ファンビンビン(范冰冰)が圧巻の変貌!武則天の14歳から82歳までを一人で演じ切った女優魂が光る

ファンビンビン(范冰冰)が圧巻の変貌!武則天の14歳から82歳までを一人で演じ切った女優魂が光る

米「フォーブス」誌の中国有名人ランキングで3年連続第1位に選ばれるなど、中国を代表する女優として知られるファン・ビンビン(范冰冰)。ハリウッド映画『X-MEN:フューチャー&パスト』への出演や、中国映画『わたしは潘金蓮じゃない』でのアジア・フィルム・アワード最優秀主演女優賞受賞など、国内外で活躍してきた彼女が、中国史上唯一の女帝・武則天を演じたのが、時代劇「武則天 -The Empress-」だ。

総製作費56億円ともいわれる本作は、最先端の特殊メイク、3000組を超えるきらびやかな衣装、豪華絢爛(けんらん)な宮廷セットなど、スケールの大きさも見どころの一つ。その中でも圧倒的な存在感を放つのが、14歳の少女から82歳の女帝までを演じ切ったファン・ビンビンだ。少女がいかにして知恵と度胸を身に付け、やがて強大な権力を手にするまでに至ったのか。その変化を一人の俳優が演じ抜く姿に注目したい。

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好奇心旺盛な14歳の少女から中国史唯一の女帝へ

日本では「則天武后」の名でも知られる武則天は、中国史上唯一、自ら帝位に就いた女性。唐の国号を周と改め、則天文字の制定や科挙の整備など、さまざまな改革を行った統治者として知られている。一方で、権力を手にする過程で宮中のライバルたちを排除したことから、後世には冷酷な人物として語られることも多い。624年に生まれ、14歳で唐の第2代皇帝・太宗 李世民の側室として入宮。その後、太宗の息子である第3代皇帝・高宗 李治の皇后となり、高宗の死後も実権を握り続け、690年、ついに自ら帝位に就いた。「武則天 -The Empress-」は、そんな波乱に満ちた彼女の生涯を描いている。

物語の序盤で描かれるのは、後世の「女帝」のイメージとはかけ離れた、天真爛漫(らんまん)で好奇心旺盛な14歳の少女・武如意(ぶにょい/演:ファン・ビンビン)。李世民(演:チャン・フォンイー)の元へ身分の低い妃嬪の一人として入宮した彼女は、純真さと勇気を武器に、厳しい後宮の世界を生き抜いていく。やがて李世民から「媚娘(びじょう)」という名を授かり、寵愛(ちょうあい)を受けるようになる如意。しかし、宮廷で待ち受けていたのは、権力と陰謀が渦巻く過酷な世界だった。

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少女・如意にのぞく、後の女帝を思わせる知恵と度胸

14歳で大勢の少女たちとともに入宮した如意は、感情がすぐに顔に出る素直な少女。周囲をきょろきょろと見渡す視線からは、少女らしい好奇心が伝わってくる。誰も乗っていない輿にひざまずいて礼を尽くす新入り側室たちの中で、ただ一人立ったまま「誰も乗っていません」と堂々と口にする姿も、物怖じしない彼女の性格を印象づける。

そんな少女が、後の女帝を思わせる片りんを見せるのが、日本からやって来た囲碁の名手・物部天守との対局だ。とっさの判断を見せる賢さはもちろん、「負けたら切腹」と公言した物部天守の面目を守るため、あえて引き分けに持ち込もうとする情の深さも印象的。単に頭が切れるだけではなく、人の心まで見抜く如意の魅力が凝縮されたエピソードとなっている。そして、物部天守役で「仮面ライダードライブ」の松島庄汰が出演している点にも注目だ。

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少女から成熟した女性へ、ファン・ビンビンが見せた変化

そんな如意は、太宗の死や流産、後の高宗・李治(演:アーリフ・リー)とのロマンスなど、さまざまな経験を重ねながら、少しずつ大人の女性へと変わっていく。序盤の感情豊かな少女から、次第に感情を表に出さず、後宮を生き抜くしたたかさを身に付けた女性へ。そして皇帝として臣下たちの前に立った時には、圧倒的なカリスマと威厳を漂わせながら、慈悲深いまなざしも見せる。

14歳から82歳まで、数十年にわたる人生の変化を、ファン・ビンビンは一人で演じ切っている。生き生きとした少女、知性を磨く若い女性、権謀術数を身に付けていく人物、そして強大な権力を手にした女帝――。エピソードが進むほどに、如意が武則天へと変貌していく過程が、表情や声、立ち居振る舞いの変化から伝わってくる。

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毎日7時間の特殊メイク、39度の高熱にも耐えて完走

その変化を支えたのが、ファン・ビンビン自身の並々ならぬ役への執念だ。老年期を演じる際には、毎日7時間をかけて、本人の顔から型を取った特殊メイク用のシリコン製人工皮膚を顔全体に貼って撮影。度重なるアレルギー反応による発疹にも耐えながら撮影に臨んだという。さらに、主演だけでなく総合プロデューサーとしても作品に携わり、撮影期間中には極度のプレッシャーから三度も体調を崩すなど、39度の高熱を出しながらも演じ続けたという。

そこまでして彼女が表現しようとしたのは、単なる"中国史上唯一の女帝"の姿ではない。14歳の少女が、さまざまな出会いや別れ、愛や陰謀を経験しながら、少しずつ強さを身に付けていく一人の女性の人生そのものだ。ファン・ビンビンの圧倒的な演技によって描き出される、少女から女帝へと変貌していく武則天の壮大なサクセスストーリー、きらびやかな衣装や豪華絢爛な宮廷セットなど、圧倒的なスケールで描かれる「武則天 -The Empress-」で、数奇な運命をたどった一人の女性の生涯を堪能してほしい。

文/酒寄美智子