千賀光莉×長谷川育美が『映画名探偵プリキュア!』で挑んだ限界突破の芝居と、互いへのリスペクトを語る

千賀光莉×長谷川育美が『映画名探偵プリキュア!』で挑んだ限界突破の芝居と、互いへのリスペクトを語る

2026年2月より放送中のテレビシリーズ『名探偵プリキュア!』。2027年から1999年へタイムスリップした明智あんなが、名探偵に憧れる小林みくるとバディを組み、街で起こる事件やナゾを解決していく物語だ。「自分で見て、感じて、考えて、"本当"の答えを出す」をテーマに、考え方の異なる仲間たちが力を合わせ、答えを見つけていく姿が描かれている。

その劇場版となる『映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密』が、9月18日(金)より全国公開される。新たな依頼を受けた名探偵プリキュアは、不思議な庭で少女・かりんと出会う。今回は、キュアアンサー/明智あんな役の千賀光莉と、キュアエクレール/帆羽くれあ役の長谷川育美に、劇場版の見どころやアフレコの裏側、互いに声優としてリスペクトしている部分について話を聞いた。

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■誰もが共感できる現実的な悩みと、スタッフの熱量

――最初にシナリオを読んだ際、どのような印象を持ちましたか?

千賀光莉(以下、千賀)「じんわりと心に響くお話だというのが、最初の印象でした。特別に大きな謎を解決することが中心ではなく、誰もが抱いたことのある感情を丁寧に扱っているんです。人の心に寄り添った映画になっていることが、強く印象に残りました」

長谷川育美(以下、長谷川)「劇場版と聞いて、最初はもう少し派手な物語になるのかなと想像していました。もちろん、映像や内容には劇場版らしいスケールがあるのですが、物語の軸に置かれているのは、かりんが抱えるとても現実的な悩みなんです。きっと映画をご覧になる多くの方が共感できる感情だと思います。誰もが一度は感じたことのある気持ちがテーマだからこそ、この映画を見る意味がある。とても良いお話だと感じました」

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――作品のテーマについて、収録前にスタッフから伝えられたこともあったのでしょうか。

千賀「別の収録でプロデューサーさんとお話しする機会があり、その際に今回の映画について伺いました。『名探偵プリキュア!』には、"自分で見て、感じて、考える"というテーマがあります。ただ、自分で考えた末に起こした行動が、必ずしもすべて正しいとは限らない。子どもたちに自分で考えることの大切さを伝える一方で、考えた結果が違う方向へ進んでしまうこともある。今回の物語でも、みんながそれぞれの信念を持って動いた結果、少し対立するような形にはなるけれど、そこに明確な"悪"はいない、とおっしゃっていて。実際にシナリオを読んで、伝えたかったメッセージはそこにあるのだと感じました」

長谷川「アフレコ前にも、スタッフの皆さんがキャストに向けて、"こういう映画にしたい"という思いを伝えてくださって。それこそ、かりん役の鬼頭明里さんに説明するスタッフさんの姿を、私たちもそばで見ていたんです。きっとスタッフの皆さんも、それぞれ自分とかりんを重ねながら、この作品を作り上げたのだと思います。その熱量が伝わってくる時間でした」

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■劇場版ならではの全力芝居と、緊張をほぐした"ハンドパワー"

――映画のアフレコで、特に印象に残っているディレクションを教えてください。

千賀「私は2カ所あります。一つは、あんながくじけそうになりながらも、周りのメンバーに支えられ、もう一度かりんちゃんのもとへ向かう場面です。歴代プリキュアの皆さんからバトンをつないでもらい、エクレール、アルカナ、ミスティックが、アンサーをかりんちゃんのもとへ届けるために力を尽くしてくれます。ほかのキャストの皆さんの芝居も本当にすさまじくて、特にアンサーへ力をつなぐ直前のミスティックの芝居が圧巻でした。

普段アンサーを演じるときは、頑張って声を出した時にも、声がかすれすぎないようにするなど、明るくきれいな声を意識することが多いんです。最初はいつものアンサーらしい表現で演じたのですが、ここはクライマックスへ向かう一番大切な場面なので、"本当に全力でやってください"とディレクションをいただいて。何度かテイクを重ねましたが、全力を出し切るため、すべてのアフレコ収録が終わった後にもう一度だけマイクに向かうことになりました。その最後のテイクでは、自分なりの渾身の一撃を放つことができました。

