『傲慢と善良』主演・藤ヶ谷太輔「原作で伝えている同じ香り、空気感を映画でも感じてほしい」

『傲慢と善良』主演・藤ヶ谷太輔「原作で伝えている同じ香り、空気感を映画でも感じてほしい」

マッチングアプリで出会った男女それぞれの視点でリアルな恋愛観や価値観を描く辻村深月の小説を映画化した『傲慢と善良』。かねてよりテレビや雑誌で「人生でいちばん好きな小説」と語る主演の藤ヶ谷太輔に、本作の魅力や見どころを聞いた。

――主人公の架(かける)と、ご自身のことが重なるそうですね。

架は親友たちから「架のために言ってる」とか、「架はこうでなきゃ」という意見に流されて生きています。僕自身は、今はいろいろ言われても自分の意志できちんと考えるようにしていますが、デビューしてから、いろんな形で「藤ヶ谷さんのために言ってる」と言われ続けて、気が付くと、自分の意志ではなくて、周りの意見に合わせてきたところも多かったかなと。そういったところが架と重なると思いました。

――本作で注目してほしいポイントを教えてください。

『傲慢と善良』というタイトルから難しい印象を持たれそうですよね。でも、実際にはミステリーと恋愛の要素だけでなく、架たちを取り巻く人間関係、マッチングアプリやSNS などイマドキな要素もいろいろあります。それがリアルに描かれているので、自分のことのようにとても入りやすいと思います。

――原作ファンとして演じてみて、最もうれしかったことを教えてください。

婚約者の真実(まみ・奈緒)が向かう場所が東北から佐賀に変わり、キャラクターやラストシーンが異なるなど、原作との違いはあります。ただ、僕は原作者の辻村さんと一緒に試写を見たのですが「私の小説とここが違う」とか一切思わなかったそうです。むしろ「小説で伝えたかった、作品の香りの部分は一緒だから、違和感がなかった」とおっしゃってくださり、とても安心しました。もし、原作をご存じで映画を見られる方がいらっしゃったら、「ああ、これが小説でいうところの伝えたい香り、空気感なんだな」と思って楽しんでいただければうれしいですね。

撮影/菊竹規 取材・文/前田かおり
ヘアメイク/大島智恵美 スタイリスト/横田勝広(YKP)