瀬戸麻沙美×水瀬いのり×石見舞菜香が語る『青ブタ』完結編!ヒロインたちが振り返る「咲太イズム」と思春期の記憶

鴨志田一の大人気小説「青春ブタ野郎」シリーズは、思春期症候群という不思議な現象に悩まされる少年少女の青春ドラマで、"青ブタ"の愛称で親しまれている。2018年に「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」としてTVアニメ化され、以後も続編が劇場版とTVアニメで展開されてきた。そしてシリーズ完結編の劇場アニメ「青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない」が10月16日(金)、いよいよ劇場公開となる。桜島麻衣役の瀬戸麻沙美、牧之原翔子役の水瀬いのり、美東美織役の石見舞菜香に、作品の魅力やシリーズ完結への思いを聞いた。

■成長と信頼、そしてミステリアスな新キャラクター。それぞれの現在地

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――まずは、ご自身が演じるキャラクターの印象について聞かせてください。瀬戸さん演じる麻衣は高校生編から登場していますが、印象が変化した部分はありますか?

瀬戸「麻衣さんは、年を重ねるごとに、完璧な人だと感じますね。自分が演じるキャラクターに関しては、その子の目線で物事を見たいので、無責任な言葉は使いたくないという思いがあるんですが、それでも完璧だと言ってしまうくらいの人なんです。特に「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」のころからは、他の子の思春期症候群に向き合う咲太を陰ながら支える存在になって、すごく成長したなと感じています」

――恋人の咲太が、思春期症候群に悩む他の女の子のために奮闘している姿を、信じて見守る姿もすてきだと感じました。

瀬戸「咲太が誠実な姿勢を見せているし、麻衣さんもそれを分かっているので、不安がないんだと思います。ときどき『大丈夫なの?』と嫉妬するんですが、本当に疑っているわけじゃなく、咲太が喜ぶのを分かって嫉妬する顔を見せている。ふたりの信頼関係が盤石だから、不安要素がないんでしょうね」

――水瀬さん演じる翔子は、中学生の"翔子ちゃん"と大人の"翔子さん"など様々な姿で登場しますが、印象の変化はありましたか?

水瀬「大事な分岐点には必ず翔子さんが現れると感じているので、ネガティブな意味ではなく『ずるい人だな~』と思います(笑)。彼女は恵まれた境遇ではないし、天才というより努力の人なんですが、つらいと思っていてもそれを見せないんですね。自分の中の正義を光としてそっと咲太くんに与えてくれる立ち位置なので、ヒロインでありヒーローだなと感じています。

最初に翔子さんを演じると決まったときは『妹枠なのかな』『癒やしキャラなのかな』と思っていました。でも話が進むにつれて、作品全体の中でもすごく大きな存在なんだと分かって、翔子さん役というだけで、演じている私にもバフがかかるくらいの恩恵をいただいています(笑)。こんな人になりたいと思える存在ですし、「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」で描かれた弱い部分も含めて、愛するキャラクターにできたのはすごくうれしく思っています」

――石見さん演じる美東美織は、大学生編からのキャラクターですね。

石見「美織ちゃんは、前作の「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」から登場したんですが、コミュニケーション能力が高くて自分から咲太くんに声を掛けたり、明るい印象があると同時に、つかみどころがないミステリアスな部分も持っています。周りも自分も冷静に俯瞰(ふかん)していて、自分が人からどう見られているかも考えつつ、うまく立ち回れる器用なタイプなんです。思春期症候群について言及するシーンもありましたし、奥にまだ秘密があると予感させるキャラクターですね」

――「サンタクロースの夢を見ない」の2話で、似たような服装の女子大学生を見て、ダサいとも頑張りすぎとも思われないようにすると無難な服装になる、と語るシーンも印象的でした。

石見「あれは、私の中でも印象に残ったセリフです。学生時代に制服を着ていたころは、スカートを短くしたりして自分の個性を出そうとしたのに、いざ何でも着ていいとなると無難な服を選んで、空気を読んでしまう。そんな気持ちを言語化できる冷静さや、物事の捉え方に、私もときどきハッとさせられます」