もう一つは、その後にアンサーがかりんちゃんのもとにたどり着き、"お待たせ、かりんちゃん"と声をかける場面です。最初は、かりんちゃんに優しく寄り添うイメージで演じていました。でもスタッフさんから、"かりんが『もう大丈夫だ。ヒーローが来た』と思えるような安心感が欲しい"と言っていただいて。そこで、自分にできる"キュアアンサーのヒーロー"をすべて詰め込んで演じました。とても印象に残っている場面です」

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長谷川「私も、アクションシーンは強く印象に残っています。普段のテレビシリーズのアクションでは、思いが強く出すぎたり、声に力が入りすぎたりすると、"もう少し抑えてください"と言われることもあるんです。今回は劇場版なので、いつもより力を入れても大丈夫かもしれないと思いながら演じたら、特に止められなくて(笑)。だからこそ、劇場版ならではの力強さを出せたと思います。

テレビシリーズでもよく耳にする定番のセリフが、劇場版では映像や前後の流れによって、また違う響きになっているシーンもあって。覚悟を決めて、いつも以上に力強く言い切るような表現もあるので、アニメーションと声の芝居がテレビシリーズからどのように変化しているのかも楽しんでいただきたいです」

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――出演者の多い収録となりましたが、キャストの皆さんとのやり取りで印象に残っていることを教えてください。

千賀「劇場版ではあんなちゃんが大きな役割を担っていますし、私の芝居によって、作品のメッセージが皆さんに伝わるかどうかも変わるかもしれない。なので気合十分で収録へ行ったのですが、その分、体がガチガチに緊張してしまって(笑)。力みが芝居にも乗ってしまい、どうしたらいいのだろうと悩んでいました。

そしたら(東山)奈央さんが"ひかちゃん、すごくガチガチじゃない? マッサージしてあげるから、そこに横になって"と声をかけてくださったんです。ソファにあおむけになって、肩や体全体をほぐしていただきまして。おかげで、体から余計な力がストンと抜けたんですよ。声の調子も良くなり、楽な気持ちで収録に臨めました。奈央さんのハンドパワーはすごかったです(笑)」

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長谷川「でも、調整室からガラス越しに見ていた方には、ひかちゃんが体調を崩して倒れたように見えていたみたいで。パシャパシャみんな写真を撮っていて、安心したって言っているスタッフさんもいました(笑)」

千賀「体だけでなく、心までほぐしていただきました(笑)」

長谷川「私は、アラン役の島崎信長さんとたまたま帰り道が同じで。信長さんとは、私が初めて主演したテレビアニメ『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』で相手役を演じていただいて以来、しっかり共演するのは久しぶりでした。当時は周囲が先輩ばかりで、"頑張らなければ""食らいつかなければ"と緊張していた私の姿を見てくださっていたんです。

そんな信長さんから、『すごく楽しそうにやっているんだね。良かったね』と声をかけていただいて。私がこの現場を楽しんでいることが伝わっていたのもうれしかったですし、こうしてもう一度共演できたことも含めてありがたいことだなと思いました」

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■互いへの深いリスペクト。まっすぐな芝居と魂の叫び

――ここからは、互いに声優としてリスペクトしている部分を伺います。長谷川さんは、千賀さんのどのようなところに魅力を感じていますか?

長谷川「ピュアさやまっすぐさ......ひかちゃんは、自分にはないものを持っていると、アフレコのたびに感じています。それは芝居への向き合い方もそうですし、あんなという役にもつながっていると思っていて。ひかちゃん自身が、周囲の人にまっすぐ接する、人懐っこくて愛嬌のある子なので、その魅力があんなにぴったり重なっているんです。

ひかちゃんは本当に人懐っこくて。自然と"可愛いな"と、見守りたくなっちゃうような存在です。ただ、見守るという言い方もおこがましいほど、声優として着実に成長していて。劇場版のあんなには、明るさや力強さだけでなく、優しさによってかりんを導くための繊細な感情表現も必要だったはず。ひかちゃんが、あんなのさまざまな面を丁寧に表現する姿を見て、本当にすてきな役者さんだと感じました」

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――普段、後輩の方とはどのように関わることが多いですか?

