声優・福山潤インタビュー#3「『僕はこういう声優です』と決めるのは自分を狭めることにしかならない」

声優・福山潤インタビュー#3「『僕はこういう声優です』と決めるのは自分を狭めることにしかならない」

「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルーシュ・ランペルージ役や、「おそ松さん」の松野一松役、「暗殺教室」の殺せんせー役、「黒執事」のグレル・サトクリフ役など、その多彩な声色と演技力で、数々の人気作で主役や重要キャラを演じてきた声優・福山潤さん。いまでこそ誰もが認める名声優ですが、意外にも初めてレギュラーで入った「∀ガンダム」の現場では、音響監督から「お前の担当が3行あると胃が痛くなる」と言われていたんだそう。そんな駆け出しの時代からこれまでの歩みをたどり、出演作品やキャラクターにかける思いまで。このインタビューでは全3回にわたって、声優・福山潤さんの人となりに迫ります。

■厳しくも鍛えられた現場だった|「コードギアス 反逆のルルーシュ」ルルーシュ・ランペルージ

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――2006年放送ながら、いまだに絶大な人気を誇る「コードギアス 反逆のルルーシュ」。福山さんは主人公のルルーシュ役を務められています。

「いまとなっては、いい思い出ばかりが残っているんですが、その当時の自分からすれば、決して気楽に向き合える仕事じゃなかったですよね。おそらく、いまの現場しか知らない若手声優があの現場を見たら、泣くんじゃないかな(笑)。そのくらい心血を注いで作っていた現場でした。ふつう、アニメのアフレコってどの作品でも一律で収録時間が決まっているんですが、コードギアスはそれだと時間が足りないんですよ」

――確か基本的には1日2回で10~15時、16~21時の2つがあるんでしたよね?

「そうです。最初は『コードギアス』も10時からだったんですが、それだと足りないから9時から始まることになって、終わりも17時までかかることもありました。後に仕事がある人は先に録って、録り終わったらどんどんスタジオから出て行く。そして、最終的に僕だけが残る、みたいな(笑)」

――そんな収録があったんですね...!

「そう、しかもテスト、ラストテスト、本番という3ステップをかならず全部やるんです。ただし、テスト後の監督たちの打ち合わせは短い。当時は、オリジナル作品で細かく演出があるものだったりすると、キャストは1時間待つことだってザラでした。でも、『コードギアス』は大体いつも15分かからないくらいで、どんなに待ったときでも30分はかかっていないと思います。そこは谷口監督たちが、『僕らを待たせない』という気概を持って、そういう段取りをしてくれていたんですよね」

――作ることに対する、真摯さがうかがえますね。

「そうですね。谷口監督と、音響監督の井澤基さん、浦上靖之さん。そのお三方には、僕は厳しく鍛えてもらったなぁという気がします。たとえば、『コードギアス』は演出がつかない人がいないんですよ。30人に出番があったら、30人全員にかならず演出をつける。しかもラストテストをやって、その演出の要望に声優が応えられたとしたら『それができるならこれも足してみてください』というプラスアルファのオーダーまでかならずある」

――すごいですね...!

「それで、谷口監督と井澤さん、浦上さんの3人で分担して、それぞれの声優に演出をつけていくんですけど、僕だけその3人全員が演出をつける。だから、まず最初に谷口さんが僕を殴りに来て(比喩です)、それに応えたところを井澤さんが殴りに来て(比喩ですよ)、へろへろになった最後のとどめで、浦上さんが僕を殴る(比喩!)という......」

――愛のムチ(笑)。

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「あれで相当鍛えられました(笑)。あと、じつは最初の5~6話ぐらいまでは、僕だけ本収録の前に一度、僕と浦上さんの二人でスタジオに入る形でリハーサルをやっていたんです。当然、まだ先の話は台本が上がったばかりで映像がないので、まず浦上さんが考える演出の方向性をマンツーマンで全部、叩き込まれるんです。で、数日経っていざ本番にスタジオに来ると、浦上さんが、また全然違う演出を言い出すもんだから(笑)」

