妻夫木聡×渡辺謙の至高のロードムービー 「生きとし生けるもの」【夫婦のじかん・大貫さん】

妻夫木聡×渡辺謙の至高のロードムービー 「生きとし生けるもの」【夫婦のじかん・大貫さん】

最強タッグが集結!

妻夫木聡さん×渡辺謙さん、そして脚本家・北川悦吏子さん×監督・廣木隆一さんが手掛けるヒューマンドラマ。もうこれだけで必見なのは間違いないのですが...。実は私、「余命いくばくも無い」とか「末期癌の」とか、泣いてしまうことが確定しそうなドラマが少し苦手だったりするんです。しかし、最初にこれだけは言えます。そういうものが苦手な方でも大丈夫!と言うか、そういうものが苦手な人にこそ刺さる言葉の数々があるんです!

ストーリーは、妻夫木聡さん演じる才能ある外科医が、あるきっかけによりメスを握れなくなり、内科医へと転身。そこで出会った末期癌患者の渡辺謙さんとバイクで旅に出ることになるというもの。

渡辺謙さんの役作りに脱帽...!

とにかく、渡辺謙さんの役作りが凄いです...。本当に末期癌患者に見えて、肌質まで普段と違っています。末期癌患者なのに、何故かチャーミングで、笑ってしまうようなところも。

"末期癌患者なのに"と書いてしまいましたが、これこそが普段自分が勝手に抱いている「病気」や「死」に対するステレオタイプで、病気になったって最後の瞬間までその人らしさが続いているし、幸せな瞬間は続いているんだよなと、さまざまなことを思い直すきっかけをくれる物語でもありました。

我らがストニュー神!妻夫木さん!

そして妻夫木聡さん!妻夫木さんと言うと、「ブラックジャックによろしく」、「ウォーターボーイズ」、「ジョゼと虎と魚たち」、そして北川悦吏子さん脚本の「オレンジデイズ」と、いろんな作品を思い返しますが、私は何といっても「東京ストリートニュース」略して「ストニュー」という、90年代後半の若者に大人気だった雑誌に出られていたというイメージが、今でも脳裏に焼き付いています。普通の高校生が、読者モデルとしてたくさん載っていたストニュー。その中でも妻夫木さんはものすごいオーラを放っていて、とてつもない人気でした。そんな妻夫木さんが演技でもものすごい才能を発揮するという...。なんという生まれながらのスター性!この作品でも、妻夫木さんの演技が光りに光りまくっていますので、ぜひご覧ください。

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考えるべきなのに考えたくない「死」というものへの答え

「病気」や「死」というのは、ドラマが作りやすい設定であるだけに、なんとなく想像する道筋があると思います。余命の告知をされ、自分の人生と向き合い、最後には穏やかに感謝の言葉を述べて死を迎える。そういったドラマの中でのイメージを良い意味で壊してくれ、実際の「死」とはどういうことなのか。残される者、死んでいく者、どう向き合っていくべきなのか。体力的にも苦しい時期だってたくさんある。楽に死んではいけないのか。

ありとあらゆる課題を考えるきっかけになるような物語なのですが、不思議と「死」を考えていると、「生きること」について考えてしまうような物語でもあります。

ああ、余命ものって苦手なんだよなというところから見始めたこのドラマであったのですが、見終わった後はそんな気持ちを一切忘れてしまうような、良いロードムービーを見終わった後の爽快感が残りました。

人生の終わりが来たとき、残された人々にもこんな爽やかな気持ちでいて欲しいなと思える良作です!

【プロフィール】
大貫さん(夫婦のじかん)
NSC東京11期生。タカダ・コーポレーションを経て 2016年に旦那の山西 章博と「夫婦のじかん」というお笑いコンビを結成。 普段は芸人として活動しているが、漫画家やイラストレーターとしても活躍中。 コミックエッセイ「母ハハハ!」発売中。第35回フジテレビヤングシナリオ大賞最終。NHK脚本開発チーム「WDRプロジェクト」第2期メンバー。

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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