第四回 プロ野球愛宣言!~ジャイアンツが負けたら不機嫌に。今の自分は昭和の親父を再現していますね~【芸人・ビビる大木】 読売ジャイアンツ編
スポーツ インタビュー
2025.05.20
芸能界きってのジャイアンツファンとして知られるビビる大木さん。ファンになったきっかけや印象深い試合について語ってくれた。
――大木さんが野球ファン/ジャイアンツファンになったきっかけは?
「父親の影響もありますが、熱心に応援するようになったのは原辰徳さんがきっかけです。小学1年生の時に原さんが入団1年目で、その時からずっとファンでした。当時、親におねだりをして原さんのシールが付いたプリンを買ってもらったことを覚えています。多分、それが初めてのジャイアンツグッズだったと思います」
――今までで印象に残っている試合は?
「ジャイアンツの優勝(日本一)でいうとやっぱり`89年ですね。日本シリーズで近鉄に3連敗した後、4連勝をした藤田ジャイアンツの、あの時の崖っぷちからの強さは凄かった。野球好きの仲間と集まった時に、自然と`89年の話をするくらいです。以前に、中畑清さんと仕事をご一緒させていただいた時にも、その話をしてしまいました。
優勝以外だと東京ドームでの原さんの引退試合で、最終セレモニーがとても印象に残っています。最後のお別れの言葉の「(今日で野球選手としては引退し)私の夢は終わります。しかし、私の夢には続きがあります」という名スピーチは、今でも思い出すと感動します。ちょうど引退された'95年は、僕が芸人デビューした年でもあったので、原さんの引退とともに自分がこの世界に入った、そんなことも含めて印象に残っているのかもしれません」
――昨年、阿部監督が一年目でリーグ優勝しましたが要因は?
「僕は素人なので、専門的な見方や分析は普段しないんですけど、やっぱり捕手出身の監督ということで、守りの野球を目指したことがよかったんじゃないかと。投手陣が踏ん張って抑えて、接戦でも守り勝ったことで優勝できたのかなぁと、そんな印象があります」
――今年、ジャイアンツがセ・リーグ連覇に必要なことは?
「補強よりも『引き算』をした方がいいんじゃないかと思いますね。キャッチャーだけでも多すぎますし。ソフトバンクから甲斐拓也選手をFAで取るということは、フロントを含め、阿部監督は捕手陣にちょっと物足りなさを感じていたのかという驚きもありました。でもね、"ヤングジャイアンツ"たちが試合に出られない状況を作るのは寂しいし、いくら補強をしても勝てないこともあるわけで、現状、僕は足りないものはないんじゃないかと。これ以上、補強をしなくても優勝できるチームになっていると思います」
――ジャイアンツで今年ブレークしそうな選⼿は?
「秋広優人選手には頑張ってもらいたいです。(噂ですけど)来年あたりに岡本和真選手がメジャーに行くかもしれないので、ジャイアンツを担うクリーンアップに育ってほしいです。昨年は1軍定着には至りませんでしたけど、あの長打力を見ると、今年こそは!と夢が膨らみます。後は、今年入団した新人の荒巻悠選手は即戦力として期待しています」
――注目している選⼿は?
「ヘルナンデス選手です。昨年5月に加入して、打線の中心として活躍していた時に怪我をしてしまいましたが、離脱した翌日の試合から巨人のベンチに(ヘルナンデス選手の)42番のユニフォームが掛かっていたんです。その強い絆というか、『お前も一緒に戦っているぞ』というメッセージを見て、僕が知る限りこれまでのジャイアンツでは見たことがない光景で驚きました。加入して間もないのにチームに溶け込んで、彼がチームのムードを盛り上げてくれていたことが伝わってきて、影の優勝の立役者なんじゃないかと。今年は期待しています」
――普段はどのように試合を見ていますか?
「昨年は球場に行けませんでしたがその代わり移動中とか、出演の待ち時間とかにスマホで見ることが多かったです。仕事から帰ってきて家にいる時は、ジャイアンツの試合がある日は必ずTVをつけて見るという、昭和の親父がやっていたことを再現していますね。母親がよく『お父さんはジャイアンツが負けたら機嫌悪いから嫌なのよ』って言ってましたけど、僕も今、家族から同じように思われていると思います。最近、昭和レトロブームって言葉をよく聞きますが、『ジャイアンツが負けて不機嫌になるお父さん』ていうのも、その中に入れて欲しいですね(笑)」
――ジャイアンツが⾃分の⽣き⽅や⼈⽣に影響を与えたことは?
「西本聖(たかし)さんの引退は、自分の人生を考えるきっかけになりました。'94年、伝説の10.8でジャイアンツが優勝した年に引退されましたが、最後まで中日と優勝を争っていたため、1軍で1度も登板できずにシーズンが終わってしまいました。ここまで貢献してくれた大投手なのに、最後、寂しい引退だなぁなんて思っていましたが、オフになってジャイアンツをはじめ、他球団からも有志が集まって、多摩川の河川敷球場で引退試合が行われたんです。しかもその試合に、当時監督だった長嶋茂雄さんも飛び入り参加して代打『長嶋』って、最後に西本さんと長嶋さんの対決が行われたんです。西本さんは最後まで諦めず、腐らず頑張ってやっていたからこそ仲間が集まって、こんなに素敵な引退試合をやってもらえたんだと。人として大切なことを、西本さんから教わった気がしました。原さんの引退もそうでしたし、近年だと上原浩治さんが『自分が抜けることで若手に登板機会を与えて欲しい』と球団に伝え、シーズン中に引退を発表した時も、今でも思い出します。僕はベテランの引き際にすごく惹かれるんだと思います」
西本聖さんの引退は、自分の人生を考えるきっかけになりました
Profile
ビビる大木
'74年9月29日生まれ。埼玉県出身。「ラヴィット!(TBS)」、「家、ついて行ってイイですか?(テレビ東京)」、「埼玉の逆襲(J:COM)」などに出演。芸能界随一の幕末好きとしても知られ、ジョン万次郎資料館名誉館長、かすかべ親善大使、埼玉応援団コバトン倶楽部、萩ふるさと大使、高知県観光特使など、さまざまな観光・親善大使を務める。月刊ジャイアンツにて「大木な巨人」連載中。
取材・文/ゴジキ 撮影/佐野美樹