――なんと......。

「でも、よく考えてみれば、それも当然なんですよね。二人でスタジオに入ったときに浦上さんがしてくれる話は、あくまで映像のない状態で『お芝居をするときはこういうことに気をつけなさい』というものであって、『それを本番でやりなさい』ということではない。それをただただ『前に言ったことと違うじゃん』で切り捨てるのはお門違いで、実際、僕にとっては、その浦上さんの事前の演出プランは、作品やキャラクターを理解する上でかなり大きなヒントになっていたと思います」


■ルルーシュは声を低く、スザクは高く|「コードギアス 反逆のルルーシュ」ルルーシュ・ランペルージ

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――当時の演出で、印象深かったものはありますか?

「僕の場合だと『マックス声を低くしろ』って言われてました。オーディションでは、まったく低い声ではなかったけど。......というのも1話収録の段階で、僕とスザク役の櫻井孝宏さんの声のトーンが近いというのを、谷口監督が気にされてたんです。それを避けるために、僕と櫻井さんでトーンを変えようと。悪の組織という立場にいるルルーシュは声を低く、逆にヒーローの立場になるスザクは高く。でも、僕も櫻井さんも、お互い得意な音域の逆なわけですよね。本来だったら、僕には求められることが少ないロウトーン、その操れない音域を、どうすれば現場の中で操れるようになるかはめちゃくちゃ考えたし、チャレンジもたくさんしました」

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――そうだったんですね...!

「でも、どれだけ自分の中で頑張っても言われるんですよ。『お前、このシーンできてないから居残りな』って。それで居残ってずっと同じシーンをやり続けて、オンエアを見たら、居残りで収録した部分はカットされてる。そのときばかりは思いましたよね、『やりやがったな!』って(笑)」

――やっぱり厳しい(笑)。

「でも、そこで思うのは『今できてないなら、できるようになるしかない』ってことなんですよね。監督たちは、『ダメだったら容赦なく切る』っていうのが、そのオンエアでわかった。悔しいからこそ、こちらができるようにならなきゃいけないんだなと」

――むしろ福山さん的には燃える展開だったと...?

「そういう部分はあったと思います。ただ、気持ちは燃やしても体が付いていけるかは別問題。『コードギアス』って結構、体に無理を強いるんですよ。R2まで含めてTVシリーズに従事していた2年間、僕、何回か首をプチプチやっていて、首周り自体も4センチ太くなったんです。そのせいで、お気に入りのシャツのボタンが留められなくなった(笑)。間尺が早くて息継ぎする暇がないのに、声を低くしながら、演説で声を張り上げなきゃいけない。本来だったら息を吸えば保てるものを、息を吸わずに無理やり無酸素状態でやるから、首への負担が大きくなる。それを続けていると『ブチッ』って首の何かが切れる。それを何回か経験しながらも、なんとか収録は乗り越えました......」

――壮絶すぎる...!

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「その経験が影響しているんですよね、僕が今、肉体作りをしているのって。結局、ナチュラルに持ってる力だけでは限界がある。僕はそのことを『コードギアス』で知りました。だから、鍛えなきゃいけないものは鍛えなきゃいけないし、身に付いたものは、その作品が終わったらなくしてしまうのではなく、育てなきゃいけない。壊れない体を作ることが、どれだけ重要か、作品を通して教えてもらいましたね」

■セオリーがないところからの出発|「黒執事」グレル・サトクリフ

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――ファンから長く愛される作品として名高い「黒執事」でも、福山さんはグレル・サトクリフ役として出演なさっています。福山さんの中では、異端な感じがしているんですが......!

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「そうですね。じつは、グレルはハッコン(自動販売機)やルルーシュとも共通項があると、個人的には思っていて。それは『セオリーのないところからの出発』ということなんですよね。例えばアニメって、最初の最初は、原作があろうがなかろうが、絶対にオリジナリティが必要な部分がある。それは作る側にも観る側にも、まだそのキャラの"セオリー"というイメージがないから。そこから出発して、だんだんと多くの人の中で"共通イメージ"というのができあがってくるんですよね。『あの姿ならこういう性格、こういう立ち位置、こういう声だよね』と。例えば、僕ら世代で『色白で、水色の髪のショートカット』といえば、おそらく多くの人にとって綾波レイの顔と林原めぐみさんの声が脳内再生されると思うんです」

――たしかに、私もドンピシャでした......!

