花澤香菜&宮野真守出演『羅小黒戦記』日本語吹替版映画制作秘話を孫宗楨プロデューサーが明かす!
アニメ 見放題インタビュー
2025.11.06
自然の霊が集まって生まれた黒ネコの妖精シャオヘイの冒険と成長を描く、中国発のアニメ「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」。日本では、2019年9月に映画『羅小黒戦記』の字幕版が公開され、翌2020年11月には日本語吹替版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』が全国上映された。そして2025年10月からは、映画の原点となったWEB版ショートアニメをTVサイズに再編集した日本語吹替版の放送がスタート。さらに、11月7日には待望の劇場版第2弾『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』が、字幕版と日本語吹替版で同時公開される。今回は、前作に引き続き日本でのプロデュースを担当するアニプレックスの孫宗楨氏に作品との出会いや第一印象など、制作の裏側について語ってもらった。

――「羅小黒戦記」との出会いのきっかけ、そして第一印象をお聞かせください。
「2019年の秋ごろ、知り合いから映画の第1作目が日本でも公開されていると教えてもらったのがきっかけでした。もともとは10日間限定の上映だったのですが、私が映画館に行った時には、1回延長してからの終了間際のタイミングで、なんとか滑り込みで見ることができました。前情報なしで見たのですが、『こんなに面白い作品だったんだ!』と素直に驚きました。シャオヘイとムゲンが海の上を筏で移動するパートで、劇伴とともに二人の仲が深まっていく一連のシーンがありますが、そこで一気にこの作品の世界に引き込まれました」
――映画『羅小黒戦記』の人気は、花澤香菜さんや宮野真守さんといった人気声優陣が参加した日本語吹替版の公開をきっかけに大きく広がりました。
「音響監督の岩浪美和さんは、これまで数多くの海外アニメ吹替版を手がけてこられた大ベテランです。その岩浪さんに加えて、シャオヘイ役の花澤香菜さん、ムゲン役の宮野真守さんといった声優陣が参加してくださったことで、『羅小黒戦記』という作品をより多くの方に知っていただけたのは、すごく良かったです」

――11月公開の『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』は、どのような作品なのでしょうか。
「前作から2年後を舞台に、人間による妖精への襲撃事件の犯人だと疑われ、監視下に置かれるムゲンと、師匠の無実を証明するために、新たな冒険へと旅立つシャオヘイの姿が描かれます。冒頭の人間VS妖精のバトルシーンや、シャオヘイがムゲンとの穏やかな生活の中でみせる無邪気な笑顔や修行での成長ぶりはもちろん、新キャラクターの姉弟子・ルーイエとの関係性など、人それぞれに楽しめるポイントが、しっかりある作品になっていると思います。これまでのファンの方々には、ムゲンと人気キャラクター・ナタとの絡みに注目していただきたいですね。まだ『羅小黒戦記』を知らない方や、少しでも興味を持ってくださった方には、大迫力のアクションシーンを劇場で味わってほしいです」

――「羅小黒戦記」を日本で展開していく中で、特に意識していたのはどのような点でしょうか?また、中国生まれのアニメならではの難しさのようなものはありましたか?
「いかに原語が持つニュアンスを削らないか、という点に一番気を使いました。とはいえ、言語の違いによって泣く泣く調整を入れた部分もあります。シャオヘイとルーイエが初対面するシーンでは、吹替版でシャオヘイに自分を姉弟子だと紹介したムゲンに対し、ルーイエが『私が最後じゃ?』と言うと、ムゲンが『あ...その...最後の最後』と答えます。これに対して原文では、ルーイエが『我不是关门弟子么(直訳:私が閉門弟子では?)』と問い掛け、ムゲンが『这是锁门弟子(直訳:これは鎖門弟子だ)』と答えています。原文では、閉門は『門を閉じる』、鎖門は『閉じた門に鍵をかける』というニュアンスで、つまりムゲンはルーイエに突っ込まれて言葉遊びで言い逃れをしている、ということになります。しかし、これを直訳すると、日本語を母国語とするお客様にとっては理解しづらくなってしまうため、翻訳を担当された片山寛子先生・岩浪美和音響監督ともご相談させていただきまして、吹替版では現訳とさせていただきました」

――中国側の制作チームとのやり取りの中で、印象的だったエピソードはありますか?
「毎回、スタジオを訪問した際に、食堂でおいしい社食をいただけたことが印象に残っています。パンフレットにも写真を載せさせていただきましたが、とてもおいしかったですね。映画本編に関わることでも、諸々丁寧にご対応いただけたおかげで、スムーズに進めることができました」
――WEBアニメを日本向けに再編集したTVアニメの放送と、映画第2弾の公開が同時期になった理由をお聞かせください。
「映画第2弾の制作については、原作元よりかなり早い段階からお話を伺っていました。その中で、日本では映画第2弾とWEBアニメの日本オリジナル再編集版を同じ時期にお届けできれば、ファンの皆さんにより幅広く楽しんでもらえるのではないかという考えがありました。そうした経緯から、テレビと劇場の両方で展開する形になりました」

――TVアニメ版と劇場版第2弾の両作で、エンディングテーマをAimerさんが担当されています。
「映画第1作ではシンガーソングライターのLMYKさんとご一緒させていただいたのですが、日本でローカライズしてお届けする以上、どこか日本ならではの要素があった方が、より多くの方に楽しんでいただけるのではないかと考えていました。当社は母体がソニー・ミュージックエンタテインメントということもあり、さまざまなアーティストの方々とご一緒する機会があります。今回も、テレビと映画の新作を日本で展開するにあたってご相談したところ、Aimerさんのお名前を挙げていただきました。知名度も歌唱力も申し分ないですし、今回2曲もの素晴らしい楽曲を提供していただけたのは本当にありがたかったです。この歌を通じて、『羅小黒戦記』がさらに多くの方に届けば幸いです」

――最後に、劇場版第2弾とTVアニメの放映を楽しみにしていたファンの皆さん、そして今回初めて「羅小黒戦記」ワールドに触れる皆さんへメッセージをお願いします。
「最近は多くのアニメーション映画が公開されていますが、その中から『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』を選んでいただけると、制作スタッフの皆さんもとても喜ぶと思います。私自身が初めて『羅小黒戦記』を見た時のように、見終わった後『面白かった』『すごく良かった』と感じていただけるとうれしいです」
文/中村実香 撮影/永田正雄














