TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』原作・総監修 久保帯人氏とのやりとりから最終話の裏側まで!村田光監督が制作秘話を明かす
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2026.10.27
2022年より放送され、2026年10月下旬についに完結を迎えたTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』。最終クールとなる「禍進譚」では、アニメオリジナルのエピソードや描写も加わり、物語に新たな展開が生まれた。今回は、第3クール「相剋譚」から監督を務めた村田光氏にインタビュー。原作・総監修 久保帯人(くぼたいと)氏や田口総監督とのやりとりをはじめ、とのやりとりをはじめ、アニメオリジナルのエピソードを作り上げる際のこだわり、話題を呼んだ♯45「DEFEND YOU」の制作秘話、そしてシリーズ完結を迎えた今だからこそ聞ける裏話を語ってもらった。

――最初に、TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』への参加の経緯をお聞かせください。
「2020年放送のスタジオぴえろ制作、田口智久監督のTVアニメ『アクダマドライブ』に絵コンテと演出で参加していました。そこで田口監督から『このまま『BLEACH』もどうですか』と、お声がけいただいたのがきっかけです」
――「千年血戦篇」では、各クールの幕開けやラストを飾るエピソードも数多く担当されています。シリーズの節目となる回を手掛ける際、特に意識していたことや、プレッシャーはありましたか?
「プレッシャー9割みたいな感じですね。やっぱり各クールの第1話は、ファンの方はもちろんですが、それ以外の方も見るような回だと思うんです。特に最近では、第1話の出来が、第2話以降も見るかどうかを判断する基準になりがちなので、プレッシャーはありましたが、同時に多くの学びもありましたね。第1話は、次の話に向けての盛り上がりどころをどう作っていくかというのが、とても勉強になりました。最終話は、当然盛り下げるわけにはいかないですけど、最後の話数として、ある程度物語を落ち着かせつつ、見てくださる方が『次のクールも見たいな』と思える余韻や引きを作らないといけない。そこも勉強になりました」

――第3クールからは監督という立場になりました。各話の演出を担当していた頃と比べて、意識的に変わったことはありますか?
「意識的なところで言うと、各話の演出の時は、自分の担当話数のことだけに集中できたんです。ですが、監督となると全話数を見ないといけないので、頭の使い方が変わるというか。例えば『今回、このキャラクターがこういう芝居や展開をしたので、次の話ではもっと盛り上げるようにしないといけない』『こんなに敵を強く見せてしまったら、この後もっと強い敵が出てくるのに』とか、シリーズ全体を通した考え方をしないといけなくなるのが、苦労していたところです。原作はもちろん読み直しましたが、「相剋譚」「禍進譚」はアニメオリジナルの話数も多かったりするので、なおさら『このオリジナルの話数は原作でいうと、どことどこの間の話なんだ』とか、『このキャラは最終的に原作でどうなっていくんだっけ』というのは、細かく気にしていました」
――「千年血戦篇」では、原作では描かれていなかったエピソードや、アニメならではの描写も数多く追加されています。そうしたシーンは、どのように作り上げていったのでしょうか?
「基本的に久保先生の方から『こうしてほしい』というよりも、こちらが『こういうことをしたいんですけど』というのを先生にご相談して、『これはOKです』『ここはこうしてくださいね』とお返事いただけるような感じです。例えば、雨竜とユーハバッハのエピソードで、雨竜の完聖体は原作には出てこなかったものですけど、『雨竜の話も作りたいね』という意見がシナリオ会議で挙がった時に、先生から『やっていただいていいですよ。雨竜の完聖体はこんな感じで』とアイデアのラフ画をいただき、それを基にアニメスタッフ陣がイメージを膨らませて、というやりとりを何回かしていました。なので、本当に先生にもご協力いただいて作り上げていった感じです」

――アニメオリジナルパートを作り上げていく上で、意識したことはありましたか?
「基本的に、原作とそれにひも付いたキャラクターがあるので、キャラクター性を逸脱するような演技や芝居はしないようにしようというのは意識していました。おそらく田口総監督もそうだと思うんですけど、どんなにアニメのオリジナルエピソードをやったとしても、そこだけは崩さないように、というのは共通認識としてあったんじゃないかなと思います」
――村田監督ご自身が、積極的に提案したアニメオリジナルの要素はありましたか?
「僕から積極的にというのはそんなにないですね。基本的にシナリオは田口総監督と脚本の平松さんが主に請け負っているので、あまり干渉する余地がないです。ただ、僕も含めたスタッフがそう思っていたところでいうと、最終話で一護とルキアが第1話から今までを振り返るシーンがありました。原作だと大人になった一護がルキアに、娘の苺花(いちか)を探しに行けと言うところで終わっているんですよね。ですが、2004年放送開始のアニメからずっとシリーズを見てくださっているファンの方なら、もう一度、高校生の時の一護も見たいんじゃないかというのがあって、『最終回に断片的なフラッシュバックシーンを入れたらどうでしょう』というのは、スタッフみんなで話していたので提案しました」

