、本当によく支え合う二人に清左衛門は感動しているんですよ。見る方にも響きますよね」

――共演されて、印象に残ったことはありますか。
佐藤「私は二つあるのですが、友助が編笠を被って顔を隠し、清左衛門の前に現れるシーンで、清左衛門に気付かれてはいけないので、距離や角度などを北大路さんがすごくこだわって、監督やスタッフさんたちと話し合ってくださいました。そして、セリフのないシーンのたたずまいや、北大路さんの眼力の説得力は私たちとは次元が違うなと。自分は本当にまだまだだと思いました」
北大路「うれしいですね。佐藤さんは時代劇の扮(るび:ふん)装になっても違和感がないし、立ち回りの動きがすごい。驚きました。日頃からアクションや殺陣をしっかりやりたいという意識があるからできるのだと思いますよ」
佐藤「ありがとうございます!」
山谷「私は着物の持ち方とか、お茶をお出しする所作を北大路さんに教えていただきました。自然に清左衛門としてそこにいらっしゃるので、私もはなえとして自然に演じることができたので、もっとたくさんのシーンでご一緒したかったです」
――撮影時の雰囲気はいかがでしたか。
佐藤「撮影はまだ暑い時期で、北大路さんから、とにかく体を冷やすようにとアドバイスをいただきました。体を整えるのは大事なんだなと思いました」
北大路「私は京都生まれで、暑さ寒さは身に染みています。それでも扇風機も十分にないような時代から、先輩たちはここで撮影してきたんですよね。この撮影所で仕事をはじめてから70年になりますが、言葉で教わらなくても、芝居に向かう心構えは、その場で見て、聞いて、先人から受け継いできたつもりです」
山谷「私は伝統ある撮影所スタッフの皆さんのお気遣いに助けていただきました。はなえのように針仕事は得意ではないので、道具を貸していただいて、ホテルでずっと練習して過ごしました」

――視聴者の方へメッセージをお願いします。
北大路「今回の作品は、清左衛門の親友の熊太にかかわる事件もあり、その裏に何があるのか、目が離せない展開になっています。上川隆也さん、藤岡弘、さん、佐野史郎さんなど、素晴らしい共演者が作品に深みを加えてくださいました。清左衛門としては、お二人が演じた若い夫婦にもっと何かできることはなかったのかという思いがあります。世の理不尽や、愛情、思いやり、切なさ、悔しさ、どの世代にも共感していただける作品なので、ぜひ、ご覧いただきたいです」

(C)日本映画放送/J:COM/BSフジ 藤沢周平(R)
写真/菊竹 規 文/ペリー荻野
PROFILE
北大路欣也(きたおおじきんや)
‛43年生まれ、京都府出身。映画「父子鷹」でデビュー後、数々の時代劇に主演。円熟の演技で現代ドラマにも活躍の場を広げ、紫綬褒章や文化功労者にも選出された国民的俳優。
佐藤流司(さとうりゅうじ)
‛95年生まれ、宮城県出身。「仮面ライダーフォーゼ」で俳優デビュー。ミュージカル『刀剣乱舞』などで人気を集め、音楽活動も精力的に行う。
山谷花純(やまやかすみ)
‛96年生まれ、宮城県出身。ドラマ『CHANGE』でデビューし、「映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』」 で注目される。幅広い役柄を演じる実力派女優。














