バカリズム脚本×安藤サクラの最高傑作! 「ブラッシュアップライフ」【夫婦のじかん・大貫さん】

よしもと<br>ドラマ部

よしもと
ドラマ部 (吉本興業所属のお笑い芸人)

吉本興業所属のテレビドラマ好きを公言しているお笑い芸人からなる。 現在は福田恵悟(LLR)・村上健志(フルーツポンチ)・大貫さん(夫婦のじかん)・りょう(小虎)らが所属。

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バカリズム脚本×安藤サクラの最高傑作!  「ブラッシュアップライフ」【夫婦のじかん・大貫さん】

【プロフィール】
大貫さん(夫婦のじかん)
NSC東京11期生。タカダ・コーポレーションを経て 2016年に旦那の山西 章博と「夫婦のじかん」というお笑いコンビを結成。 普段は芸人として活動しているが、漫画家やイラストレーターとしても活躍中。 コミックエッセイ「母ハハハ!」発売中。第35回フジテレビヤングシナリオ大賞最終。NHK脚本開発チーム「WDRプロジェクト」第2期メンバー。


国内外のコンペティションで28冠!

「もしも人生に2周目があったら...」

誰もが一度は考えてしまうことを見事にドラマとして成立させ、これまでに『東京ドラマアウォード』作品賞(連続ドラマ部門)のグランプリ、『ContentAsia Awards 2023』(3部門)、『第39回ATP賞テレビグランプリ』(総務大臣賞&優秀賞)を受賞するなど、国内外で評価を受け28冠を獲得した「ブラッシュアップライフ」。

脚本のバカリズムさんとは畏れ多くも同業、そして脚本をかじらせていただいている身としてコラムを書くのは憚られる気持ちもあるのですが、今回のコラムでは、この素晴らしい作品をご紹介させていただくこととなりました。

<あらすじ>

平凡な人生を送っている市役所職員の近藤麻美(安藤サクラ)は、ある日、交通事故で亡くなってしまいます。しかし、生まれ変わる次の人生は「オオアリクイ」...。来世でより良い生まれ変わりができるよう徳を積もうと、何度も自分の人生をやり直すという物語です。

と、簡単にあらすじをご紹介しましたが、これだけではこのドラマの良さを表現できないほど、たくさんの見どころに溢れているのです。

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とにかく解像度の高い女子トーク

「女子会=恋バナ」というステレオタイプがよくありますが、そもそも友達と会ってご飯を食べたりお喋りしたりというだけで、「女子会」になってしまうという違和感があったりもします。しかし、この作品の中では、恋バナではない、地元の友達、昔の担任の先生、商業施設、ローカルCMの話等々、リアルな温度がそこにあり、懐かしい平成文化が垣間見える楽しさもあるのです。この「友達で集まったときのトーク」の解像度が高過ぎて、つい地元の友達に思いを馳せてしまうほど。とにかく会話が自然で、いつも友達と喋っているときのような空気感があり、自分もいつの間にか同じ空間にいるのではと錯覚してしまいます。安藤サクラさんはもちろん、木南晴夏さんや夏帆さんのナチュラル過ぎる演技も最高です!

かっこいい人が出てこない

意外と重要な点ではないかと思うのが、「かっこいい人が出てこない」というところです。松坂桃李さんは出てくるのですが、まったくもってかっこいい役回りではありません。(もちろん、ビジュアルは良いのですが)人生1周目でかっこいいなと思っていた同級生の加藤くんも、2周目の一度大人になってしまった主人公からすると、ただただ子どもですし、将来の姿を先に知ってしまっているというのも加味して(粉雪の加藤)、恋愛感情に発展しないのも良いです。

「ブラッシュアップライフ」の登場人物たちは、ひたすらに「今」を楽しんでいます。普段、「今」を楽しんでいるつもりであっても、どこかで将来への不安を抱え、その思いの元、行動してしまっているなと感じたりするものですが、この作品に出てくる女性たちは、結婚に焦ることもないですし、彼氏を作らないと、という気負いすらありません。世の常に躍らされることなく、今自分が楽しいと思うことに、これくらい正直に、そしてゆるく生きていきたいなと思う指針のドラマにもなっていると感じます。

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ただのあるあるに留まらないメタ構造

主人公の麻美は、1周目の人生では市役所職員、2周目では薬剤師と、職業をどんどん変えていくのも面白いです。そして3周目の人生では、ドラマのプロデューサーとなり、自分の生き直しの人生をドラマ化していくというメタ的展開になっていくのも最高です!

ドラマの打合せでは、壮大なSF展開になっていくのに対し、実際に3周目の人の人生は...、という滑稽さ。そして、いつしかこの物語自体も、思わぬ展開へ移行していく構成の凄みに、「毎週目が離せない」という地上波ドラマの真骨頂を見せていただき、勝手に日々の活力となっておりました。

放送当時は、さまざまな伏線に注目され、SNSでも毎週考察が止まらなかった「ブラッシュアップライフ」。2度3度と見ると、毎回違った発見があり、何度も楽しめる作品となっていますので、まだ未視聴の方は、この機会にぜひご覧ください!

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