メイン平が語るリコーブラックラムズ東京、昨季の大躍進の要因と新シーズンへの思い

ラグビーが教えてくれたこと~楕円球に魅せられた人々の熱い思い~

2025-26シーズン、リコーブラックラムズ東京はリーグワンで初のプレーオフ進出を果たした。全試合に出場してチームの躍進を支え、チームメートが選ぶ「PLAYER'S PLAYER」にも選ばれたのが万能BKのメイン平だ。チームで得た手応え、今夏の日本代表への復帰、自身の原点、そして今季への意気込みを聞いた。

――昨季、ブラックラムズ東京は初めてプレーオフに進出しました。昨シーズンを振り返っていただけますか。

「一昨年(2024-25)からタンバイ・マットソンHCやTJ・ペレナラ(元オールブラックスのSH)が来て、チームが本当に変わりました。毎試合、良くなっていく感覚があり、プレーしている自分たちも成長を感じていました。リーダー陣が毎週、練習や試合で高いレベルのパフォーマンスを示し続けたことで、他のメンバーもついていくようになりました。それが結果につながったのだと思います。新シーズンがすごく楽しみです!」

――チーム初のプレーオフ進出は、やはりうれしかったですか?

「はい、すごくうれしかったです!シーズン前はプレーオフ進出を目標にしていましたが、シーズン途中に目標をトップ4へ変えることができました。プレーオフという一つの目標を達成できたことは、本当によかったです。最後は悔しい敗戦でしたが、プレーオフ特有のプレッシャーの中で判断が難しくなることなども含め、みんなが良い経験ができました。この学びは今季につながると思います」

――3シーズン目を迎えるマットソンHCは、どのような指導者ですか?

「常に物事を俯瞰していて、僕たちが考えていなかった視点を持っています。外部のスタッフにも協力してもらい、さまざまなデータを集めるなど、感情論だけではなくロジカルにも考える人です。組織を運営することもうまく、ラグビーだけでなく、地域に根づくために何ができるかも率先して考え、自らも行動しています。表に出ずに選手へ任せるタイプではなく、先頭に立って引っ張ってくれます。ついていきたい、タンバイさんのためにも頑張りたい、と思わせてくれる指導者です」

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――メイン選手自身は、マットソンHCの指導によってどのような部分がよくなったと感じていますか? 

「僕は比較的、自由にやらせてもらっています。ただ、肩のケガでタックルに少し恐怖心があったり、膝を何度か痛めてステップの切り返しに怖さがあったりしました。そうした部分をケアしてくれて、練習後にマンツーマンで、タンバイさんが練習につき合ってくれました。実際に指導して、フィードバックもしてくれる。僕だけでなく、ケガを抱える選手たちをとてもよくサポートしてくれています。それが昨季、8トライという結果にもつながったと思います」

――昨季、最も印象に残っている試合はありますか。

「シーズン序盤(2026年1月10日)のトヨタヴェルブリッツ戦の勝利(37-29)ですね。前半は20点ほど差をつけられていました。普段はあまり感情を出さず、どっしり構えているタンバイさんが、ハーフタイムに、珍しく選手たちに勝つことへの思いを強く伝えました。前半のことは忘れて、ゼロから始めようと。後半、チームが息を吹き返して逆転できたのはプレーしていて本当に楽しかったです。一昨季までは劣勢になると、チームがそのまま落ちていくことが多かったのですが、まったく違うチームとして後半を戦えて勝利することができました。あの試合からチームが乗っていった感覚があります」

――昨季の5位、プレーオフ進出からさらに上へ行くために今季、必要なことは何でしょうか?

「昨季は規律の部分がよく、それが勝利につながった試合が多かったので、引き続き自分たちで突き詰めたいです。アタックも元日本代表の有賀剛コーチが来てから得点機会が増えました。そこをさらに自分たちの強みにしたいと思います」

――キャプテンのTJ・ペレナラ選手の影響はいかがですか。

「小さい頃から見ていた、オールブラックスで活躍していたTJ・ペレナラが今、同じチームにいることは本当にうれしいです!『これがオールブラックスのリーダーか』と、最初は、ヒーローが来たような感覚がありましたね。

