「はぐれ鴉」で神尾楓珠が時代劇に初出演!「自分の中で大きな作品になりました」

「はぐれ鴉」で神尾楓珠が時代劇に初出演!「自分の中で大きな作品になりました」

神尾楓珠(ふうじゅ)が主演を務める時代劇ドラマ「はぐれ鴉」が、8月9日(土)19時から時代劇専門チャンネルにて放送される。同作品は、赤神諒の同名小説をTOSテレビ大分開局55周年記念作品として映像化したもので、テレビ大分で7月に放送された新作時代劇ミステリー。凄惨な事件から始まる一人の男の復讐劇を描く。

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寛文6年、豊後国・竹田藩で城代一族郎党含め26人殺しという凄惨な事件が起きた。1人逃げのびた幼き次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き山川才次郎(神尾)と名を変え、叔父である現城代・玉田巧佐衛門(椎名桔平)がいる竹田の地を14年ぶりに踏んだ。長い時を経て再会した巧佐衛門は凶行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者"はぐれ鴉"と周囲からうわさされていた。その後、才次郎は"竹田小町"と評判の巧佐衛門の娘・英里(山本千尋)と出会い、予期せず惹かれていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮えたぎる復讐心を支えに「必ずや叔父を討つ」と心に誓うが――というストーリー。

今回、時代劇ドラマ初出演にして主演を務めた神尾にインタビューを行い、出演が決まった時の感想や撮影秘話などを語ってもらった。

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「太秦での撮影はアットホームでした」

――出演が決まった時の感想は?

「驚きました。映像での時代劇はやったことがなかったですし、大分に縁があるわけでもなかったので......(笑)。また、椎名さんや山本さんも出演される時代劇に挑戦するということで、とてもプレッシャーを感じたことを覚えています」

――撮影が始まるまでの心境は?

「脚本を読ませていただいて、14年間も復讐心を燃やし続けている役でしたし、立ち回りもあるので、『しっかりと準備しないといけないな』と。そして、今まで時代劇というものにあまり触れてこなかったので、テレビで時代劇を見て動きを研究したり、役者さんたちの芝居を見て勉強したりしました。

撮影前に所作指導や殺陣の練習もさせていただいたのですが、舞台での動きとはまた違ったものだったので、そこも苦労した点でした。現代劇では普通に動けるところも、時代劇だと『ここで一旦止まる』とか『畳の縁は踏まない』とか所作が1つ1つ決まっているため、それを気にしつつ、せりふに感情を乗せないといけないですし、本番ではカメラとのタイミングを合わせないといけないので、とても難しかったですね」

――演じる上で意識したところは?

「原作のイメージはちゃんと持ちつつ、"自分の中で復讐心が静かに燃えている"という感じで、"前面に出す"というよりは"常に内に秘めている"というイメージで演じました。自分に置き替えると、ここまで強い信念を持ち続けて行動に移すというのはとてもできないと思うので、"信念の強さ"もかなり意識しました」

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――撮影はいかがでしたか?

「京都・太秦での撮影は初めてで、撮影前は撮影所のスタッフが職人気質でちょっと怖いイメージがありました。でも、実際はそんなイメージとは真逆で、皆さん本当に優しく迎えてくださってアットホームな現場でした! スタッフの皆さん同士も本当に仲が良く、みんなで意見を出し合いながら1つの作品を作っている、と一体感を強く感じることができました。人の温かさを感じる現場で、それが本当に心の支えになりました」

――共演者の方々の印象は?

「(椎名)桔平さんはすごく長くやられているにもかかわらず、所作指導の方にいろいろ質問されていて、新しい発見を楽しんでやられていたのがとても印象的で、すごく素敵だと思いました。また、山本(千尋)さんはすごく明るい方で、山本さんの方が年上なのですが、それを感じさせないくらいフラットに接してくださったのがとてもありがたかったですね。高橋英樹さんは現場に入ってこられた時のオーラがすごかったです。時代劇特有の所作がしっかり身に付いて馴染んでらっしゃって、本当にその時代を生きている方みたいでした!」

――苦労したことは?

「撮影が1月~2月にかけて行われたのですが、袴の通気性が良過ぎて、とても寒かったことです。中に着込めなかったので、『昔の人は、どうやってしのいでいたんだろうな』と思いながら、気合で乗り切りました。また、気持ち的には、復讐心を持ちながらも仇敵の娘に恋心を抱くというのは難しかったですね」

――印象的なシーンは?

「大分での撮影の時に雪が降ったのですが、それがすごくきれいで! 大分で降るなんてほぼないそうですが、個人的に"時代劇は雪景色"というイメージが強かったので、『誰かが呼び寄せたのかな』と感慨に浸りました。新雪の上を歩くシーンでは、クランクインして間もない時期で、歩き方も『これで合ってるかな』という不安もある中での一発勝負だったので、本当に緊張しました」

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「時代劇の魅力や楽しさに気付けました」

――初めての時代劇の撮影を終えた感想は?

「今回は無事にクランクアップできて、この経験がちゃんと身に付いているかはまだ分からないのですが、もしまた時代劇をやらせていただくことがあったら、今回のことを思い出しながら挑みたいと思います。

振り返ると、もちろん大変なところも多かったんですけど、とても楽しかったんです。周りから『顔が現代的過ぎるから(時代劇の)オファーは来ない』と言われたことがあって、『僕の人生で時代劇は縁がないんじゃないか』と思っていた中での新しい挑戦だったので、今回でより時代劇に興味を持ちましたし、これからも演じてみたいと思いました。

また、初めてのことばかりで全てが新鮮で、『こういうお芝居もできるようになったら、役者としてもっと成長できるだろうな』と思いましたし、演じることの面白さを再認識することができました。今回参加させていただいたおかげで時代劇の魅力や楽しさに気付けましたし、吸収したこともたくさんあったので、自分の中でとても大きな作品になりました」

――挑戦の連続だった同作の撮影でのリフレッシュ法は?

「どの現場でもそうなのですが、音楽を聴いてリラックスしています。また、甘い物が好きなので、よく食べています。昔からヤマザキの『薄皮ピーナッツパン』が好きで、前の現場でその話をしたら、みんな『食べたことない』と言っていて(泣)。最近はコンビニに置いていないので、取り寄せて食べています」

――この作品で注目してもらいたいところは?

「殺陣もそうなのですが、やっぱり人間模様ですね。複雑な人間関係の中で、繊細な気持ちの動きがしっかり描かれていると思うので、才次郎だけじゃなく巧佐衛門や英里の心の機微にも注目していただければと思います」

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――ご自身の"はぐれ"エピソードは?

「高校時代とかは、あえてはぐれていたところがあります。その方が、ちょっとミステリアスでカッコいいかなって......(苦笑)。全員で盛り上がっているところに、100%では入っていかず、かたわらからちょっと参加している、みたいな」

――最後に視聴者にメッセージをお願いします。

「今回、初めての時代劇ドラマということで、見たことのない僕を見てもらえるんじゃないかなと思います。作品としては、人間関係の心の動きだったりが本当に丁寧に描かれているので、時代劇の良さや迫力を感じてもらいつつ、そういった繊細な部分にも注目して見てもらえたらと思います」

取材・文/原田健 撮影/中川容邦

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