――田口総監督が脚本・絵コンテ・演出を担当されたアニメオリジナル回、♯45「DEFEND YOU」は、YouTubeで公開されているノンクレジットエンディングムービーが1カ月で397万回視聴を記録しました。村田監督は、この回についてどのような印象を抱きましたか?
「視聴者的な目線でいうと『やっぱり見たいのはこれだよね』というものだったんですけど、現場目線的なところでいうと『これ、本当に作れるんだろうか。カロリー高いし大丈夫なんだろうか』というのが正直ありましたね。最初にシナリオができるんですけど、41話から44話までのシナリオに比べて、明らかに台本の厚みが違うというか(笑)。TVアニメシリーズの脚本は、1話につき大体20~21ページが標準といわれているんですけど、30数ページあって。『これを同じ時間内で本当にやるんだろうか』と思った覚えがあります」
――織姫役の松岡由貴さんの演技も、ものすごい迫力でした。
「ディレクションは田口総監督から出ていて、僕も言うか迷ったところは、それまでの織姫のキャラクターとしての声から少し外れるというか、太くなる感じだったんですね。なので、ちょっとキャラクター性から遠くなってしまうのではないかという懸念はあったんです。ですが、結果としてはそれが、より差し迫った演技になっていて素晴らしかったです。そもそも松岡さんが当日の気合いの入りようがすごくて、『この回は自分がメインとなる回だな』と分かって臨まれていたと思うんですけど、♯45の織姫の回は、一段と気合いを入れてきたな、というのは現場でも感じました」

――♯45には、久保帯人先生が自らキャラクターデザインを描き下ろし、命名した一護の新たな究極形態「血鎖の一護」も登場しました。
「この回は原作にない展開ですし、オリジナルの要素がだいぶ強いんですけど、それでも温かく見守っていただいたというか、それだけ原作と違うことをやっていても『やるんだったらもう徹底的にやってください』ということだったので、本当に先生のご理解とご協力あってのものだったかなと思います。鎖に関しては、天鎖斬月(てんさざんげつ)の鎖であったり、原作で斬月を修復した時にも鎖が付いていたりしたことから『鎖がキーポイントなのかな』というところで、音響効果で一護が歩く際に鎖の音を入れてほしい、というのは打ち合わせの時にも田口総監督から話があって、そこは一つのこだわりであったのかなと思います」
――長年、一護を演じてきた森田成一さんは、アフレコ最終日はどのようなご様子でしたか?
「アフレコの前にごあいさつをさせていただいたのですが、その時、森田さんは『終わるという実感があんまりないというか、逆に終わってからの、これからの一護との向き合い方をどうしよう』という楽しみの方もある、という話をされていました。きっと森田さんの中で『BLEACH』の一護というのは自分の一部だから、アニメは確かに終わるけれど、森田さんの中の一護が終わるわけではないから、そんなに悲観的なものはないのかなと思いました」

――原作コミック、そしてTVアニメシリーズの『BLEACH』ファンの皆さん、そしてこれから「千年血戦篇」をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
「原作ファンの方には、TVアニメシリーズを見ていただきたいのはもちろんですが、原作をよりしっかり見ていただくと『ここがより楽しめるんだな』という発見があると思います。どちらも楽しみにしている方は、放送を最初からもう一度見返していただくと、新たな発見があるんじゃないかなと思います。そしてこれから「千年血戦篇」を見る方は、純粋にTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』として楽しめると思うので、前シリーズから続いてはいますが、「千年血戦篇」からでも気軽に見ていただければと思います」
取材・文/中村実香
【プロフィール】
村田光(むらた・ひかる)
アニメーション監督・演出家。TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』では第1クールから絵コンテ・演出などを担当し、第3クール「相剋譚」より監督を務める。最終クール「禍進譚」でも監督を担当。主な参加作品に「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」「―黄金の風」「―ストーンオーシャン」や「アクダマドライブ」「おそ松さん 第3期」など。