長谷川「私はなぜか姉御肌に見られがちなのですが、意外と普段後輩と積極的に関わるタイプではなく......(笑)。後輩の方から気を遣われるのも苦手なので、できるだけラフに話せる空気を出せたらと思っています。

今回の現場では、キュアエクレールとして加わってから、ひかちゃんの隣に座らせてもらうことが多かったんです。もしかしたら、現場で一番話しているかもしれないくらい、いろいろな話をしています。そこに先輩の奈央さんが頼もしくいてくださって、同世代の皆さんとは友達のように話せて、後輩の可愛いひかちゃんもいる。自分にとって、とても居心地の良いバランスの現場でした」

――千賀さんは、長谷川さんのどのようなところをリスペクトしていますか?

千賀「長谷川さんがキュアエクレールとして、まっすぐに言葉を届ける時の芝居が、とてもすてきだと思っています。アクションシーンでも、言葉の一つ一つや息遣いから、エクレールがどのような気持ちで立ち向かっているのかが伝わってくるんです。

特に印象に残っているのが、テレビシリーズの第31話で、キュアアルカナ・シャドウからキュアアルカナへと変化する時の、るるかと向き合う場面。叫びながら訴えかけるセリフも多かったと思うのですが、叫ぶ芝居に感情を乗せるのは、私にはとても難しくて。長谷川さんの芝居からは、切なさやどうにか仲間を取り戻したいという気持ちがすべて伝わってくるんです。力強い言葉がまっすぐ心に届いてきて、収録では涙をこらえながら見ていました。声優として、とても尊敬しています」

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■先輩たちから受け取るバトンと、映画に込めたメッセージ

――今回多くの先輩方とご一緒する中で、感じたことや学んだことも教えてください。

千賀「先輩方の芝居を見ながら、『息遣い一つでどうしてこんな表現ができるのだろう』『私もこの発声ができれば、もっと感情を表現できるのに』と、日々感じています。しかも皆さん、収録の合間に私が何か悩んでいると『ここは、こうしてみたら?』『私にもそういう時期があったよ』と、声をかけて相談に乗ってくださるんです......!

もちろん自分から聞きにいくことも多いのですが、あまりに先輩たちが私が悩んでいることを察してくださるので、『名探偵みたい!』と思ったりもして(笑)。先輩方についていきたいと思いながら、毎回の収録に臨んでいます」

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――最後に、映画を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

長谷川「今回の映画では、プリキュア4人がかりんの悩みや目の前の謎にどう向き合い、どのようなチームワークを見せるのか。ぜひワクワクしながらご覧いただきたいです。歴代プリキュアの皆さんとの共演はもちろん、劇場版ならではのアクションシーンも迫力満点です。大きなスクリーンで楽しんでいただけたらと思います!」

千賀「今回描かれる大きな謎は、かりんちゃんが抱えるきっと誰もが同じように感じたことのある悩みにつながっています。大人の方は、これまでさまざまな経験を重ねる中で、そうした感情との向き合い方を見つけてきたかもしれません。一方で、これから見てくれるお子さんの中には、この先同じような感情に向き合う機会がある方もいるんじゃないかなと思います。その時に映画を思い出して、『あの時プリキュアも頑張っていたな』『私も向き合えるかもしれない』と、少しでも前向きな気持ちになってもらえたらうれしいです。ぜひ、劇場で楽しんでください!」

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千賀光莉 PROFILE
8月13日生まれ、福島県出身。2024年、クロスメディアプロジェクト「とりあえずカルビちゃん」のカルビちゃん役で初出演にして初主演を務める。2026年には「名探偵プリキュア!」明智あんな/キュアアンサー役、「乙女怪獣キャラメリゼ」赤石黒絵役で主人公に抜擢。

長谷川育美 PROFILE
2016年に活動を始め、2021年にTVアニメ「86-エイティシックス-」のレーナ役でメインヒロインに抜擢、高い演技力で注目を集める。以降、TVアニメ「弱キャラ友崎くん」(21年)の七海みなみ役や「ぼっち・ざ・ろっく!」(22年)の喜多郁代役、「葬送のフリーレン」(24年)のユーベル役など次々と人気作に出演し認知を拡大。24年には「真夜中ぱんチ」で主人公・真咲役を務める。同年に開催された第18回声優アワードでは、「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中バンド「結束バンド」として歌唱賞を受賞した。

※島崎信長の「崎」は正しくは「たつさき」

取材・文/すなくじら 撮影/大川晋児
ヘアメーク/千賀光莉:MAKI(TOKYO LOGIC)、長谷川育美:松村南奈(B★side)

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