「影響力のある作品、大ヒットする作品が登場するとイメージが固まって、やがてキャラクター像、つまり色のイメージや髪型、表情、立ち位置といった要素が、声も込みでイメージされて、それが "セオリー"と呼ばれるようになる。でも、それって時代によっても更新されたり新しいものが追加されたりもする。例えばさっきの例、『色白で、水色の髪のショートカット』というのも、1996年以前は"セーラーマーキュリー"だった人も多いと思うんです。そういう意味で、ハッコン(自動販売機)はまだ"セオリー"がないキャラクターでした。そして、僕にとってはグレルも同じように感じていたんです」

――もう少し詳しくお聞きしたいです。

「例えば、先ほどの『コードギアス』のときは、同業者からは『僕と櫻井さん、逆でしょ!』ってめちゃくちゃ言われました。つまりそれは、きっと多くの人がイメージする"セオリー"では櫻井さんがルルーシュで、僕がスザクだったということ。でも、その"セオリー"を制作側があえて外して、『キャスティングで遊ぶ』ことがあるんですよね。そして、グレルもまさに『キャスティングで遊んで』もらったタイプのキャラクター。それは、『オリジナルで作れよ』ということの裏返しでもある」

――セオリーがないなら、一から作っていくしかないですもんね。

「そうです。じつは最初はセバスチャンとシエル、二役のオーディションがまずあって、当時の僕は、目に特徴があるキャラクターばかりを演じていたので、シエルを見て、『そうじゃないほうがいいな』と思ってセバスチャンで受けた。でも、セバスチャンを受けたところで、ろくにできるわけがないんですよね(笑)。オーディションに落ちて、今度はほかの使用人たちのオーディションが行われて、そこで梶くんがやってる『フィニアンを受けろ』と言われた。後日、結果が出て『受かりましたよ、グレルで』と」

――フィニで受けて、グレルで受かる(笑)。

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「どうやらグレルはオーディションをやっていなかったそうです(笑)。でも、それがなぜ僕になったのかはわからないけど白羽の矢を立ててくれた。ただ、過去にドラマCDでも音声化されていないキャラクターで、イメージとする拠り所もない。自分の中のイメージやタイプにもいないキャラ。そんな"セオリー"なんてない状態からはじまって、監督、音響監督、そして僕とで擦り合わせながら作って行ったのが、いまのグレルなんです」

――誰もが思い浮かべるようなイメージはなく、ここから作っていかなければいけない。

「だからこそ、死神になってから最初のうちはどう声を出したらいいのかもわからなくて、僕は枠におさまるような感じのお芝居をしていたんです。そしたら監督もそれを見逃さず、『枠に収めるのはやめてくれ』っていうふうに言われて。具体的には『かわいこぶらずに、極力おっさんでやってほしい』と。おそらく、声のトーン的に"できそうなこと"をはっきり言葉にしてオーダーすると、お芝居がはみ出さないから『おっさんで』という言葉になったんだと思うんですが」

――なるほど...!

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「そこから始まって、『ここまでが許容範囲だったら、こういう演り方もあるよね』というのを繰り返しながら、現場で少しずつキャラクターを作っていった。『これでも執事DEATH★』というセリフに関しても、よく話題をいただくことがあるんですけど、僕としてはオーダーに応えているうちに、グレルという人物がだんだんと定まってきて、結果的にああいう言い方になったという感覚なんです」

■「福山潤はこういう声優です」を決めない

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――福山さんのお話を聞いていると、「演出」「ご自身のタイプ」という言葉が度々登場していますよね。わりと全体を俯瞰して、お芝居を作っていくタイプなんでしょうか?

