ソン・イェジンの嫉妬、チ・チャンウクの誘惑、NANAの欲望が交錯するNetflixシリーズ「スキャンダル」
韓国・アジアドラマ 独占配信
2026.09.19
9月18日よりNetflixで世界独占配信中の「スキャンダル」。ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの古典文学『危険な関係』に着想を得た2003年の韓国映画「スキャンダル」を受け継ぎ、朝鮮王朝時代を舞台に、3人の男女が繰り広げる誘惑と策略を描く官能ロマンス史劇だ。ソン・イェジン、チ・チャンウク、NANAが演じるのは、それぞれ異なる事情や欲望を抱える男女。1つの"賭け"から始まった恋が、やがて彼ら自身の心をも揺さぶっていく。

3人の思惑が交錯する、運命を変える"誘惑の賭け"
チョ夫人を演じるのは、「愛の不時着」などで知られるソン・イェジン。優れた才能と知性を持ちながら、「女性である」という理由だけで能力を発揮することを許されないチョ夫人は、閉塞感を抱えて生きている。そんな彼女が、自分に好意を寄せるチョ・ウォンに持ちかけるのが、"誘惑の賭け"だ。
朝鮮一のプレイボーイとも呼ばれるウォンに、ある女性を口説き落とせるかと挑む。その相手が、NANA演じるアン・ヒヨンだ。夫を亡くしたヒヨンは、亡き夫への貞節を守ることを決意し、恋愛から距離を置いて生きている。そんなヒヨンにウォンが近づいたことで、単なる賭けだったはずの関係は、少しずつ予想外の方向へと動き始める。

ソン・イェジンが魅せる、知性と欲望を秘めたチョ夫人
本作で印象的なのが、ソン・イェジン演じるチョ夫人の複雑な人物像だ。チョ夫人は、単に男心をもてあそぶ「悪女」ではない。女性という理由で才能を抑圧されてきた彼女にとって、"賭け"は自らの知性や策略を試す場でもあるからだ。相手を誘惑しているように見えて、その胸の内は簡単には読み取れない。自分の嫉妬に気づいているのか、それとも嫉妬そのものを認めようとしていないのか――。
そんな揺れ動く心を、ソン・イェジンは表情や視線、間の取り方を通して繊細に表現する。これまでさまざまな作品で恋する女性の機微を演じてきたソン・イェジンだからこそ、言葉だけでは伝わらない感情の変化にも注目したいところ。約24年ぶりとなる時代劇への出演で、これまでとは一味違う表情を見せてくれそうだ。

チ・チャンウクが演じる、愛を信じないプレイボーイ
チョ・ウォンを演じるのは、アクションからロマンスまで幅広い作品で存在感を発揮してきたチ・チャンウク。今回演じるウォンは、成功や名誉よりも快楽や楽しさを追い求めるプレイボーイだ。女性を口説くことには長けているものの、本当の愛は信じていない。そんなウォンが、チョ夫人から持ちかけられた賭けに自信たっぷりに挑み、ヒヨンの心を動かそうと近づいていく。余裕を漂わせながら女性を翻弄(ほんろう)する姿には、危うい魅力が漂う。
しかし、恋愛を自分の思い通りに楽しんできたウォン自身も、ヒヨンとの関係を通して予想もしなかった感情に揺さぶられていくことに。恋愛を知り尽くしたつもりの男が、初めて自分の気持ちを思い通りにできなくなったとき、どのような変化を見せるのか。チ・チャンウクが表現する、ウォンの内面の揺らぎにも注目したい。

NANA演じるヒヨンが向き合う、自分も知らなかった感情
もう一人のキーパーソンが、NANA演じるヒヨンだ。夫を亡くし、貞節を守って生きることを決意したヒヨンは、ウォンの誘惑を警戒する。しかし、彼の言葉や態度に触れるうち、その警戒心は少しずつ変化していく。やがて芽生えるのは、自分でも認めたくない感情。ウォンへの興味が深まるにつれて、これまで抑えてきた欲望にも揺れ始める。
貞淑な未亡人として生きることを選んだヒヨンが、社会から求められる役割と、自分自身の心との間で葛藤していく姿は、本作の大きな軸となる。"賭け"の対象だったはずの女性が、いつしか自らの意思で恋と欲望に向き合うことになる。その繊細な心理の変化を、NANAがどのように表現するのかも見逃せない。

美しい映像の中に浮かび上がる、3人の欲望と心の揺れ
人間の欲望や心の機微を描いてきたチョン・ジウ監督が手掛ける本作は、単純な恋愛模様にとどまらない。チョ夫人は「女性だから」という理由で抑圧された自分、ウォンは「恋愛上手」という仮面の下にある感情、ヒヨンは「貞淑な未亡人」という役割の中で押し込めてきた欲望を抱えている。
そんな3人が、予測のつかない恋愛に巻き込まれることで、それまで目を背けていた自分自身と向き合うことになる。「誰が誰を誘惑するのか」という恋愛ゲームの行方だけでなく、それぞれがどのような感情を隠し、何を求めているのかを追っていくことも、本作ならではの面白さだ。

花々や色鮮やかな韓服、韓屋の空間、夜の照明、そして男女が交わす視線――。絵画のように美しい映像も、本作を彩る魅力の一つ。官能的な描写が目を引く一方で、そこには「性と欲望」「権力と自由」といったテーマも織り込まれている。
フランスの古典文学『危険な関係』に着想を得て、2003年に韓国映画として描かれた物語が、Netflixシリーズとして再び朝鮮王朝時代によみがえる「スキャンダル」。愛と欲望、嫉妬と策略に翻弄されながら、それぞれの運命を変えていく3人の男女。誘惑する側とされる側が入れ替わっていく危険な恋の駆け引きから目が離せない。
文/渡辺敏樹




