『春夏秋冬代行者 春の舞』アニメならではの映像美と同じ声優だからこそ胸を打たれる熱演【ペイトン尚未】
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2026.11.08
私がこの作品と出会ったのは、2025年10月にニコニコ生放送で配信された『本を皆さんに紹介しましょう』という企画に出演したことがきっかけでした。事前アンケートで紹介したい本を聞かれ、以前からタイトルが気になっていた「春夏秋冬代行者」を手に取ったんです。当時、読んだばかりの感想を生放送で皆さんにお伝えできたらいいなと思い、選んだことを覚えています。
この物語は、神に代わって現人神である"四季の代行者"が季節を巡らせる世界が舞台です。春の代行者である少女・雛菊(ひなぎく)と、その護衛官・さくらが、苦難に満ちた過去を乗り越えていく姿が描かれます。私自身、四季が大好きで、日本の季節の移り変わりをとても美しいと感じていたので、「四季の代行者」という言葉に惹かれたんだと思います。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
雪景色が桜に変わる瞬間に感動!アニメの映像美
この物語の著者は、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で知られる暁佳奈(あかつきかな)先生です。先生が描く繊細な心の機微や、言葉にするのが難しい感情を美しい文章で表現する才能を本当に尊敬していました。すごく期待して読み始めたのですが、その期待をはるかに上回るほどステキな作品に出会えたと感じました。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
原作を読んで最初に思ったのは、「なんて美しくて理不尽なおとぎ話なんだろう」ということです。四季は美しく、人々が訪れるのを心待ちにしているものですよね。でも、その季節を担う代行者は、ある日突然「あなたは今日から代行者ですよ」と選ばれた普通の人間なんです。自分が望んだわけではなく、代行者にならなければ普通の生活を送れていたはずの少年少女たちが物語の中心にいるところが、特に心に残りました。
原作を手に取った時には、すでにTVアニメ化が発表されていました。最初は「アニメ化されるんだ、じゃあ見てみようかな」という気持ちだったのですが、読み終わる頃には「絶対にこれはアニメも見なきゃ!」と思うほど夢中になっていました。スオウ先生が手がける美麗なイラストがアニメでどのように表現されるのか、想像するだけでも楽しみでしたし、実際に原作のイラストが忠実に再現されているシーンを見た時は、思わず「ありがとうございます」と感謝してしまいました(笑)。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
アニメ第壱話では、長らく冬が続いている大和国最南端の島・竜宮を、春の代行者・雛菊と護衛官・さくらが訪れ、春を呼び戻すまでが描かれます。雛菊が四季の歌を歌うと、それまで雪に覆われていた風景が、桜の花びらが舞う絶景へと変わっていくんです。「こんなにも美しいんだ」と改めて感動しましたし、原作を読んで想像していた世界が映像になることで、アニメ化の素晴らしさを実感しました。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
同じ声優だからこそ響く!春陣営の熱演
雛菊を演じる貫井柚佳さんのお芝居には、同じ声優として本当に尊敬の気持ちでいっぱいです。こんなことを言うのもおこがましいのですが、あれほど素晴らしい表現ができるなんて、すごいなと思います。特に心を打たれたのが、現在の雛菊と、代行者になる前の無邪気な頃との演じ分けです。「どうしてそこまでできるんですか!」と思うくらい素晴らしくて、雛菊を貫井さんが演じてくださったことが本当にうれしかったです。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
また、さくらを演じる青山吉能さんのお芝居にも、強く胸を打たれました。さくらは強い護衛官であろうとしている女の子ですが、雛菊誘拐事件など、過去の傷が癒えないまま現在の雛菊と向き合っています。心がすり減るような状況でも強がっている部分があって、演じるのがとても難しい役だと思います。
特に印象に残っているのは、さくらが慕っていた冬の護衛官・凍蝶(いてちょう)と、冬の代行者・狼星(ろうせい)に向かって「助けるって言ってくれたじゃないですか!」と叫ぶシーンです。悲しさや悔しさ、切なさといった感情がすべて詰め込まれたお芝居で、思わず耳をふさぎたくなるほどの迫力がありました。鳥肌が立ってしまうくらい心を揺さぶられて、青山さんだからこそ生まれたお芝居だと感じました。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
雛菊とさくらの絆、狼星が秘めた恋心に夢中
雛菊とさくらは、お互い初めてできた友達であり、初めて心を開くことのできた同年代の女の子だったと思うんです。雛菊は母親も代行者だったことから、里の人々に白い目で見られ続けた過去があります。一方のさくらは、養護施設で暮らし、一人ぼっちだったという寂しい過去を抱えています。そんな二人だからこそ惹かれ合い、子どもの頃から姉妹のような親友になっていったのだと感じます。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
私が好きなのは、第6話でさくらの膝の上に雛菊が乗って二人でお話しするシーンです。雛菊が「さくらの、おひざ、すわる?」と言うのがすごくかわいくて! お互いを信頼しているからこその距離感に、思わず萌えました。物語の推しポイントは、代行者と護衛官の絆です。そして、私が特に大好きなのが第拾肆話。狼星が、雛菊のことを自分だけの呼び名で呼ぶんですよ! もうニヤニヤが止まりませんでした(笑)。サブタイトルも「冬に咲く春の花」で、幼い頃から狼星の中では、雛菊への恋心という春の花がずっと咲き続けていたんだなと。

(C)暁佳奈・スオウ/ストレートエッジ・KADOKAWA/春夏秋冬代行社
もし自分が春夏秋冬の陣営に入るとしたら、春の里で雛菊とさくらへの風当たりを和らげる仕事がしたいです。里長さんに「ちょっと言い過ぎなんじゃないですか」と言える立場になりたいので、春担当のトップを目指して勉強し、四季庁に入ります! でも、本音を言えば「自分は関わらないけど、幸せでいてほしい」ので、二人が過ごす部屋の壁になって、仲良くしている姿を見守りたいですね。
『春夏秋冬代行者 春の舞』は、四季という概念がある世界に生まれた私たちは、とても幸運だと実感させてくれる作品です。「四季」というテーマから感じられるものを存分に味わい、物語の世界に浸ってほしいです。そして、次にやって来る季節を心待ちにできるような気持ちになってもらえたらうれしいです。

【プロフィール】
ペイトン尚未(ぺいとん・なおみ)
声優、アーティスト。2020年に声優デビュー。TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』で平安名すみれ役を担当。同作のスクールアイドルグループ「Liella!」のメンバーとしても活動し、2023年にはソロアーティストとしてもデビュー。



