日本進出が話題のチョン・イル、代表作「ヘチ 王座への道」など、時代劇プリンスと呼ばれた20年のキャリア
韓国・アジアドラマ 見放題
2026.09.10
今年、デビュー20周年を迎える俳優チョン・イル。1987年生まれの彼は、9月9日に39歳、すなわち30代最後の年を迎える。そんな節目の年に挑んだのが、Prime Originalドラマ「犯罪者」における日本ドラマ初進出だ。これまでの爽やかなイメージを覆すような謎めいた役どころを演じ、日本のファンにも強烈な印象を与えている。
端正なビジュアルに甘んじることなく、常に自らを更新し続けているチョン・イル。代名詞である"時代劇プリンス"としての存在感、今回の「犯罪者」で見せたダークな顔、そして過去のミステリアスな役どころ...。幅広い作品から滲むギャップを紐解くことで、彼の演技派としての真価が見えてくる。
■第21代王・英祖の若き日を演じた「ヘチ 王座への道」で放たれる、強烈なカリスマ性!

「ヘチ 王座への道」 (C)SBS
2009年の「美賊イルジメ伝」で時代劇に初挑戦した彼は、2012年に大ヒットした「太陽を抱く月」で王の異母兄弟を好演。さらに2021年には、裏稼業でひとり息子を育てるアウトローに扮した「ポッサム~愛と運命を盗んだ男~」での演技が評判を呼ぶなど、時代劇の前線で活躍し続けている。その華々しい系譜の中でも、除隊後復帰作となった正統派時代劇「ヘチ 王座への道」(2019年)は、彼の持つ"強烈なカリスマ性"が濃密に表現された傑作といえる。

「ヘチ 王座への道」 (C)SBS
本作で彼が演じたのは、のちに第21代王・英祖(ヨンジョ)となる不遇の王子イ・グム。母の身分が低いことから王族の中でも肩身の狭い思いをしながら生きてきたが、正義を貫く仲間たちと出会い、公平な世を築くために立ち上がる。
チョン・イルは、この這い上がっていく王子の葛藤や、巨大な権力を前にしても揺るがない強さを、凄まじい熱量で演じ切った。優雅なプリンス像とは大きく異なる、民を率いるリーダーとしての風格を宿した鋭い眼差しは、除隊を経て一回りも二回りも大きくなった役者としての覚悟を感じさせるものだった。

「ヘチ 王座への道」 (C)SBS

「ヘチ 王座への道」 (C)SBS
さらに、イ・グムを単なる"苦難を乗り越える王子"として演じていない点も印象的だ。権力に屈さず、簡単には引かない強さを見せる一方、民と向き合う場面では相手の言葉を受け止め、理解しようとする柔らかさを見せる。その芝居が特に生きるのが、イ・グムが自らの信念を言葉にする場面だ。
両班たちを前にしても萎縮せず、民がいるからこそ自分たちの暮らしが成り立っているのだとまっすぐに語る。強い言葉を発するだけではなく、相手を説得しようとする視線や、自らの信念を疑わない表情から、王としての器が少しずつ形になっていく過程が伝わる。そうした繊細な内面まで丁寧に積み重ねているからこそ、感情が決壊するシーンでの涙にも重みが生まれているのだ。

「ヘチ 王座への道」 (C)SBS
■ヒロインとの美しいキスシーンも当時話題に!"死の仲介人"に扮した「私の期限は49日」
そんな「ヘチ 王座への道」で見せた力強さとは対照的に、最新作「犯罪者」での役柄にも通じる、ミステリアスなキャラクターの魅力を引き出した作品がある。それこそ大ヒットドラマ「華麗なる遺産」の脚本家ソ・ヒョンギョンが手がけた、名作ファンタジーラブロマンス「私の期限は49日」(2011年)だ。

「私の期限は49日(日本語字幕版)」 (C) SBS
本作では、生と死の境界に現れる謎めいた仲介者"スケジューラー"を演じたチョン・イル。不慮の事故で脳死状態に陥ったヒロイン・ジヒョンに、「49日以内に、血縁者以外で心から自分を愛する3人の涙を集めれば生き返る」という条件を提示する、作品のキーマンともいえる重要な役どころだ。

「私の期限は49日(日本語字幕版)」 (C) SBS
スケジューラーは一見クールで他人の生死に無関心。だが、いわゆる"冷徹な死神"とは違い、スマートフォンやヘッドホンなど現代的なアイテムを身につけ、予定が狂うことを嫌い、人間に対しては少々ぶっきらぼう。それでいて、どこか軽やかでユーモラスだ。そんな飄々としたキャラクターが、ヒロインの過酷な旅路を見守り、自身の過去の記憶も紐解かれるにつれて、少しずつ"人間らしさ"が顔を出し始める。
そして物語の後半には、スケジューラーの過去にまつわる切ないロマンスも浮かび上がる。当時話題を呼んだイ・ヨウォンとの美しいキスシーンは、ただ甘いだけではなく、失われた時間や複雑な感情をも感じさせる、刹那的な余韻を残すシーンとして印象に残る。

「私の期限は49日(日本語字幕版)」 (C) SBS
デビューから20年――若き日の瑞々しい輝きはそのままに、年齢を重ねるごとに凄みと深みを増していくチョン・イル。9月13日(日)にはキャリア初となるディナーショー「2026 JUNG ILWOO 20th Anniversary Show in JAPAN ~Still with You~」の開催も話題となっている。大きな節目を迎えた今、これまで培ってきた経験を新たな役柄にどう活かしていくのか。その進化から、これからも目が離せない。
文/川倉由起子