彼の発言がチームに与える影響は計り知れません。常にアイデアを持ち、それを自分で体現します。毎週月曜日にミーティングがありゲームプランが示されると、必ず『自分はこう思う』という意見を持っています。その意見から議論が生まれ、実際の試合でうまくはまることもあります。チームがどうすればよくなるかを常に考えている、本当に頼れる存在です。オフにもトレーニングする姿をSNSで発信していて、その姿勢もすごいと思います」

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――新シーズンのチーム目標と個人目標を教えてください。

「昨季はプレーオフの準々決勝へ進みましたが、そこで勝つことができなかったので、次はトップ4を目指したいです。個人としては、昨季も多くの試合に出場できたので、継続して試合に出ることが一番大事だと思っています。トライ数そのものより、チームによい影響を与え、勝利につながるプレーをしたいです。オフロードやディフェンス、ハイボールなど、自分の強みを出してチームの勝利に貢献したいと思っています」

――今のブラックラムズの強みはどんなところに感じていますか?

「チームがまとまっていることだと思っています。外国人選手も日本の文化を尊重し、日本語を学ぼうとしてくれます。単に仲が良いというより、互いをしっかりリスペクトしていると感じています。昨季から一体感が大きく高まり、個人に頼るのではなくチームで戦うことがブラックラムズの強みになっています。さらに上へ行くためには、このつながりをもっと強くしなければならないと思っています」

――会社や世田谷区を中心とした地域からの支援を感じることはありますか。

「会社や地域のサポートもすごく感じています。勝たなければ応援してもらえないという面もあると思いますが、選手自身が駅でチラシを配るなど、チームの集客活動や普及活動に直接関わる機会も増えました。僕もチラシを断られる経験をして、宣伝する難しさを知りました。その一方で、受け取った方が試合会場へ足を運んでくださり、ホストゲームの観客数も前年より増加しました。選手が直接動いたことが結果につながり、ラグビー以外の面でもよい経験になりましたね」

――今年7月のアイルランド代表戦で、2022年のウルグアイ戦以来、久しぶりに日本代表として出場し、2キャップ目を獲得しました。どのような思いでしたか。

「初選出は4年も前でしたし、当時はJAPAN XV(若手選手を主体とした第2ナショナルチーム)に近い編成でもあり、代表の感覚はすっかり忘れていました。今回はファーストキャップのような気持ちで、アイルランド代表戦はとても緊張しました。応援してくれていた両親や、地元の宮崎のラグビー関係者も喜んでくれたので、よい報告ができたと思います。今夏は昨季のブラックラムズでのパフォーマンスがあり、JAPAN XVから生き残って日本代表に昇格し、テストマッチに出られたので、練習の成果を出せたとも感じています」

――エディー・ジョーンズHCとの1対1のミーティングでは、どのようなことを言われましたか?

「最近よく言われるのは、『もっと自分を表現しろ』ということです。『ミスを恐れているように見える』とも言われます。自分ではそれほど意識していなかったので、そう見えているのか、あるいは競争させるためにプレッシャーをかけているのかとも考えますが、『このままだと後悔するぞ』と、いろいろな角度からプレッシャーをかけられています。もっと強引にプレーしてもよい、ということだと受け止めています」

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――日本代表で「超速ラグビー」を本格的にプレーしてみて、いかがですか。

「昨年もJAPAN XVに選ばれていましたが、どこからでもボールを展開するラグビーで、本当にきつかったです。今年はキックも蹴るようになり、自分の強みを出せる場面が増えました。試合中に貢献できる部分を自分の中でも高められますし、発揮できることも増えました。

ジャパンのラグビーは昨年より進化していると感じます。選手個々の判断も尊重されるようになり、裏にスペースがあればキックを選ぶなど、プレーの幅も広がっています」

――あらためて日本代表の強みは、どこにあると思いますか。

「超速ラグビーは進化していますし、ほかのチームよりテンポが速いことが日本の強みです。全員が同じ画を見て、WTBもしっかり動いて数的優位をつくる。運動量で相手を上回ることが重要です。それを80分間続けられるように成長していきたい」

――その中で、メイン選手はどのような強みを発揮していきたいですか?