「どちらかといえばそうですね。多分、声優を始めた頃からそういう考え方で、やってきたような気がします。自分が考えてきたことが受け入れられるだなんて思ってもいないので。声優が考えてきたことが、現場で100%受け入れられるなら、演出家って役割は要らないじゃないですか。声優が用意するのは、あくまでアイデア。できればそれが制作スタッフや演出プランと同じ方向性であってほしいから考えるし、自分の中にある"セオリー"もそうじゃないものもいろいろな可能性を探ってみて、『これなら行ける』と思えるものを持っていく。でも、実際のディレクションっていうのは、現場に入ってみないとわからないんです」

――もしも持っていったものが「違う」と言われてしまったら?

「それは捨てるしかないですよね。でも用意していく段階で、『違う』と言われたらゴミ箱に捨てるという覚悟は常にもってます。『できることはこれしかないです!』って見せて、それでも『違う』と言われるならばその場で作っていくしかない。そうやってると自分になかった正解にたどりつくことだってあるし、幅も広がっていくんですよ。だから『福山潤のお芝居は、こうです』というのは、僕は決めないようにしてるんです」

――その辺り、もう少し詳しくお聞きできますか?

「いまとなってはある程度、キャリアも積み重ねてきて、仕事をしたことがある人も増えてきたきたので、『福山潤がどういう声優か』というイメージを、抱いてくださっている方は多いと思います。でもデビュー当時、『∀ガンダム』から『超重神グラヴィオン』をやるまでの間って僕という声優のイメージはバラバラだったんですよ。『純朴な少年が合う』って言って現場に呼んでくれる人もいれば、『言葉に知性を感じない』といってマヌケな役で呼んでくれる人もいた(笑)。その逆で天才の役だったり、中には変態っぽい役だったり、いろいろなイメージを抱いていただいて、それぞれ別の『その役が合いそう』ということで呼んでくれるんですよね」

――純朴、マヌケ、天才、変態......振り幅が大きいですね(笑)。

「そしたら『人によって何が基準になっているか』って違うんだな、ってイヤでもわかるじゃないですか。自分から言わなくても、僕のちょっとした側面を他の人は見てくれている。だから僕から『福山潤はこういう声優です』っていう見せ方をしてしまうと、自分を狭めることにしかならないんです」

――なるほど...!

「そのかわり、めちゃくちゃ無茶振りはされますけどね(笑)。自分が出したもので他の方がどう感じるかは、僕が決められることじゃない。それなら、僕がやる前から『僕のお芝居はこう』というのは、自分も決めないし、できれば相手にも決めないでほしいです。そこで何かの可能性を見出してくれたのであれば、できる限り答えたいし、それでダメなら申し訳ないと謝ることしかできないです」

――たしかに...!それって、声優さん以外にもいろいろなことにいえそうですね。

「ああ、そういう部分もあるのかもしれませんね。僕にとっては、ほとんど人生哲学にもなってる。可能性を狭めたくない、っていうのは自分だけじゃなく作品全体にも感じていることなんです。これはオリジナル作品に限った話ですけど、できる声優がいなかったら、そもそもその役自体が誕生しないこともあります。どんなに面白いキャラクターを思いついたとしても、『このキャラ、できる声優いるんだろうか?』と脚本家が感じてしまったら、もしかしたら『できる範囲のキャラクターにしよう』と消極的な選択になってしまうかもしれない。その理想的だった方の可能性が消えるのが、僕は嫌なんです」

――そこまで想像してるんですね。

「もちろん全部の役を自分でカバーできるわけじゃないから、あくまで自分の守備範囲で、という話ですけどね。だから、どこまで自分の守備範囲を広くできるか、というのはつねに考えています。僕の年齢感、声のトーン、お芝居の幅が広ければ、もしそんなキャラクターを脚本家の方が思いついたときに、『あ、福山ならこの役できるな』と思ってもらえるかもしれない。だからこそ、"セオリー"のない役のお芝居はとても大事なんです。それは自分の演技の幅も広がるし、みなさんの中にいままでなかったイメージを作っていくから。どこかにあるイメージをなぞるのではなく、オリジナルで考える。それはこれからも大事にしたい感覚です」

■自分が考える"声優像"を信じていたい

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――いま、演じてみたいキャラクターはいたりしますか?