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■ついに完結編! 物語が大きく動く謎解きと、感動のライブシーン

――本作の見どころを教えてください。

瀬戸「今回は翔子さんが帰ってくるのがうれしいところなんですが、それはつまり咲太が頑張らないといけないような、物語が大きく動く何かが起きたということでもあります。完結編ということで、これまで見てきてくれた人だからこそ楽しめる要素も多くなっているので、この青春の終わりを味わってほしいですね」

水瀬「前作からミステリー要素が加味されたように感じていて、今回も触れられそうで触れられない真相を前に、咲太が悪戦苦闘することになります。私は今回の台本を読むときに、咲太のセリフの意味が1回では分からなくて何度も読み返したんですが、そういう謎解き部分を楽しみつつ、謎の先にある答えを見届けてもらいたいです」

石見「今までいろいろな思春期症候群に向き合ってきたと思いますが、完結編では今までの出来事についてまた考えたり、向き合ったりすることも重要になっています。美織ちゃんに関しては、"ディアフレンド"というタイトルがぴったりなエピソードも出てくるので、ぜひ注目していただきたいです。

それからライブシーンがあるのですが、歌詞の意味を感じながら見るライブシーンは、すごく感動しました。私が見たときは、まだ表情などが完成する前の映像でしたが、それでも歌の感情が伝わってきたんです。劇場で見たら、さらに美しいライブシーンになっていると思います」

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■等身大で愛情深い"咲太イズム"と、『青ブタ』が長く愛される理由

――ヒロインを演じるみなさんから見た、咲太の魅力は?

瀬戸「麻衣さんに一途なところ、なんだかんだ面倒見がよくて困っている人を放っておけないところ、不器用なところも魅力だと思います。ただ、一言多いところもあって、『麻衣さんじゃないとうまく切り返せないよ』と思ったりもします(笑)。ただ、それも麻衣さんとの関係あってのやり取りなので、すてきだなと感じますね」

水瀬「普段は脱力しているタイプの主人公だからこそ、スイッチを入れて本気になったときに、思いのままに叫んで走る姿が輝いて見えて、すてきだなと。熱血すぎないからこそ、等身大の姿を見せても、どこか品があるように感じるんです。個人的には、そこが"咲太イズム"だと思っています」

石見「最初は冷めた人なのかなと思っていたんですが、実は愛情深い人ですよね。思春期症候群のヒロインたちと接するときも、超人的な力があるわけじゃないけど、相手にどこまでも寄り添っているんです。人と向き合う労力を惜しまない、温かい人だなと思います」

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――『青ブタ』シリーズが長く愛されてきた理由は、どんなところにあると思われますか?

瀬戸「やっぱりキャラクターがちゃんと生きているからだと思っています。思春期症候群という不思議な現象が描かれますが、悩み自体は誰にでも少なからず覚えがあるものなので、ファンタジーの遠い世界じゃなく、リアルに共感できる部分があるんです。だからこそ、それを乗り越えたキャラクターたちの姿が気になって、見届けたくなるんだと思います」

水瀬「どのキャラクターも今を真剣に生きていて、できないことがある中で、最終的には逃げずに悩みと向き合う姿が、すごくまぶしく感じます。そうやって人生を選択していく姿を見ていると、大人になった自分も、忘れちゃいけないなという気持ちにさせられますね。真剣に生きるキャラクターたちの姿に励まされたり、寄り添ってもらったりするうちに、たくさんの人にとって『青ブタ』シリーズがバイブルになっていったのかなと。もちろん私もそのうちの一人です」

石見「すてきなヒロインたちが出てくるというキャッチーさもありつつ、泥臭い感情やコンプレックスと向き合うことを描いているところが最大の魅力だと思います。私自身も、経験したことがある感情と、必死に向き合ってくれるキャラクターたちがすてきだなと感じていました」

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■悩める思春期の自分へ送る言葉と、ファンへ届ける青春の終わり

――思春期に悩みはつきものですが、思春期の自分にメッセージを送れるとしたら、どんな言葉をかけますか?

