マブリーの魅力全開!マ・ドンソク×ソ・イングクの痛快ブロマンス「元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜」

マブリーの魅力全開!マ・ドンソク×ソ・イングクの痛快ブロマンス「元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜」

マ・ドンソクといえば、世界を席巻した『エターナルズ』や『犯罪都市』シリーズでの、マッチョを超えた圧倒的なフィジカルと拳で悪をなぎ倒すイメージのある最強俳優だ。そんな彼がドラマ「元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜」では、詐欺に引っかかる気弱な公務員を演じている。それだけで笑えるが、このギャップが尋常ではないほどクセになるのだ。

■最強を封印したマブリー。あえて「弱く」見せることで生まれる圧倒的な存在感

最強俳優マ・ドンソクだが、そのニックネームは「マブリー」。これは、"ラブリーなマ・ドンソク"という意味だ。実際のマ・ドンソクは、柔らかい笑顔、穏やかな話し方、ユーモアのある性格で知られており、「役とのギャップが可愛い」と、この呼び名が生まれた。そんな「マブリー」ぶりが存分に見られる作品が、ドラマ「元カレは天才詐欺師〜38師機動隊〜」だ。

マ・ドンソクが演じるのは、ソウル市役所で悪質な高額納税滞納者の取り立てに奔走する公務員のペク・ソンイル課長。彼の目の前には、法の抜け穴を熟知した腐敗した上司と、コネと金でうまく逃げ回る資産家たちという巨大な壁が立ちはだかっている。正攻法では何も変えられない疲弊と不条理の中で、ソンイルはどこか笑えるほど不器用に、しかし真摯(しんし)に正義を求め続ける。

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マ・ドンソクはこの役を「圧倒的な肉体の強さ」ではなく「誠実さのオーラ」で演じた。眉間にしわを寄せ、小声でぼやきながら、それでも腐らずにいるソンイル課長。税金を滞納してしまった貧しい家庭から家財を差し押さえる一方で、悪質な高額滞納者には何もできない理不尽さを感じるソンイルの怒りは、私たち一般市民の怒りでもある。愛すべきおじさんキャラでありながら、いざとなれば全身からにじみ出す本物のすごみ。あの巨体が声を荒らげる瞬間のインパクトは、コメディーと緊張感が同時に爆発し、このドラマならではの快感となる。

■天才詐欺師と真面目な公務員。正反対の男たちが見せる最高のブロマンス

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物語のもう一方の主役は、詐欺師のヤン・ジョンド(ソ・イングク)。ソンイルが娘の送迎のために買おうとして引っかかった中古車詐欺の犯人だ。詐欺師を捕まえ怒り心頭のソンイルに、ジョンドは「悪質な高額滞納者を詐欺でだまし、その金で税金を払わせてやる。だから見逃してくれ」と持ちかける。

この提案を渋々のんだソンイルはジョンドとバディとなり、詐欺師、ハッカー、美人局、当たり屋など各分野のプロフェッショナルを集め、税金徴収詐欺チーム「38師機動隊」を結成する。38師機動隊とは、納税の義務を規定した韓国憲法38条から名付けられたソウル特別市の税金徴収チーム「38機動隊」に、「師機」と「詐欺」(どちらも韓国語の発音が"サギ")をかけあわせものだ。

マブリーとソ・イングクの関係性は、普通のバディとは少し違う。正義の人・ソンイルはジョンドの詐欺テクニックに頼らざるを得ず、ジョンドはソンイルの誠実さに感化されていく。互いに信用しきれないまま利害が一致し、そして少しずつ本音がこぼれていく距離感の妙こそが、このドラマを最高のブロマンス作品にしている。幼稚な乱闘を繰り広げたかと思えば、再び手を組む。そうした繰り返しの中で友情が築かれていく過程も、本作の大きな見どころの一つだ。

■法をすり抜ける金持ちから税金を奪い取る、痛快すぎる「正義の詐欺」

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「元カレは天才詐欺師」というサブタイトルが付いているが、これはジョンドがソンイルの部下チョン・ソンヒ(チェ・スヨン/少女時代)の元カレだからだ。ソンヒとジョンドのラブコメディーの要素もあるにはあるが、それは主流ではなく、本筋はあくまで痛快な悪者退治の社会派ドラマだ。

このドラマが突き刺さる理由は、ストーリーの根幹にある社会の怒りだ。真面目に税金を払う庶民が搾り取られる一方で、権力とコネを持つ資産家たちは法の抜け穴を通り抜けてもうけてきた。そんな理不尽への痛烈な皮肉が、このドラマの根底に流れている。

ハッカーが公的機関そっくりの偽サイトを作り、美人局が潜入し、当たり屋が攪乱(かくらん)する。詐欺チームが仕掛けるターゲット攻略のエンタメ性は、ケイパー作品の醍醐味(だいごみ)そのもの。だまされるのは悪質な脱税者だからこそ、視聴者は心の底からスカッとするのだ。

俳優・脚本・演出の三拍子がそろった作品と高く評価された本作は、2024年に『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』として日本でリメーク。マ・ドンソク役を内野聖陽が、ソ・イングク役を岡田将生が演じた。

愛すべきおじさんマ・ドンソクと、軽やかな悪役ソ・イングク。属性が正反対の男たちが少しずつ打ち解けていく様子に胸の奥がじんわり熱くなる感覚と、悪をやっつける爽快感は、見ればやみつきになるはずだ。

文/坂本ゆかり

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