「『福山に、こういう役やらせてみたらどうだろう?』って制作側に思ってもらえるなら、そういう役は全部やりたいですね。可能性を見出してくれるなら、たとえ僕の中に、その役の素地がなかったとしてもそれは全力で臨むのが基本。どんなに自分が願ったとしても、クリエイトする側がその役を作って任せてくれなければ、お芝居をすることもできませんから。もし強いて挙げるとするなら、今じゃないけど、自分が50代になったときに、作品の中で10~50代の経年変化があるキャラクターを、一人でやりたい、という思いはあります」

――なぜ、「いまではなく50代になってから」なんでしょうか?

「おそらく、いまの自分が演じても50代の声に説得力がでないんですよね。それはお芝居として、ではなく声そのものが。単純に声自体が少し若いんです。だから、10~30代側にちょっと寄ってしまっている気がします。そうするともう少し時間が必要かなと。それに自分が歳を重ねたときに、自分の肉体がどこまで、もともとやっていることの幅が維持できているのかっていうのは気になるんですよ」

――"声"を商売道具にしている、声優という職業ならではの発想な気がします。

「僕にとっては、歳を重ねたときの変化はすごく重要なんです。単に、老いることを『老けた』『経年劣化』という言葉で否定したくない。観ている方が"劣化"と言うなら仕方のないことではあるんですけど、僕としては歓迎すべき変化なので、若々しい声が出なくなるのはまったくしょうがないと思う。ただ一方で、それを簡単に捨てようとも思わない。変化と維持、両立できるのがベストという考え方」

――"変化"と"維持"、おもしろいですね。

「登場人物全員が、10代~50代へと年を重ねていく。『そういう作品を描いてみたい』と思うクリエイターはきっといると思うんですよ。でも今、そんな作品を声優を一人も変えずにやりきるのはかなり難しい。交代せずにやりきれる人もいれば、交代が必要な人もいるかもしれない。自分がそういうポジションになったとき、どこまで一人で表現しきれるのか想像するのはすごくおもしろいなと思いますね」

――ぜひ、50代になった福山さんにやってみてもらいたいです。最後の質問で、今後どんな声優であり続けたいですか?

「『俺が声優代表だ!』って言った瞬間に、周りの声優から『いや、違う違う!』って総ツッコミを入れられるような声優、ですかね(笑)。どうやら僕が考える声優像と、一般的に考えられている声優像ってかなりかけ離れているらしいんですよね。でも、それでいいかなって。僕としては、『それぞれ違うものだろ』と思ってこの業界に入ってきたんですけど、どうやら僕はかなり特殊な例みたい(笑)」

――今回の3本のインタビューでも、そんなお話がたくさん聞けたと思います(笑)。

「よかった(笑)。僕は、この業界の、異種格闘技のようなところがおもしろいと思ってるんですよ。舞台から来た方もいれば、歌から来た方もいるし、なんならサラリーマンから入ってきた方もいる。それぞれが違う出自、違う土台の中で、声をデフォルメする人もいれば、しない人もいる。そんなバラッバラな声優たちが、アニメという一つの世界を作っていくからこそ、成立しているわけじゃないですか。だから、ほかの声優が言う価値観だって正しいし、僕の価値観だって正しい」

――素敵な考え方です。

「声優業界にいろいろな変遷があって、『いまはこういう考え方の声優さんが多い』っていうのはあると思います。でもだからといって、全員が同じである必要はない。未来のことなんて誰もわからないじゃない。もし、自分がどこかで倒れてしまったときに"誰かが信じていた声優像"を信じていたんじゃ後悔しかないですからね。僕は、"自分の中で考える声優像"を信じているほうがいいんです」

――自分が信じているものを大事にする。

「だから、どっちが正しいかなんて決める必要はないんですよね。その代わり、どっちが色が濃いかとか、どっちがおもしろいかとかの勝負はずっとしていたい。じじいになっても現役で第一線で活躍してたら、それが何よりも自分の正しさの証明になりますから。うーん、だから、その......一言で表すなら、めんどくさい老害になりたいんでしょうね(笑)」

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取材/山口 真央 文/郡司 しう 撮影/梶 礼哉

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