『Dr.STONE』石神千空役の声優・小林裕介「演じるなんて思ってもみなかった」
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2025.01.09
声優・小林裕介といえば『Dr.STONE』の主人公・石神千空役も人気だが、同作品の最終(ファイナル)シーズンとなる第4期が2025年1月9日より放映予定だ。
――改めて、小林さんにとって『Dr.STONE』はどんな作品ですか?
「『Dr.STONE』も僕にとって大事な作品だと思っています。『ジャンプ作品の主役』というのは、声優になったからにはどうしても夢見てしまうものだったので、そういう意味で『ついに!』という感覚が自分の中にすごくありました。とはいえ、オーディションは主人公の千空以外の役も受けていて、じつはそっちの方がワンチャンあるかなって思っていたんです。千空の声って、あんまりイメージが湧かなくて。僕自身、オーディションを受けるときにはある程度、「この役は誰々っぽいな」と声優さんのイメージがよぎるものなんですが、千空に関してはまったくそれがなくて。だから受かったときには誰よりもびっくりしました」
――確かに。今でこそ小林さんの声のイメージですが、何もないところから決めるとなると難しそう......
「制作側も明確なイメージがなかったみたいでしたが、『誰よりも科学を楽しんでいた!』と言うのが決め手になったと後に伺いました。アフレコが始まってからも、スタッフさんと一緒に『こうかな』『いや、こうじゃない?』という感じで、一緒に作り上げていっている感じでした」
――千空の役作りは、苦労しそうですよね。
「そうですね。僕自身、それまでニヒルな役を演じたことがないし、でも、最終的には熱血な部分もある。そのくせ、胸熱なシーンでもどこか冷静で、あんまり声を荒げない。僕としては、"引き算の芝居"が求められる役だなと思っていました。例えば慌てるようなシーンでも、慌てる部分は一緒にいる他のキャラクターたちが表現してくれるから、千空だけは冷静。そういうシーンでは、あまり『道を示そう!』『説得力を強くしよう!』と思って演技しても逆効果で、むしろ冷静に淡々としゃべることで、かえって説得力が際立ってくることがあるんです。そんなふうに千空の演技は、結構、ロジカルに組み立てていった気がしますね」
――アフレコ時の思い出はありますか?
「あぁ......第1期に千空が石化から目覚めて、しばらく一人で生活する話数があるんですが、原作を見ると千空以外は猿のモノローグくらいしかなかったんです。なので『あの話数、千空の孤独感を感じるためにも、猿は僕が兼役として演じて、一人だけでアフレコやるなんてどうですかね!?』って冗談まじりに提案したら、それが実現してしまって......。でも結局は構成上、他の声優さんたちもいらっしゃり、でも猿は僕が演じるという、ただのやりたがりになってしまってイジられましたね(笑)。自分で提案した意図と、違う感じで他の声優陣に受け止められてしまったので、恥ずかしいという意味では、あのアフレコは印象的でしたね(笑)」
――その話、めちゃくちゃ面白いですね(笑)。小林さんから見た、『Dr.STONE』という作品の魅力はどんなところでしょうか?
「大きく見たらファンタジー作品だと思うんですが、そのファンタジーを解明していく手段として現実的な科学をモチーフにしているところですね。子どもも大人も含めて、『Dr.STONE』をきっかけに科学が好きになった人ってすごく多いと思いますし、学びと冒険ファンタジーがこんなにいい具合に融合した作品ってあまりないじゃないですか。僕は理系出身なので今まで学校で習ってきたことがこんなふうに生かされるんだって分かって驚くことが多いですけど、別に科学に詳しくなくても見ていてワクワクさせられますよね。それに今まで当たり前だと思っていたものが、どうやって出来上がったのかを知るきっかけにもなる。日常生活の便利に、感動できるようになるポイントが随所にあるので、そういう意味でも稀有(けう)な作品だなぁと思います」
取材・文/郡司しう 撮影/小川伸晃