「日本代表はアンストラクチャー(攻撃側も防衛側も陣形が整っていない混沌とした状態のこと)からのアタックを強みにしています。その状況をつくるには、相手のキックをしっかり処理し、そこから自分たちのアタックへ持っていくことが必要です。まずアタックの起点をつくれるよう、空中戦の勝負で頑張りたいです。ランも得意なので、ボールを持ったときにゲインラインを越えたり、ラインブレイクしたりするところにも注目してほしいですね」

――来年、オーストラリアで開催されるW杯への思いを聞かせてください。

「ラグビー選手として誰もが憧れる舞台です。出場できるように日本代表でしっかり活躍し、レギュラーをつかみ取りたいと思います。桜のジャージーを着るからには、よい試合をするだけでなく、勝利しなければ意味がありません。『いい試合だった』で終わらず、結果で示せるように頑張りたいです」

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――メイン選手がラグビーを始めたのは何歳ですか。

「3歳です。父がニュージーランド出身で、小さい頃からラグビーをしていました。実家の近くに宮崎ラグビースクールがあり、父に連れていってもらいました。姉も同じ時期に始めました」

――小さい頃から、日本代表の選手たちを身近に感じる機会もあったそうですね!

「父の友人のニュージーランド人が宮崎で飲食店を経営していて、宮崎での代表合宿に参加している選手たちが週末になると来ていました。父に連れていってもらい、選手たちと会うこともできました。真壁伸弥さんやライアン・ニコラスさんなど、当時の代表選手からサインをもらったことをよく覚えています」

――宮崎を離れ、奈良の御所実業高校へ進学した理由は?

「実は当時、ラグビーを本格的に続けたいとそこまで思っていたわけではなくて、姉が通っていた宮崎工業へ進学しようと思っていました。その時に両親から『ラグビーを中途半端に続けるくらいなら、もっと上を目指してみたら』と言われ、それからいくつかの強豪校の練習を見せていただいた中で、奈良の御所実業を選びました。御所実業の練習へ参加させてもらったところ、選手自身が練習メニューを考えて、選手たちが主体的にチームをつくっていて、そこに魅力を感じました」

――高校卒業後、日本の大学へは進学せず、ニュージーランドのクラブチームでプレーしました。その経験は、現在にどう生きていますか。

「若いうちにニュージーランドで経験を積み、その後、トップリーグでプレーできたことは、今につながっています。(ニュージーランドでは)いきなり大人と試合をする環境で、体格がまったく違いました。その中で基礎、基本の大切さを改めて感じましたし、日本のトップリーグへ入っても通用するという手応えを得ることができました。今から思えば、とても良い経験でした」

――メイン選手が日本代表を意識したのはいつ頃ですか。

「(父がニュージーランド出身なので)小さい頃はずっとオールブラックス(ニュージーランド代表)に憧れていました。高校卒業後にニュージーランドへ渡ったのも、オールブラックスへの憧れがあったからです。その後、日本のトップリーグ(当時)へ入り、その一番上にあるのは日本代表だと実感し、自分の存在価値を日本代表で示したいと思うようになりました。20歳でブラックラムズへ入団した頃から強く日本代表を意識するようになりました」

――最後に、ラグビーファンの方々にメッセージをお願いします。

「ラグビーは、試合会場へ行くと一番楽しめるスポーツだと思います。TVで見るのもよいですが、スタジアムでは臨場感や選手同士がぶつかる音を直接感じられて、ラグビーの魅力がより伝わると思います。ぜひ、競技場に足を運んでください!そしてブラックラムズを応援していただければ、きっと何か感じるものがあると思います。今季も応援よろしくお願いします!」

【Personal Words】
3歳の頃、父の影響でラグビーを始め、高校は地元を離れ御所実業(奈良)へ。卒業後は父の母国ニュージーランドへ渡りクラブチームで大人に交じってプレーしました。バイトや自炊をしながら練習を重ねる過酷な環境でしたが、基礎の大切さと周囲への感謝を学び、日本のトップリーグでも通用する手応えを得られ、よい経験でした。オフはゴルフやサウナ、コーヒー店巡りを楽しみ、最近は山登りを始めました。

【PROFILE】
'00年9月5日生まれ。宮崎県宮崎市出身。178cm/89kg。宮崎ラグビースクール→御所実業高校→ノースハーバーマリスト(ニュージーランド)→リコーブラックラムズ東京。ポジションはFB、WTB、CTB。'22年6月18日のウルグアイ代表戦で日本代表デビューを飾った。日本代表4キャップ(2026年10月6日現在)。

取材・文/斉藤健仁 写真/佐野美樹

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