生活感のある西島秀俊と可愛すぎる内野聖陽 「きのう何食べた?」【フルーツポンチ・村上健志】
国内ドラマ 連載コラム
2025.09.13
弁護士のシロさん(西島秀俊)と美容師のケンジ(内野聖陽)は、2LDKの部屋で一緒に暮らしている恋人同士。シロさんの日課は、仕事を終えスーパーでお買い得な食材を買い、月の食費を抑えつつもバランスの取れた夕食を作ること。二人の日常と食卓を描いた物語。

「きのう何食べた? season2」
(C)「きのう何食べた? season2」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社
■明日マネしたくなる料理の数々
ドラマのメインとも言える、西島さん演じるシロさんによる料理シーン。こんな贅沢なキャスティングの料理番組があったら、料理の作り方が入ってこないんじゃないかと危惧する気持ちもなんのその。料理の手順も実にテンポ良く参考になるのです。しかも、登場する料理の数々に生活感があるのが良い。スーパーで安かった食材や、冷蔵庫に残っている食材を使って、数品の料理を作る手際に「なるほど」と感心し、家で作るナポリタンは具沢山にできるんだよな、というせりふに「確かに」と、そのささやかな喜びにくすぐられます。
生活感のある料理ばかりではなく、ラザニアやおうちクレープ(家でクレープの生地を焼き好きな具材を入れる)というちょっと背伸びした料理も出てくるのが、またうれしい。本当に、自分の生活の中にラザニアが登場したり、普段外では一種類しか食べないクレープの"あま(甘いの)"も"しょっぱ(しょっぱい系のおかずクレープ)"も楽しめる、そんな食卓になるようなうれしさがあるのです。
参考にしたくなる生活感のある料理も、自分が作ったことのない少し贅沢な料理も、これなら出来るかも、してみたいと思わせてくれる料理がふんだんに出てきて、マネしたくなります。そして、毎日は食事でこんなにも豊かになるんだと思わされるのです。

「きのう何食べた? 正月スペシャル2020」
(C)「きのう何食べた?正月スペシャル2020」製作委員会
■また物語が人を好きにさせてくれました
切なさと優しさといじらしさと穏やかさに、心地よく揺らされる30分。恋人同士の中年二人のシロさんとケンジ。その関係をスキャンダラスに描くわけではなく、大人同士の恋愛での価値観の違いや歩み寄りが、とても穏やかな空気感の中で進んでいく。このドラマは、恋愛モノと言えば、きっとそうなのかもしれませんが、恋愛が軸ということではないようにも思えるのです。暮らしの中に恋も愛もある。それぞれの仕事も人間関係もある生活の中に、恋人と暮らしている。恋人を怒らせてしまった日も仕事に出かけ、共に食卓を囲む。親のこととか過去とかこれからとか老い、実に現実的な問題が取り上げられている。
そんな手触りのある物語を見ていると、シロさんとケンジが大好きになります。ケンジのことを恋人だと、あまり公言したくないシロさん。シロさんと恋人であることをもっと人に言いたいケンジ。どちらのことも好きになるのです。「もーー」とか「わかるよ、わかる」「なんだかんだで優しいじゃん」と二人と一緒に食事をして、愚痴のようなのろけのような話を聞いた気分で、「結局、お似合いの二人じゃん。ごちそうさまです。」と言いたくなります。シロさんの優しさに微笑み、ケンジの可愛さにニヤけてしまいます。物語があったから、こんなに二人を好きになれました。好きになった人の悩みは、そうなる前より他人事ではなくなりました。
美味しいご飯と愛おしい二人の穏やかな空気を味わって下さい。
【プロフィール】
村上健志(フルーツポンチ)
1980年12月8日生まれ、茨城県牛久市出身。
2004年にNSC東京校10期として入学。在学中に、同期の亘健太郎とともにフルーツポンチを結成。特技の俳句で、MBS「プレバト!!」にて日常の風景を切り取る独自の才能を発揮し、永世名人の称号を獲得。2021年には「フルーツポンチ村上健志の俳句修行」と題し、句会での様子を書籍にして出版している。よしもとドラマ部に所属。ドラマ好きが高じて、多数ドラマ出演経験あり。
よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。
よしもと
ドラマ部
(吉本興業所属のお笑い芸人)
吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。














