なぜ「K-ゾンビ」は世界を熱狂させるのか?コン・ユ主演『新感染』、チュ・ジフン主演「キングダム」から『群体(Colony)』まで進化する韓国ゾンビの魅力を徹底解剖

なぜ「K-ゾンビ」は世界を熱狂させるのか?コン・ユ主演『新感染』、チュ・ジフン主演「キングダム」から『群体(Colony)』まで進化する韓国ゾンビの魅力を徹底解剖

韓国で作られたゾンビ作品が「K-ゾンビ」と呼ばれ、世界の注目を集めるようになったきっかけは、何と言ってもヨン・サンホ監督の映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)だ。それまで韓国のゾンビ作品がなかったわけではないが、『新感染』はカンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門で上映されて話題を集め、世界的ヒット作となった。韓国では観客動員数1156万人を記録し、これ以降「K-ゾンビ」と呼ばれるたくさんのゾンビ作品が誕生した。映画とドラマを合わせると30を超えるK-ゾンビ作品があるという。

■『新感染』が切り開いた歴史。「ゾンビより怖い」人間のエゴ

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『新感染』の韓国での原題は『釜山行き』だ。ソウル発釜山行きの高速鉄道KTXの車内でゾンビ感染が広まり、逃げ場のない「密室」で乗客たちはパニックとなる。

K-ゾンビの特徴として挙げられるのは、社会問題が背景にあることだ。『新感染』のゾンビ感染の発端は、バイオ企業からの未知のウイルス流出事故で、この遠因を作ったのは、主人公ソ・ソグ(コン・ユ)の会社だった。ソグの会社が破産寸前だったバイオ企業を強引に株価操作などで延命させ、そのバイオ企業の工場からウイルスが漏れてしまったのだ。利益ばかりを追い求める、行き過ぎた資本主義が背景にあった。

車内で感染が拡大するなか、幼い娘を守ろうとするソグをはじめ、家族愛や助け合い、裏切りなど、極限状態での人間ドラマが描かれたことも、世界の観客の共感を呼んだ。特に他人を犠牲にしても生き残ろうとする人間の醜さは「ゾンビよりも人間のほうが怖い」と言わしめた。

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『新感染』をきっかけに人気を獲得したのは、マ・ドンソクだ。乗客たちが次々にゾンビにかみつかれてゾンビ化するなかで、マ・ドンソク演じる怪力のサンファはゾンビにひるむことなく、果敢に戦う。圧倒的なパワーで妊娠中の妻を守り抜く姿に、世界中の観客が魅了された。

■圧倒的なスピード感と身体表現!K-ゾンビを支える技術力

もう一つ、K-ゾンビの特徴として重要な点といえば、動きが速いことだ。ものすごい速さで迫ってくるため、全力疾走しても捕まってしまう。このスピード感も世界中の人々を引き付けている。不特定多数のように登場するゾンビだが、関節をあり得ないような方向に曲げたり、ピクピクとけいれんしたりする特異な動きには、かなりの訓練が必要となる。あれだけの人数が一人一人高い演技力でゾンビ役に挑んでいること。そして、CGや特殊メイクの技術力の高さ。それらが合わさってこそ、K-ゾンビは世界を席巻していると言えるのだ。

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ヨン・サンホ監督によるゾンビ映画としては『新感染』の続編にあたる『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020)、そして最新作『群体(Colony)』(2026)もヒットしている。面白いのは、ゾンビが進化していることだ。

『群体(Colony)』ではソウルの高層ビルで集団感染が発生し、感染拡大を止めるためビルが閉鎖される。「密室」での感染パニックという点では『新感染』と同じだが、『群体(Colony)』のゾンビは集団知能を持ち、次第にアップデートされていく。まさにAIを象徴しているかのようだ。AIに頼って画一化されていく人間の危うさを、ゾンビを通して表現している。

■歴史劇×ゾンビの衝撃!貧困や権力の闇をえぐる「キングダム」

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さまざまなK-ゾンビが誕生したなかで、Netflixシリーズ「キングダム」は朝鮮時代を舞台とした歴史ゾンビドラマとして異彩を放つ。2019年にシーズン1、2020年にシーズン2、さらに2022年にはスピンオフとして「キングダム:アシンの物語」が配信された。

脚本をドラマ「シグナル」で知られる人気脚本家キム・ウニが手がけ、主人公の世子(王位継承者)イ・チャン役をチュ・ジフンが演じた。

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物語は、王が謎の病に倒れるところから始まる。異変に気づいたイ・チャンが調査を進めるなか、人間をゾンビ化させる疫病が広がっていることが判明する。宮廷では権力者一族が勢力を拡大するなか、イ・チャンは民衆を救おうと奮闘する。ペ・ドゥナ演じる医女ソビは疫病の原因を探りながら、イ・チャンとともに感染拡大を食い止めようとする。

「キングダム」に登場するゾンビもまた、猛スピードで走る。日中は活動を止め、暗くなって気温が下がってくると覚醒し、人間を襲う。ゾンビ化する原因には、権力者の陰謀だけでなく、貧困や飢えという当時の社会問題も投影されている。

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■いじめや競争社会のリアルを投影する「今、私たちの学校は...」

一方、Netflixシリーズ「今、私たちの学校は...」(2022)の舞台は高校だ。校内でゾンビウイルスが広まり、生徒や教師が次々と感染する。閉鎖状態となった学校から、生存者たちは必死で脱出しようとする。

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「今、私たちの学校は...」でゾンビが発生する原因には、いじめがある。ウイルスを作った理科教師の息子が、いじめに苦しんでいたのだ。理科教師が、弱い人間を強くする方法を研究する過程で生まれたウイルスが、校内で広まってしまう。

校内暴力や格差、受験戦争など現代が抱える社会問題を背景に、学校という身近な空間でのサバイバルの緊張感と、友情や恋愛といった青春ドラマの要素も絡んだ新たなK-ゾンビ作品として世界的に人気を集めた。

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韓国では、まったくのフィクションよりも、実際に起こった出来事を脚色した作品が人気を呼ぶ傾向がある。社会問題をゾンビを通して表現するK-ゾンビが韓国でヒットする理由は、まさにそこにある。そして、そのリアルな背景を持つ物語は、これまでになかったゾンビ作品として、世界的にも新鮮な衝撃を与えているのだ。

文/成川彩

チャンネル:Netflix

韓国・アジアドラマ

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