置鮎龍太郎さんの声に胸熱!令和版アニメ「地獄先生ぬ〜べ〜」が今も刺さる理由【松井玲奈】
アニメ 見放題連載コラム
2025.12.23
平成の小学生たちが夢中になった作品、それが「地獄先生ぬ〜べ〜」。私も夢中になった子どもの一人で、毎週土曜日の夜はワクワク、そわそわしながらテレビの前に座っていました。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
怖いのに好きだった!忘れられないエピソード
不可解な怪奇現象が多発している童守町。子どもたちを守るため、童守小学校に一人の教師が赴任してきます。それが鵺野鳴介(ぬえのめいすけ)、通称ぬ〜べ〜。左手に宿った鬼の力を駆使して、学校に起きる怪奇現象を解決し、妖怪、幽霊を退治していくぬ〜べ〜は頼もしくかっこいい先生です。
当時の私が好きだったエピソードは、「愛のカラス伝説」と「ケサランパサラン」の回。霊の力で好きな人と結ばれることができる!? とか、それを手に入れると幸せになれるらしいぞ! など、子どもたちの好奇心をかき立てる妖怪もいれば、人体模型、ろくろっ首、傘お化けが動き回るなど、もしこんなことが学校であったらどうなるだろうかと、想像させてくれるちょっぴり怖い話たちが大好きでした。月曜日に学校へ行くと、「ぬ〜べ〜見た?」から始まり、「あんなことがあったらどうしよう! 私たちにはぬ〜べ〜がいないのにー!」と盛り上がるところまでがワンセット。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
原作マンガも読んでいたのですが、その中でも特に好きな話が第60話「木霊」。彼岸花の精霊が出てくるエピソードで、私はこの話を読んで彼岸花が一番好きな花になりました。彼岸花が好きと言うと「変わってるね」と言われるのですが、この花が持つマイナスなイメージを払拭(ふっしょく)するとてもかわいらしい物語なので、ぜひ全人類に読んでほしいとさえ思っています。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
デジタル化でバトルシーンもパワーアップ!
さて、自分で書いていてもびっくりするほど、ぬ〜べ〜に関する思い出と、記憶にあふれている私ですが、今回ご紹介するのは令和版「地獄先生ぬ〜べ〜」。発表された当初から期待に満ちていたのには訳があります。令和版になり、声優陣は変わるのか否かという部分が気になるところですが、今回、主人公・鵺野鳴介と、重要な謎の人物・玉藻(たまも)の二人が続投キャストということで、当時アニメを視聴していた私はほっと胸をなで下ろしました。
今回のシリーズで、画面から置鮎龍太郎さんのぬ〜べ〜ボイスが最初に聞こえた瞬間、懐かしさで胸がいっぱいに! 懐かしい! そう、これがぬ〜べ〜なんだよ! と感じつつも、今の置鮎さんが表現するぬ〜べ〜のお芝居にグッと引き込まれていきました。平成版ではセル画で描かれていたアニメーション部分ですが、今回のシリーズでは作画がデジタルになっていることで、よりシャープさが画面に生まれており、ぬ〜べ〜が生徒たちを守るためのバトルシーンがテンポよく、かつカッコよく描かれていました。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
特に第1話「九十九の足の蟲」でそれが顕著に。生徒の広(ひろし)が怒りを抑えられないのは妖怪のせいだと原因を突き止め、ぬ〜べ〜が除霊をするべく戦うことになるのですが、広の抱える怒りやトラウマをフラッシュバックのように描き抜き、バトルシーンはダイナミックに細かく演出をすることで、今作の方向性がしっかり示されているように感じました。さらに驚きなのはぬ〜べ〜のライバルでもある玉藻がシリーズ序盤から出ていること。各話完結式の本作ですが、彼の登場によって第1クールの大きなストーリーラインが提示されているところも良かったです。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
本格的に描かれる怪奇現象と怖さの余韻――
さて、本作の要は学校で起きる怪奇現象です。どこの学校にもトイレの花子さんや、動く人体模型など、不思議な噂(うわさ)というものがあったと思います。今回、この怪奇現象部分がかなり本格的に描かれています。アニメーションで見るホラーはどんなものかと思っていたのですが、視聴中に目を覆いたくなるほど怖い回もありました(私は本格的なホラーが苦手です)。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
第6話「てけてけの怪」はその中でも特に怖く、ネットで「てけてけの伝説」を知ってしまったまことは、「この話を聞いた者の前に3日以内に現れる」という噂を信じて不安に苛まれてしまいます。そしてやってきた3日目。ついにてけてけが姿を現すのですが、この演出が本当に怖い。鳴り響く踏切の信号の音、暗闇の中を動く何かの存在。そして、てけてけの誕生の秘密。思わず視聴中に部屋の中を見回してしまいたくなるほど怖かった。
視聴するなら、ぜひ静かな環境でイヤフォンやヘッドフォンを装着してみてください。音が生み出す恐怖が際立つ、まさに"聴覚恐怖体験"でした。怖さの余韻が残る演出も秀逸で、物語が「めでたしめでたし」で終わらないところがいかにも怪談らしく、気がついたら自分も怪談事件に巻き込まれているかもしれないという錯覚に陥ります。

(C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
どの回もただ怖いだけでは終わらず、必ず教訓があるのもステキな脚本だと感じています。大人が見ても子どもが見ても学ぶ部分があり、妖怪は怖い存在ではなく人間の持つ煩悩が大きな影響をもたらしているのではないかと、改めて作品に触れて感じました。昔見ていた方にも、まだこの作品に触れたことがない方にも楽しんでもらえること間違いなし! 2026年1月からは第2クールが開始。今後もぬ〜べ〜の活躍から目が離せません!