石見「学生時代は人見知りで、自分から話し掛けることができずに、一人で本を読んでいるタイプでした。でも、その時期があったおかげで、読書で想像力が磨かれて、いろんな気持ちを学べたと思っています。だから『未来にはいくらでも選択肢があるから大丈夫。つらい時期はちゃんと終わるので、今は耐え抜いて~!』と言ってあげたいですね」

水瀬「私は学生時代からとにかく効率重視で、自分の意思を優先した結果、すごくせっかちな人間になって『いつも急いでるよね』とよく言われました(笑)。友達に声を掛けられて、楽しいなと実感したら寄り道もするんですけど、なるべく目的を達成するために最短ルートを行きたいタイプだったんです。でも今やタイパ(タイムパフォーマンス)の時代が来たので、時代が私に追いついたなって(笑)。自分の性質とマッチした業界にたどり着けたと感じているので、『将来は向いている場所で輝けるよ』と伝えたいです」

瀬戸「かっこいい~! 私も学生時代は悩みがあったはずなんですが、大人になってからのほうが大変だから、忘れちゃった......(笑)。でも、大人になれば何について悩むかを取捨選択できるようになるから、少しラクになる部分もあるのかな。それに、全身全霊で壁に激突しては砕けてきた昔の経験によって、今のタフな性格が作り上げられたと思うので、『将来の私のために今は苦労してください!』と言っておきます(笑)」

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――ついにシリーズが完結を迎えますが、最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。

石見「私は『青ブタ』に参加してからの歴史が他の皆さんより浅いんですが、イベントにも参加させていただいて、ファンの方々からとてつもない愛がそそがれている作品だと実感しています。そんなみなさんに、ぜひ映画館で完結編を存分に楽しんでいただけたら、すごくうれしいです」

水瀬「無事に完結まで収録し終えて感慨深いんですが、みなさんに見てもらえたときに、本当の意味で作品が完成すると思っています。今同じような悩みを抱えている学生の方はもちろん、大人世代の方々にも、今の自分を構成する大事な出来事だったはずの思春期の悩みを思い出しながら、楽しんでいただけるはずです。自分にしかない感覚を信じていきたいと思えるエンディングになっているので、公開後に改めて作品の感想をみなさんとお話できる機会があればいいなと思います」

瀬戸「ついに完結編ということで、寂しいです。客席の方々の顔がしっかり見えるような近い距離感で行ったイベントもたくさんあるので、みなさんの顔が浮かびます。ここまで愛されてきた小説が映像化され、演者として関わることができて、無事アニメも完結を迎えられることを、とてもうれしく思っています。ここまで咲太と走ってきたので、この青春を最後まで一緒に駆け抜けましょう」

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瀬戸麻沙美 PROFILE
1993年4月2日生まれ、埼玉県出身。初めて受けたオーディションでアニメ「放浪息子」準主人公の高槻よしの役に抜擢。その翌年に放送された「ちはやふる」では、主人公の綾瀬千早を演じた。以降、「TARI TARI」宮本来夏役や「ウィッチクラフトワークス」火々里綾火役など主要キャラを多数演じる。

水瀬いのり PROFILE
1995年12月2日生まれ、東京都出身。2010年アニメ「世紀末オカルト学院」の岡本あかり役で声優デビュー。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」にアメ横女学園メンバー成田りなとして出演。

石見舞菜香 PROFILE
1998年4月30日生まれ、埼玉県出身。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2011年)を観て声優を志し、16年にデビュー。2019年、第13回声優アワードにて新人女優賞を受賞。主な出演作は「フルーツバスケット」本田透役、「【推しの子】」黒川あかね役など。

取材・文/中島文華 撮影/はぎひさこ

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